2010年10月18日月曜日

卒団に向けて─カテゴリーアップの備え─

端的に言えば、日本における少年サッカーの位置づけというのは、正式なサッカーをする際に優秀なプレーヤーとなるための準備のひとつである。

だからピッチもゴールも狭く小さくし、ボールも軽くなっている。
筋力がなくても、走力がなくても、ちゃんとサッカーをプレーすることができるようにするためだ。

そう考えると4種カテゴリーの公式戦が終了したあとは、中学(ジュニア・ユース、3種)サッカーへの橋渡しとなるようなトレーニングに変えていかなければならない。

当然どこの少年サッカーチームでもこのことは考えていて、練習メニューはそのままにしてボールサイズを5号にしたり、正式サイズのピッチとゴールで練習試合を組んだりしている。

ピッチやゴールのサイズについては、練習でもミニゲームやフットサルをしているのでそれほど戸惑いはないが、
ボールの感覚については、戸惑う子もいる。筋力の弱い子の中には、思うようにボールが蹴れなくて自信を失う子もいる。

それに3種は、サッカー自体もあまり面白くない(私にはそう見える)。

どうしてそうなるのかと私なりに考えてみると、やはりサッカーへの純粋な情熱が薄れてしまうからのような気がする。

捉(とら)え方をかえれば、子供たちの世界が広がるから、とも言える。
見えてくる世界、知る世界が広がるので、自分の能力や可能性も少し客観的に分析できるし、高校受験の準備もすぐ始まるし、好きな“女子”もできてるし、悪い付き合いに誘われることもあるし、教師との関係も複雑になるし、親も歳をとってくるし、先輩も怖いし、芸能人にもなりたいし、有名にもなりたいし、お金持ちにもなりたいし、とそんなこんなで、子供たちの中に占めるサッカーの割合が相対的に小さくなってしまう。これは仕方のないことだ。いつまでもサッカーボールを抱えて眠るわけにはいかないのだから。

だが実は、この時期こそ、サッカーがその人間にとってかけがえのないものになるかならないかを決定するかけがえのない時間なのだと私は思っている。

この時期にいい仲間とサッカーを楽しむことができた人間は、サッカーが一生の特別な存在になる。
『宝』になる。
これは選手としてプレーしていたとか、大会での成績がどうだとか、そんなちっぽけなこととは関係がない。
「いい人間関係」と「サッカーを楽しむ」こと、これだけが重要なのだ。




とかなんとかこんなことをここまで書いてきたが、私はこういうことをここで書きたかったわけではなかったことを、いま思い出した。

はじめ、書こうと考えていたのは、5号球でミニゲーム形式のボール回しをたくさんやって欲しいということだったのだ。
ガンガンに寒くなったり、雪が降ったり、霜柱でグランドがグチャグチャになる前に、タッチの使い分けでボールをコントロールする感覚を、4号球バージョンから5号球バージョンへ移行させてあげておくと、春になったとき、より実践的な練習から入ることができるからだ。
天然芝や人工芝のピッチで練習できる環境にない選手の場合、やはり日本の冬はサッカーには厳しい条件となる。
特に、「ボールタッチの慣れ」みたいな練習をする際、カチカチだったりドロドロだったりするピッチは効果を低減する要因になってしまう。
もし今年の冬が大雪だったりしたら、ほとんど5号球に慣れないままで春を迎えることになる。

「まあまあ、そんなことは大した問題じゃないじゃない」
そうだろうか?
私はそうは思わない。
小学生から中学生へと子供たちの環境が大きく変わる前に、まだ少年サッカーのままの気持ちでサッカーと向かい合い、慣れ親しんだ仲間とサッカーを楽しんでいる間に、何の疑いもなく5号球の感覚へ移行してしまった方が、ストレスが少なくて済むと私は確信している。

5号球の方が自然に感じるようになり、久しぶりに4号球に触ったら「小っさ!」「軽っ!」と違和感を覚えるくらいにはやくしてしまうこと。これがこれからの時期に求められることだと思う。

【ただし書き】
今年の冬が記録的な暖冬だった場合はこの限りではないのであしからず。

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