2012年12月4日火曜日

セ大阪 クルピ監督コラム①

FELIZ! フェリース ①
選手の傲慢 父のように諭す
J1 セレッソ大阪 レビー・クルピ監督

朝日新聞朝刊 2012年11月20日 火曜日


昨季限りでセ大阪の監督を退任したのに、また8月後半に戻ってくるとは、自分自身でもサプライズだった。
一度はオファーを断ったが、降格の危機を救えるならうれしいし、ピッチに戻りたいとアドレナリンが出始めた頃だったので、思い直した。
我が家に帰るような気持ちだった。

格別だったのが、(柿谷)曜一朗の成長ぶり。
練習への遅刻を5回も繰り返して、2009年途中にJ2徳島に放出した。
今季、期限付き移籍から戻ってきて大きく変わっていた。
彼には「若い選手が過ちを犯すことはよくあること。もう何をすべきか分かっているだろう」と声をかけた。

放出という判断が、今も正解だったのかは分からない。
違う方法でもっと早く自覚を持たせることができたなら、すでに(香川)真司と同じ道を歩んでいたかもしれない。
そこは自分の責任を強く感じる。

成功する選手に共通するのは、謙虚な気持ちを忘れないこと。
傲慢になると、パフォーマンスは必ず落ちてくる。
自分は完璧ではない、まだまだ成長する余地があると自覚することが大きな資質の一つだ。
そこはピッチの内外でしっかりと目を光らせている。

キヨ(清武)や乾も、少なからず問題はあった。
メディアに注目されて、一気に有名になると危ない。
監督と選手は、父親と息子の関係と同じで、時には尻をたたかないといけない時がある。

キヨがまだ代表で活躍していない頃の話だ。
たった1人で待っていた女性のサポーターを素通りしたことがあった。
「サインは3秒でできる。その3秒で、一生応援してくれるかもしれないサポーターを悲しませてしまうんだ」。
そう諭したことがある。

交代を命じた乾がユニホームをベンチに投げつけたこともあった。
話をしても十分に理解せず、過ちを繰り返した時には、試合のメンバーからも外した。
その後、彼らは自分を律することができるようになった。
だから、欧州への扉が開いた。


おわり

※FELIZとはポルトガル語で「幸せな」という意味。クルピ氏はサッカーチームの監督という仕事を、「幸せな仕事」と考えている。

レベルの違いはあっても、似たような状況は少年サッカーでもよくある話。
わがままな態度を目にしたとき、つい言葉で指導してしまいたくなりますが、子供は大人の言葉の真意をまだ理解できません。誤解してしまうことも多々あります。相手がまだまだ子供であるということをふまえ、言葉ではない方法で指導することを考えてみるのも、指導者には必要です。そこがサッカーを通じて、子供たちの人間としての成長にもかかわれる、少年サッカーの監督という「幸せな」仕事の面白いところでもあります。
「乾や清武もこうだったんだ」と一言加えると、子供の心にも伝わるかもしれません。
参考にできるコラムだと私は思います。


リンク
セ大阪 クルピ監督コラム②

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