2012年12月11日火曜日

セ大阪 クルピ監督コラム④

FELIZ! フェリース(ポルトガル語で“幸せな”)

王国 もう怪物は生まれない?

朝日新聞 2012年(平成24年)12月11日 火曜日


10月にブラジルが4-0で日本に勝った試合には、MFカカ(レアル・マドリード)ら教え子3人が出ていた。
地元開催の2014年W杯は優勝候補の筆頭に挙げられる。

世界ランクは13位と低いかもしれないが、最多5度の優勝を誇る国には関係ない。

11月下旬に、代表のメネゼス監督が解任された。
ロンドン五輪で銀メダルに終わったことが響いた。
いい仕事はしていたけど、色々な選手を使いすぎた。
後任はJ1磐田の元監督であるフェリペ・スコラリ氏になった。
正解だと思う。
短期間の決戦やトーナメントで力を発揮できる指揮官だ。

周囲に左右されずに、W杯本番までメンバーを7人前後は固定するべきだ。
組織を成熟させないといけない。
8強に終わった10年南アフリカ大会と同じ過ちを繰り返してはいけない。

僕も00年に代表監督の候補に挙がった。
でも、報道陣に「ロマリオを呼ばない」と余計なことを言って物議を醸した。
当時はまだ監督として経験不足だった。
その後、代表を率いて02年W杯で優勝したのがスコラリ氏。
「最高の選手だ」と言い続けて、本番直前にロマリオを外した。
それはそれで大騒動となったのだが……。

W杯ブラジル大会での注目はFWネイマール(サントス)。
怪物だ。
現在20歳。
これまでに挙げたゴール数はペレに近い。
メッシ(バルセロナ)を超える可能性がある逸材だ。
10代で子供も作ってしまったけどね。
昨年、サントスと契約を更新し、年俸は16億円とも言われる。

だが、そんな選手はごく一部。
サンパウロやコリンチャンス、グレミオなど6チームくらいは破格の環境だが、他では給料の未払いなど深刻な問題が起きている。

都市化が進んで、ストリートサッカーをする場所も減っている。
原石を磨くのではなく、ビジネスに徹する代理人も絡んでくる。

町クラブからスタートして、大きな夢を追うという道がなくなってきている。
サッカー王国から怪物が生まれる可能性は低くなっているのかもしれない。


コラム終わり


この4回シリーズのコラムの第2回では確か、日本の育成システムは素晴らしいというようなことを書いていたクルピ監督だが、今回はブラジルでストリートサッカーのできる環境が失われてきている状況を嘆いている。
日本の育成システムには、当然ストリートサッカーは含まれていない。日本の道路事情では、子供がそこでサッカーをすることなど不可能だ。

つまり、同じような育成環境について、それが日本の場合であれば賞賛し、ブラジルの場合であれば問題視しているのだ。

このことから、クルピ監督は、母国ブラジルのサッカーと、異国日本のサッカーを、別物として捉えていることが読み取れる。

これは理屈を超えた、感覚的な分類なのだろうとわたしは思う。
いわば、天然物と養殖物の違いに近いのではないだろうか。
どれほど養殖技術が進んでも天然物にはかなわない、「やっぱり天然物は違うね」の世界。

そういう視点で見てみれば、確かに日本の育成システムは“養殖的”だ。
求められているニーズに合わせて、効率的に選手を作り上げる仕組みになっている。
もっともこうした育成システムは、なにもサッカー選手に限ったことじゃない。
日本の育成・教育システム全般がこうした傾向にあるのは、誰の目にも明らかだ。
育成・教育だけではない。
ビジネスの世界もそうだし、個人消費の世界もそうだ。
どれも、自分が損をしないように、そして最も効率よく、最大の利益を得ようと選択し判断決定している。

しかしこの考え方には根本的に矛盾している。
全員が「損をしないように」選択をしたら、効率は下がり、結果得られる利益は小さくなるからだ。
初期段階であれば、みなが損をせず効率よく利益をアップすることも容易だろう。
しかしいずれそれは行き詰る。
誰かの利益は誰かの損になるし、ある部分の効率アップはある部分への負担増となってしまうからだ。
ちなみに「弱肉強食」の意味は、「優れるものが勝ち残り、劣るものは消え失せる」ではないことをご存知だろうか。
「弱肉強食」の意味は、「結果として、生き残ったものが強く、消え失せたものが弱い」というものだ。
つまり、騙そうが、裏切ろうが、ルールを破ろうが、少数を多数で襲おうが、後ろから刺そうが、空から爆弾を落とそうが、それこそ弱者を強者が踏みにじろうが、まったく考慮されない価値観、それが「弱肉強食」だ。
「勝てば官軍」と共に、わたしの大嫌いな言葉のひとつ、それが「弱肉強食」だ。
たとえ勝とうが賊軍は賊軍だ。
警察官を殺したら、そいつが警察官になるか? そんなわけないじゃないか。
「やられたのは、そいつが弱いからだ」 ←はあ? 何言ってんの? まず『狼王ロボ(実話)』を読んでから出直して来い。

かなり脱線したが、話を本筋へ戻せば、日本サッカーの今の「効率偏重育成システム」はいずれ、それもそれほど遠くなく、破綻するってこと。少なくとも、4、5年後には行き詰まりが表面化してくる。それはJリーグの人気低下となってまず現れる。
似たような選手ばかりの似たようなチームばかりのリーグを、誰が観戦に行こうと思うだろうか。
世界のトップチームと善戦するであろう日本代表戦の人気は衰えないだろう。
なぜなら、相手チームに個性や特徴があるので、その相対として日本にも個性や特徴があるように見えるからだ。
でも国内リーグではそうはいかない。

養殖物しかない寿司屋にしては、Jリーグチケットは高すぎる。


以上

2012年12月6日木曜日

セ大阪 クルピ監督コラム③

FELIZ! フェリース(ポルトガル語で“幸せな”)③
日本の育成には未来がある

朝日新聞朝刊 2012年12月4日 火曜日

1日の最終節の川崎戦ではロスタイムに引き分けに持ち込んだ。
自力でJ1に残れて、本当にうれしい。
残留ラインの勝ち点が過去最高になったのは驚きだ。

今季はJリーグの歴史のなかでも、誰も予想できなかった異例の年。
全体のレベルは少し落ちていた。
優勝経験のあるガ大阪がJ2に降格して、鹿島までも残留争いに巻き込まれた。
強豪は代表や五輪に選手たちを取られたうえに、育てた若手が欧州のクラブに流出してしまったのが痛かった。

優勝を争った広島と仙台はメンバーが固定されてチームの完成度が高かった。
クラブに資金力はないが、A代表などに選ばれる選手が少ないことが、逆にプラスに働いた。

今は日本の景気も悪く、ブラジルなどから最高クラスの選手を呼んでくるのは不可能。
補強にお金をかけられないクラブが増えることで、力が伯仲した時代が続くだろう。

初めてセ大阪で指揮した1997年にはジョルジーニョ、スキラッチ、ストイコビッチら各国の代表級がいた。
あの時代に興味を持った子供たちがJの育成組織に集まってきて、今、Jリーガーになっている。

日本の育成組織は素晴らしく、世界の強豪に近づくための土台となっている。
基礎技術を大事にし、ひたむきに練習する国民性もあって、技術力が高い選手が育っている。

日本人は敏捷性に優れているし、献身的なプレーも大きな特徴だ。
もっと得点を増やすなど、数字へのこだわりを持てば、MFだけでなく、世界に通用するFWも出てくる。

日本にはマンチェスター・ユナイテッドの(香川)真司のような才能を持った原石がゴロゴロいる。
歴史を積み重ねれば、これからもどんどん世界のトップで活躍する選手が出てくる。

ただ、最近の若手は海外に出るのが早すぎる。
真司もキヨ(清武)も乾もそう。
Jリーグで優勝してから移籍すれば、名前も売れて、移籍金も高くなる。
もし、3人がセ大阪に残っていれば、今季は優勝戦線に絡んで、こんなに苦労することもなかったのに。

おわり


前回までで言いたいことは言い終えたのか、あるいは最終回であろう次回のためにとってあるのか、そのどちらかなのであろうと邪推してしまうくらい、内容のない今回のコラム。
セ大阪がJで大変だったので、コラムのことにまで頭が回らなかったのかもしれない。

このコラムに関連して、わたしが常日頃抱いている疑問のひとつを簡単に書く。

【疑問 海外移籍する選手が増えたのは、本当に育成の結果?】

このコラムにもある通り、一般的には、日本の育成が素晴らしいので、その成果として海外でも活躍する選手が増えてきた、と考えられている。

でもわたしはそこに疑問を感じている。
それは本当に育成システムが向上した結果なの? と。

わたしにはそれが、サッカー開始年齢の低下(つまり、サッカー経験の量的増)と、欧州の経済悪化によるものであって、単純に、日本サッカー界の育成システムが向上したことによって選手のレベルが上がったから、とは言えないと考えている。っていうか、「日本の育成のレベルが高いって? それはないでしょ」と思っている。

どうしてそう思うのかという理由を、ここでは2点だけ述べる。

・長年日本サッカーと似たようなレベルで戦ってきた他の国(韓国、中国、アメリカ、オーストラリア、イラク、イランなど)を見ると、日本人選手よりもずっと先に、すでにたくさんの選手がヨーロッパ各地で活躍している。

・長友がいい選手であって、わたしも好きなプレースタイルであることは間違いなのだが、それでもインテルでポジションを確保できるようなレベルにないことは、誰の目にも明らか。

以上の点を頭において、同じテーマを考えてみれば、どうも「日本の育成が素晴らしいから日本人選手のレベルがアップした」という分析は成立しにくいのがわかると思う。なぜなら、日本以外の国の選手の活躍についてと、インテルというチーム自体の低迷っぷりの説明がつかないから。

それに、育成の方法でそれほど劇的な変化があったとは思えない日本野球界でも、年々北米メジャーでプレーする選手が増えていることも忘れてはいけない。
あとJのチームがここ数年陥っている、ACLでの悲惨な状況からも目をそらしてはいけない。

日本サッカー界の育成には、まだまだ問題が多いし、レベルも決して高くはない、と私は確信している。

以上

2012年12月4日火曜日

セ大阪 クルピ監督コラム①

FELIZ! フェリース ①
選手の傲慢 父のように諭す
J1 セレッソ大阪 レビー・クルピ監督

朝日新聞朝刊 2012年11月20日 火曜日


昨季限りでセ大阪の監督を退任したのに、また8月後半に戻ってくるとは、自分自身でもサプライズだった。
一度はオファーを断ったが、降格の危機を救えるならうれしいし、ピッチに戻りたいとアドレナリンが出始めた頃だったので、思い直した。
我が家に帰るような気持ちだった。

格別だったのが、(柿谷)曜一朗の成長ぶり。
練習への遅刻を5回も繰り返して、2009年途中にJ2徳島に放出した。
今季、期限付き移籍から戻ってきて大きく変わっていた。
彼には「若い選手が過ちを犯すことはよくあること。もう何をすべきか分かっているだろう」と声をかけた。

放出という判断が、今も正解だったのかは分からない。
違う方法でもっと早く自覚を持たせることができたなら、すでに(香川)真司と同じ道を歩んでいたかもしれない。
そこは自分の責任を強く感じる。

成功する選手に共通するのは、謙虚な気持ちを忘れないこと。
傲慢になると、パフォーマンスは必ず落ちてくる。
自分は完璧ではない、まだまだ成長する余地があると自覚することが大きな資質の一つだ。
そこはピッチの内外でしっかりと目を光らせている。

キヨ(清武)や乾も、少なからず問題はあった。
メディアに注目されて、一気に有名になると危ない。
監督と選手は、父親と息子の関係と同じで、時には尻をたたかないといけない時がある。

キヨがまだ代表で活躍していない頃の話だ。
たった1人で待っていた女性のサポーターを素通りしたことがあった。
「サインは3秒でできる。その3秒で、一生応援してくれるかもしれないサポーターを悲しませてしまうんだ」。
そう諭したことがある。

交代を命じた乾がユニホームをベンチに投げつけたこともあった。
話をしても十分に理解せず、過ちを繰り返した時には、試合のメンバーからも外した。
その後、彼らは自分を律することができるようになった。
だから、欧州への扉が開いた。


おわり

※FELIZとはポルトガル語で「幸せな」という意味。クルピ氏はサッカーチームの監督という仕事を、「幸せな仕事」と考えている。

レベルの違いはあっても、似たような状況は少年サッカーでもよくある話。
わがままな態度を目にしたとき、つい言葉で指導してしまいたくなりますが、子供は大人の言葉の真意をまだ理解できません。誤解してしまうことも多々あります。相手がまだまだ子供であるということをふまえ、言葉ではない方法で指導することを考えてみるのも、指導者には必要です。そこがサッカーを通じて、子供たちの人間としての成長にもかかわれる、少年サッカーの監督という「幸せな」仕事の面白いところでもあります。
「乾や清武もこうだったんだ」と一言加えると、子供の心にも伝わるかもしれません。
参考にできるコラムだと私は思います。


リンク
セ大阪 クルピ監督コラム②

セ大阪 クルピ監督コラム②


FELIZ! フェリース ②
香川に口酸っぱく言ったこと
J1 セレッソ大阪 レビー・クルピ監督

朝日新聞朝刊 2012年11月27日 火曜日


マンチェスター・ユナイテッドで(香川)真司が開幕スタメンを奪ったのは、驚きでも何でもない。
ただ、イングランドに行ってほしくなかった。
ロングボールを多用して、フィジカルで渡り合うのは醜い。
サッカーとはパスやドリブルを交えて、人々を魅了する芸術だ。
スペインのバルセロナとかレアル・マドリードで、美しいサッカーを体現してほしかった。

2007年にセ大阪の監督に復帰すると、すぐに当時18歳だった真司を先発で使った。
サッカーに年齢は関係ない。
才能があったから起用した。

1週間ほど練習を見て、ブラジルのサンパウロFCで、00年に指導した駆け出しの頃のカカ(レアル・マドリード)と同じくらいの能力があると確信した。
両足でシュートをしっかり蹴れるし、運動量も豊富で、足が最後まで止まらない。
何よりも得点への意欲があり、ゴール前に飛び込んでいく勇気があった。
サイドバックはともかく、それまでボランチをやっていたのが不思議でたまらない。

ダイヤの原石の状態の真司を、試合に出しながら、磨いていった。
並外れたシュート力はない。
シュートも初めは下手だった。
イメージはすごくいいものを持っていた。
だから、どのタイミングで、どのコースを狙うのか、あらゆる場面を想定して練習した。

ゴール数にはこだわるように、口酸っぱく言った。
数字を残したか、残していないかで決まる世界。
日本人は国民性なのか、数字への意識が足りない。
サッカーはあくまでもスポーツというとらえ方。
ブラジルでは正しいあり方とは思わないが、戦争。
生きるか死ぬか。
勝てばいい生活、負ければ惨めな生活が待っている。

J1で15~20得点を挙げれば、A代表に選ばれて、欧州への可能性が広がる。
キヨ(清武)、乾にも、真司の成功例を持ち出して、伝えてきた。
3人ともまだまだ眠った才能がある。
スピードに乗ったドリブルシュートが魅力の乾は左足の精度を、最高のアシストができるキヨはもっとゴールへの意欲を高めるべきだ。
真司はもう少しヘディングを練習した方がいいね。


おわり




数字にこだわるのは、地元街クラブにこそ重要だとわたしは思っています。

Jの下部や、名門と呼ばれて事実上Jの下部団体化しているジュニアチームは、ジュニアの大会での成績や勝利数さほどこだわらなくても、経営は成り立ちます。有望な選手候補が、向こうから足を運んできてくれるからです。

それに対して地元の街クラブはどこも選手集めに苦心しています。
ちょっと良さそうな子供は、それこそ進学塾を選ぶように、名の通ったチームへ電車を使ってでも通ってしまいます。
幼児教育系、スポーツクラブ系、フットサル場系のチームが台頭してきた昨今、昔ながらの地元小学校少年団系のチームの選手集めはますます厳しくなってきています。

ここは割り切って、8人制に特化したチーム作りを目指すのも悪くない方針だと思います。
11人がやっとのチームであっても、8人制であれば、ベンチに3人の余裕が生まれます。
練習に広い場所もいりませんから、照明のある小さな公園や広場を利用すれば夜間練習も可能になります。
コーチ役の大人が少なくても、ちゃんと目が届きます。
しっかりしたゴールがなくてもOK。
ゴールキーパーも、全員が交代交代でやることで、無用な不満を生じさせる心配もありません。
それにゴールキーパーの経験は、必ず得点感覚を伸ばしてくれますし、身体のバランス良い成長のためにもプラスになりこそすれマイナスには絶対になりません。
メンタルでも、ボールを怖がらなくなります。
ヘディングの競り合いで、亀のように首をすぼめる玉なしチキン野郎撲滅にはもってこいです。

サッカー協会は個人技の育成のために8人制を推進しているようですが、街クラブとしては、数字を残すために8人制へ積極的に取り組むべきです。
街クラブを取り囲む状況は、それくらい急速に悪化しているからです。

街クラブにとっては、生きるか死ぬか。
生き残れるか、消滅するか。
数字を残せば、成績を残せば、実際に試合を見ていない子供や親にも、そのクラブの存在が伝わります。
地元クラブの存在が伝われば、地元の子に地元のクラブを選んでもらえる可能性が高まります。
個人技の育成への注力は、Jや有名チームに任せておきましょう。
そのあたりのことはすべて、それなりの質の選手がそれなりの量集まってから考えましょう。

子供たちにとっても、確固とした数字が残れば、自信につながります。
そうして得た自信は、サッカー以外の人生にも生きてきます。

勝てば生き残れる。負ければ消滅する。
昨今の街クラブにとっては、まさに戦争。
それくらいの気持ちで、8人制に取り組むべきだと、最近のわたしは思っています。
それくらいここほんの1、2年で、本当に、街クラブの状況、特に北足立北部地区を含む埼玉県の少年サッカーを取り巻く状況は、激変しました。

これまで通りのんびりのどかに11人制をやっている場合ではないと思います。
とはいえ、選手にとっても、コーチにとっても、観戦者にとっても、サッカーというゲームにとっても、面白いのはあきらかに11人制の方なのは変わりません。
でも、そう言ってもいられない、それが現実。
日本サッカー文化のためには、決して望ましい方向だとも思えませんが、でも、これは、生き残りをかけた戦争なのです。

子供たちが、お金をかけずともちゃんとしたサッカーの真剣試合を通じて、思いっ切り泣いたり笑ったり、ときには悔しがったり怒ったりして、人生の貴重な子供時代を存分に楽しむために、地元の街クラブは絶対になくなってはならないとわたしは確信しています。

でもそのためには、まず指導者が己の意識を変えなくては。



ただなあ…、観ていてつまらないんだよなあ、8人制。



2012年10月26日金曜日

コーチとしての目線 具体例

 コーチとしての目線の例として、チャンピオンズリーグの試合を観ていたら、ちょうどいい場面があったので紹介します。

 その場面は、先日フジテレビで中継していた、マンチェスター・ユナイテッド対ブラガ戦にありました。

 ブラガが先制得点をあげるシーン。

 左サイドからのクロスを、ゴール前で待っていた選手がヘディングで決めました。

 解説の方は、このシーンを、DFのマークがずれたための失点だと分析していました。試合開始直後で、マークがはっきりしていなかったために、マークがずれ、ポジションを前に入られたのだと。

 でもそれは間違いです。

 そもそも、試合開始直後だからこそ、マーカーは細心の注意を払っていたはずです。
 マンUのCBであればなお更です。それもCLの試合です。開始直後だから緩んだ、なんてことは絶対にありません。そんな選手は、マンUに入団できません。

 ではなぜ、ゴールを決められてしまったのか。

 それは、クロスのボールの質を、ブラガの選手は知っていて、マンUの選手は知らなかったからです。

 それを意識して観てもらえばわかりますが、このクロスは、最後の方で急激に曲がって落ちています。野球の変化球で言うと、2階から落ちてくるカーブ、あるいはシンカーといった感じの球質です。

 ブラガの選手は、それを知っていて、マンUの選手は知らなかった。
 
 マンUの選手は、クロスが蹴られた直後、ぴったりそのコースにポジションを取っています。もしこのクロスが、通常の球質であれば、マンUのDFは有利な位置で余裕でクリアできていたはずです。

 ところがこのクロスがどんな球筋をたどるのかを知っているブラガの選手は、マンUの選手とはまったく違う位置を狙っていることがわかります。助走する体の向きが、マンUの選手のそれとは違うことからも、それはわかります。

 ボールは、ゴール付近まで接近したところで急激にそのコースを変化させます。
 ぐぐっと曲がって、すとんと落ちたのです。

 マンUのDFがあわててそれに対応しようと、競るポイントを修正しようとしたときにはもう手遅れ。
 助走十分にジャンプしたブラガの選手の万全な体制でのヘディングに蹴散らされてしまいました。

 もしこのクロスが1本目ではなく、マンUの選手がすでに体験していたのであったなら、この得点は生まれていなかった可能性がかなり高いです。球筋を予測して、対応できるからです。当然ゴールキーパーもそれなりの反応をするでしょうし。

 観客であれば、「マークをしっかりしろ!」で十分ですけど、もしあなたがコーチであれば、この失点の原因を、DFの集中力の欠如、としてしまうのは間違いです。

 集中していなかったように見えたのは、あるいは、集中していなかったプレーに見えたのには、それなりの理由があるということです。

 これはトップレベルに限った話ではなく、どんな年代にも当てはまります。
 まわりに誰もいなければ、子供はドリブルをし続けるものですし、ゴールにシュートするものです。
 それが楽しいからサッカーをしているんですから。
 でもそうしなかったとき、その原因は、その子だけにあるのではないんじゃないか、その子の周辺で何かが起こったのかも、あるいは起こらなかったのかも、そういう視点を常に忘れないことが、コーチには必要なんじゃないかなあ、なんて思う今日この頃なのであります。

 しかし、スロー再生でまで、「試合開始直後でマークがずれた」という解説を繰り返すあのフジテレビの解説者氏は、いかがなものかなあと率直に感じました。
 まあ、テレビ局のモニタが小さくて、よく見えなかったということなんでしょうね、きっと。

 とにかく、コーチであれば、「すごい、ひどい」ではなく「なぜ、どうして」を見つけ出す目を持って欲しいなあってことです。
 そういうことです。
 あと、この試合自体は、録画したものの最初の数分を見ただけで、まだ全体を見終わったわけではありません。もしかするともっといい場面があるのかもしれませんけど、たまたま出てきたこのシーンでもいいかと、とりあえず書いてみました。

 おわり

2012年10月23日火曜日

コーチとしての目線

 ゲームを観ているとき、普通は「起きていること」に目線が向かってしまうものです。
 パスをしたとか、ドリブルをしたとか、シュートをしたとか、タックルしたとか、ポジションを移動したとか、あるいはその逆に、パスを失敗した、ドリブルを失敗した、シュートを失敗した、相手にかわされた、ポジションを間違えた、そういうことに目を向けてしまいます。

 応援しているご父兄であったり、実際にプレーしている選手であれば、それでもいいでしょう。
 でも、コーチは、それだけを見ていてはだめです。

 コーチが目線を向けるべきもうひとつは、「起きなかったこと」です。

 「起きなかったこと」とは、以下のようなことです。

 ・あそこへパスすべきだったのに、そこへのパスを選択しなかった。
 ・もっとドリブルでチャレンジすべきだったのに、パスを選択した。
 ・シュートチャンスがあったのに、シュートしなかった。
 ・フリーだった選手が、ボールを要求しなかった。

 他にもいろいろありますが、イメージとしてはこのようなことです。
 あるいはこういうことも、「起きなかったこと」に含まれます。

 ・あそこへパスをされたら決定的なピンチだったのに、相手はそうしなかった。
 ・もっとドリブルで食い込まれていたら厳しかったのに、相手はそうしなかった。
 ・いい感じで相手がボールを回していたのに、なぜかバックパスをしてくれたので一息つけた。

 これらはみな、そうなって当然だったのに、そうならなかった展開です。「起きるはずだったのに、起きなかったプレー」と言っていいでしょう。
 
 どうしてそうならなかったのかには、必ず何か理由があります。
 パスコースの先に敵が見えたとか、選択を躊躇させる声が聞こえたとか、直前に同じような状況があり、そこで失敗していたとか、あるいは試合前のコーチの一言とか、前日の練習に、その理由が隠れているかもしれません。

 コーチであれば、そこまで観る必要があります。考える必要があります。
 逆に言えば、それができるのはコーチだけなんです。

 個々の選手の特徴や性格、普段の練習、そして試合前の指示など、そうしたことをわかっているのはコーチだけだからです。

 試合中のこのようなプレーのことを、別の言い方で「見えないプレー」と呼びます。
 南米や南欧の、いわゆるラテン系の選手は、こうした「見えないプレー」が巧みです。そしてコーチも、そういうプレーを見る目を持っています。
 わかっているから、コーチはそういうプレーを的確にほめますし、的確にしかります。だから選手たちにも、自然とこうしたプレーが身についていきます。

 それが偶然であってもいいんです。あるいは、厳密にはそうなっていなかったとしても(つまり、見えないプレーとして成立していなくても)いいんです。

 それに近いような状況があったとき、コーチが一言「今のはいいプレーだ。それで相手をコントロールできたんだぞ。本当はこうしたかったのに、今のお前の見えないプレーで、相手はそれができなかったんだ」と指摘してあげましょう。
 試合中であれば、どの選手がこうしたプレーを自然とできているのか、あるいはできていないのか、にも目を向けましょう。そうした情報は、その選手の今後の伸びに大きく影響する、重要なカギになるからです。

 「どうしてそこで、あそこにパスをしないんだ!」
 「もっとドリブルできただろ!」
 「シュートしろよ!」
 と、怒鳴るだけではなく、なぜそうしなかったのか、できなかったのか、あるいは、ああなっていたら決定的なピンチとなっていたのになぜそれは「起きなかったのか」にも目を向けましょう。

 それができるのはコーチだけであり、また、そこを楽しむことができるのもコーチの特権なんですから。

 カラーコーンを使って、ドリブルやトラップや対人スキルの練習をさせているだけでは、犬に芸を教えているのと大差ありません。
 器用な犬を育てるのは、少年サッカーのコーチの仕事ではないんです。
 もちろん個人技の習得は、とても重要です。
 でも、子供たちは犬じゃありません。
 ちゃんと考える頭を持っています。

 子供たちが自分の頭で何を考え、それがどう成長していくのか、それに関わることができる、これこそが少年サッカーのコーチの醍醐味であり、大きな楽しさだと、わたしは確信しています。

 ちなみに、試合で失点したとき、子供たちが下を向いてしまった、という状況で「下を向くな!」と声をかけつつ、目では「なぜ下を向いてしまったのか」「それぞれの子の下の向き具合、程度、違いはどうか」を冷静に観察している、そういうコーチがいいコーチだとも確信しています。

 どうか是非、「起こったこと」だけではなく「起こらなかったこと」にも目を向けることのできるコーチが、一人でも多く少年サッカーにたずさわっていただけることを切に願う、今日この頃なのであります。


以上

2012年10月22日月曜日

2012浦和レッズジュニアユース

2012 浦和レッズ ジュニアユース メンバー

ポジション 氏名 身長 体重 生年月日 前所属

U-15 

GK2名 DF7名 MF7名 FW4名 計20名

GK 岩本 拓 172 56 下落合SSS
GK 大川 圭為 173 61 19980327 FC浦和(浦和仲本SSS)
DF 新井 克之 167 58 19970415 レアル狭山ジュニア
DF 小木曽 佑太 177 61 19970622 FC浦和(浦和栄和SSS)
DF 高橋 聡史 169 50 19970810 FC浦和(浦和岸町SS)
DF 中塩 大貴 175 53 19970608 江南南SS
DF 信沢 啓人 168 57 19970924 NEOS FC
DF 東 信幸 182 62 19970709 FC浦和(浦和大牧SSS)
DF 水上 真 165 58 19970410 FC浦和(北浦和SSS)
MF 石井 康輝 158 52 19971226 戸塚FCジュニア
MF 小田切 真人 151 38 19970730 浦和道祖土SS
MF 影森 宇京 156 42 19980107 戸塚FCジュニア
MF 田中 拓真 149 41 19970905 FC浦和(浦和三室SSS)
MF 松尾 佑介 146 36 19970723 戸塚FCジュニア
MF 村上 秀斗 162 48 19970819 FC浦和(浦和岸町SS)
MF 渡辺 将矢 166 51 19970402 新座片山FC
FW 川上 開斗 163 54 19970416 浦和大牧SS
FW 新納 大雅 156 48 19980315 江南南SS
FW 堀内 千寛 170 55 19970831 NEOS FC
FW 和久井 大輔 168 53 19970725 NEOS FC

 先日観戦した対クマガヤ戦では、右サイドにスピードのある面白い選手がいたんだけど、それはどの選手なんだろう?

U-14

GK2名 DF6名 MF8名 FW4名 計20名

GK 関 敦也 166 62 19980609 川越ひまわりSC
GK 宮川 聖冬 156 41 19981209 浦和尾間木SSS
DF 浅賀 祐太 165 52 19980512 浦和尾間木SSS
DF 小崎 魁 169 53 19980702 FCアビリスタ
DF 河内 渉真 160 48 19980605 東川口FC
DF 斎木 大輔 165 55 19980506 FCアビリスタ
DF 高橋 海翔 157 48 19980409 浦和尾間木SSS
DF 渡辺 陽 158 48 19981014 東川口FC
MF 伊藤 敦樹 159 40 19980811 浦和道祖土SS
MF 清水 裕太 145 37 19980516 新座片山FC
MF 関 慎之介 161 44 19980430 浦和大東SSS
MF 知久 航介 155 43 19990203 浦和三室SSS
MF 中嶋 海登 157 46 19981230 FCアビリスタ
MF 野口 琢真 148 37 19981020 浦和尾間木SSS
MF 平野 正人 147 43 19980427 浦和土合SSS
MF 松高 遼 164 53 19980801 FCアビリスタ
FW 川上エドオジョン智慧 158 53 19980421 西上尾キッカーズ
FW 轡田 登 172 61 19981110 越谷サンシンSSS
FW 萩原 大智 161 51 19980811 江南南SS
FW 町田ジェフリー 167 58 19980804 鶴ヶ島サザンキッカーズ

 この年代では、やっぱりエド君に期待したい。

U-13

GK2名 DF7名 MF7名 FW4名 計20名

GK 柿沼 優輔 169 50 19990615 浦和大久保SSS
GK 高草木 天平 165 52 19991008 浦和大門SSS
DF 角田 涼太朗 150 38 19990627 北浦和SSS
DF 橋岡 大樹 170 50 19990517 浦和大久保SSS
DF 樋口 颯太 154 40 19990930 浦和常盤SSS
DF 松永 悠希 150 34 19990728 プログレッソSC
DF 三井 愁雲 152 38 19990807 戸塚FCジュニア
DF 山崎 広大 145 38 19990519 越谷サンシンSSS
DF 山崎 舜介 145 38 19990519 越谷サンシンSSS
MF 大西 翔也 154 41 19991007 NEOS FC
MF 萩原 拓也 150 39 19991123 1FC川越水上公園
MF 菊池 泰智 140 33 19990507 浦和辻SSS
MF 立川 将吾 154 42 19990423 FCアビリスタ
MF 長倉 幹樹 143 34 19991007 NEOS FC
MF 山下 勇希 140 33 19991028 プログレッソSC
MF 弓削 翼 150 40 20000205 戸塚FCジュニア
FW シマブク カズヨシ 148 37 19990729 東松山ペレーニア
FW 白田 颯人 143 36 19990512 レジスタFC
FW 関根 陸斗 143 32 19990608 与野西北
FW 長谷川 魁哉 152 40 19990602 浦和三室SSS

 シマブク君は、察するに沖縄からブラジルへ移民して、その後帰国された方の息子さんなんだろうか? 東松山ペレーニアはブラジル式の育成に注力しているチームだから、彼の個人技にはすばらしいものがありそうだ(まだ実際に見たわけではないけど)。レッズユースで今後サッカーというゲームについて学ぶであろう、彼の今後に期待したい。

 あと、レジスタ出身の選手が全体で一人だけっていうのは意外だった。
 レジスタの子は、FC東京や帝京FC志向なんだろうか?


以上
 



2012年10月11日木曜日

少年団大会予選観戦メモ

第41回 埼玉県サッカー少年団大会 北足立北部地区予選


順位決定戦および準決勝、決勝

2012年10月13日(土) 桶川総合運動場(太郎右衛門橋下の荒川河川敷かな?)

10時から(あるいは9時からかも)

当日の対戦カードについては、検索で発見できず。

2012年10月9日火曜日

大敗濃厚なときのメンタルコントロール法

 ではさて、体育の日に浦和レッズジュニアユースがクマガヤSCに0-8の大敗を食らった、昨日の高円宮杯県予選を題材に考えてみたい。

 試合開始前のウォーミングアップのとき、リラックスしていたのは浦和の方で、クマガヤの方が緊張しているように見えた。
 キックオフ直前も、各ポジションに散った仲間に対して、「びびらないで思いっきり行こう」と声を掛けていたのはクマガヤの方だった。

 ところが試合が始まると、クマガヤが浦和を終始圧倒。浦和はハーフラインを越えられないような状態で、防戦一方となった。
 そして確か10分くらいに失点。
 浦和がキックオフして試合再開するときには、ベンチからコーチの「大丈夫だ。ゼロゼロだと考えてプレーしろ」という声が飛んでいた。
 ということは、実は浦和の方は、かなり厳しい試合になるであろうというような予想をしていたことが読み取れる。なぜなら、失点した選手たちに対して、コーチは勇気付けているからだ。これがもし、自分たちの方に自信があったのであれば、「なにやってんだ! まだ寝てんのか! 気合入れろ!」という叱責の声が飛ぶはずだ。

 前半で3点目を入れられると、浦和ベンチからは励ましの声も消えた。
 点差的にも内容的にも、こりゃあどうにもならんな状態だったからそれも致し方あるまい。

 後半になると、まず浦和のベンチが選手を次々入れ替え始めた。
 クマガヤの方は、後半5分過ぎくらいからどんどん選手を入れ替え始め、最終的にはCBの二人を除いた8人くらいが交代したのではないだろうか。

 浦和の選手たちから聞こえてくるのは「下向くな」「笛が鳴るまで」「1点取ろう」というような言葉と、味方がトラップするときに「フリー」「来てる」という声くらいだった。その声のサポートも、クマガヤの寄せが早いので、フリーと言われた直後にガツンとやられてるような場面がいくつもあった。ボールを持っていない選手にも、それくらい余裕がなくなっていたということなのだろう。フリーって教えるのも大切だけど、同時に全速力でフォローに行くことも大事だよ、って見ていてちょっと思ったシーンだった。

 さて本題。
 大敗濃厚な試合では、どのようなことを意識してプレーすべきなのだろうか。

 まず「ゼロゼロだと考えろ」と言われても、それは無理なのだということを理解する必要がある。
 知ってしまった以上、知らなかった心理状態に戻ることはできない。また「ゼロゼロだと考えろ」という指示は、心理学的には、逆に点差を意識させる効果を持つ。忘れようとすればするほど、記憶が強化されていく作用と同じように。同様に、「自信を持て」というアドバイスは、かえって不安を強めてしまう。本当に自信があれば、それができるかどうかなんてまったく考えないので、そもそも自信があるないなんて疑問は思い浮かばない。

 ではどうすればいいか。
 答えは「他の事を意識させる」だ。

 他の事を意識させることで、心理的に悪影響を与えている情報を思考から排除させる。
 人間の脳は、同時に二つのことを考えることができない。
 何かを考えているときは、そのことしか頭の中にはないのだ。寝るときに、いろいろなことが頭を離れなくて眠れない、と悩んでいる人は、実は、つまみ食いをするように、あっちを考えたら今度はこっち、こっちを考えたら次はむこう、というように思考のザッピングをしているだけで、その瞬間瞬間には、実はひとつのことしか考えられていない。

 ちなみにわたしは寝つきが悪いとき、自分の額の真ん中の、骨の厚みはどれくらいだろうかを考える。そう、自分の頭蓋骨の厚さが、皮膚の下からどこまであるのかを、感覚としてつかむことに集中するのだ。
 なんの意味もない、無駄で、馬鹿馬鹿しい行為だ。
 でもだからこそ、他の事は考えない。
 心配事や不安があっても、とにかくおでこの真ん中の骨の厚みがどれくらいなのか、それがはっきりとわかるまではそれしか考えない。
 そうしているうちに、いつしか眠ってしまう。

 大敗濃厚なときも、この人間の脳や心理の働きを利用するのが正解だ。
 問題となっていることとはまったく違うことに意識を向けることで、問題を深刻化させている心理の悪作用を解消するのだ。
 大差がついているのであれば、意識を点差以外のことへ向けざるを得ないようなことを指示する。たとえば「鼻で呼吸しろ」とか「激しく当たれ」とか、体を意識するようなことを指示すると、点差という、実体のないイメージは頭から消える。点差なんて、そのときそのときのプレーにはまったく関係がなくて、ただ最終的に勝敗を決定する際の目安として記録しているだけのものでしかないのだから、本人が意識しない限り、それは存在しないも同然なのだ。

 個人的には、知らないことは存在しないも同然だ。
 鏡や写真がなかった時代は、人は自分の顔のイメージを持っていなかった。自画像を描こうなんて思いもしなかったし、実際にはほぼ不可能だった。だから自分が美人か不細工かなんていう悩みは存在しなかった。
 健康診断のいろいろな数値だって、知らなければ自分が健康かなんて考えないし、知ったからといって健康になるわけでもない。けがや病気の原因のうち、健康診断の数値に関係するものはほんの一部でしかないからだ。

 セルフコントロールのコツは、いかに違うことを考えられるかだ。
 負けているときに「時間はまだあるぞ」と言われれば、残り時間のことを意識してしまう。
 プレッシャーを感じているときに「落ち着け」と言われれば、あわてている自分を意識してしまう。

 たとえそれがポジティブなものであったとしてもイメージは、それが問題に関係があることであれば、意識にどうしても問題それ自体へ向けさせてしまう作用を持っている。
 であるからしてである、負けている試合では、勝ち負けに関係のない、たとえば当たりについて指示を出すのが正解なのだ。
 具体的には「まず1点取り替えそう」ではなくて「マークをハードにしろ! 逃げないで強く当たれ!」と指示をする。
 負けている状況では、たいてい相手の方がボールをキープしている。そこで自分たちの攻撃に関する指示をされても、選手たちに無力感を与えるだけだ。そうじゃなくて、相手がボールを持っている状況でも、自分から積極的に戦っていけるような指示をもらえば、選手は自信を持ってそのプレーに集中できる。
 
 だからこれからは、負けている選手たちに「最後まで」とか「顔を上げろ」と言うのはやめてあげてください。
 それは顔の不自由な人に「人間は顔じゃない」とか」「心が大事だよ」と言っているようなものだからです。

 ちなみに、病気でもない人に、「あなたは将来病気になる可能性があります」といって利益を上げるビジネスは、天国行きか地獄行きかって言ったら、絶対に地獄行きだとわたしは思うのであります。
 
 話がずれたけど、要するに、考えたからって良くなることなんてないんだよってことです。人間に超能力はないんですから。




2012年10月8日月曜日

埼玉県ユース(U-15)大会

埼玉新聞社旗争奪第21回埼玉県ユース(U-15)サッカー選手権大会 兼
高円宮杯 第24回全日本ユース(U-15)サッカー選手県大会 埼玉県予選
高円宮杯 第24回全日本ユース(U-15)サッカー選手県大会 埼玉県クラブ予選

県クラブユース連盟のサイトの予定表だと、どれがどれなのかよくわからなかったんですけど、とにかく今日、熊谷スポーツ公園のサブグラウンドへ観戦に行ってきました。

10月8日(体育の日) 1100キックオフ
クマガヤSC 対 浦和レッズジュニアユース

快晴で気温は高かったが、湿度は低かったのでそれほど悪いコンディションではなかったように思います。でも、暑かったことは暑かったです。日差しも強かったし。
天然芝水を吸っていて深めで、風もややありました。

そして、

ほとんど予備知識なく観戦したため、わたしはひどい失敗をしてしまったのです。
とても反省しています。

というのも、試合内容があまりにも一方的だったので、勘違いしてしまったのです。これがまずかった…

クマガヤ 浦和レッズ
前半 3-0
後半 5-0
計  8-0

体格も、走力も、当たりも、プレースピードも、パススピードも、判断のスケールも、ファイティングスピリットも、そして声も、あきらかにクマガヤの方が上回っていました。

それでてっきり、スケジュールの都合か何かの理由で、浦和はベストメンバーを組めず、中2と中1が主体のチームだったのではないか、と。
それに対してベストメンバーで挑むこととなったクマガヤは、そのプライドに掛けて全力で倒しに来たため、あれほど極端な内容になったのではないか、と。

わたしが後悔している失敗とは、その試合終了直後に起きました。というか、やってしまいました。

すぐ近くで応援していた、浦和レッズ選手の父兄の方々に、確認のために尋ねてしまったんです。
「今日の浦和は何年生主体のチームなんですか?」と。

父兄の方は(やさしそうなお父さん風でした)、
「中3と中2です」と教えてくれました。

そのあとわたしはうっかり、言わなくてもいいことを言ってしまったのです。
「ああそうなんですか。てっきり中2と中1のチームだったのかと思いました」

このあと、父兄の方々の顔色は、明らかに変わりました。

しまった、と思ってももう後の祭り。

失礼を言って、申し訳ありませんでした。

自分の思い違いだったのか、という意味で言ったのであって、決して他意はありませんでした。
でも絶対に、バカにされたとか、からかわれたとか、侮辱された、と受け取られたでしょうね。

本当にすみませんでした。

ああ、失敗した。
ただ「ありがとうございました」でよかったのに、どうして余計なことを言ってしまったのだろう。

こういう、思いもよらない侮辱って、結構記憶に残るんですよね。
あのお父さんも、ずっと覚えてるんだろうなあ。
気分悪くしただろうなあ。
悪いことしたなあ。

試合中、あんなにぺちゃくちゃいろいろ話してた、奥さんまで黙っちゃったもんなあ。









でも、もしかしたら、意外と気にしてないかもしれないし。
もうすっかり忘れてしまったかもしれないし。
わたしもなかったこととして、忘れちゃおう。

そもそも、あんなにひどい試合をした浦和レッズが、一番悪いという見方もできなくないし。
だってマジで、前半途中からは、「去年まで小学生だったにしては、ベストのクマガヤ相手にこれだけできるんだから、やっぱ浦和の選手たちはすごいなあ。この子たちが3年生になったらすごいことになるんじゃないだろうか。浦和もものすごい育成の仕方をするよなあ。公式戦でクマガヤ相手に、あえて新人を千尋の谷に落とすんだから」と思って感心して観てましたから。

だから、わたしも悪かったですけど、レッズも悪かったってことで、差し引きゼロで、チャンチャン。

てへ。

2012年10月5日金曜日

天然芝グラウンド

 先月行った前橋市には、国際交流市長杯の試合会場となっているものだけでも、確か三箇所は天然芝グラウンドが整備されていた。
 群馬県の中心都市と北足立郡北部地区を比較するのもなんではあるが、それでも1市対4市1町として、決して言い訳のできる環境差ではないとわたしは思う。

 北足立北地区の天然芝グラウンドでぱっと思い浮かぶのは、鴻巣市の陸上競技場だ。
 次は桶川市のごみ処理場隣のグラウンド。ここは何かの施設の屋上にあるので、ボール拾いがとても危険だった記憶がある。
 上尾市と北本市と伊奈町については、天然芝のグラウンドがあったのか、わたしの記憶では定かではない。
 あと、そうそう、鴻巣市の荒川河川敷に、手入れが行き届いているとは呼べないような天然芝の広場のような運動場があったはずだ。

 人工芝のグラウンドは、鴻巣市の上谷総合運動場にひとつあるだけ。

 こうしてみると、この地区では鴻巣市がサッカーに理解があるといっていいだろう。

 上尾高校のある上尾市が、サッカーよりも野球重視だというのは理解できる。上尾市にとっては、大事にしたいイメージなのだろう。「上尾といえば野球」というのは。

 桶川市と北本市には、率直に言って何もない。
 桶川市には本田飛行場があって、北本市には解脱会がある、と思っているのは地元の人間だけで、まあ今度圏央道が全線開通すれば桶川北本インターチェンジとして、多少は知名度が向上するだろうが、それでも特徴のない自治体、地域であることには変化はないだろう。

 ここはそれを逆手にとって、看板ではなく内容で勝負する行政に注力してはどうだろうか。言い換えれば、『穴場の自治体』として、リピーターを増やすことを考えて街づくりをするのだ。
 リピーターとは、この地域で生まれ育った人、仕事で一時期暮らした人をさしている。
 そういう人に「この地域で暮らしたい」と思ってもらえるような街づくりだ。

 効果的なのは、地域の人が気軽に参加できるイベントやクラブや自由さが、日常に転がっているような環境を整えること。
 あれやっちゃ駄目、これやっちゃ駄目、では、その枠の中にいる人は暮らしいいかもしれないが、その枠に入らなかった人にはストレスでしかない。

 昨今、ボール遊び禁止、ペットの同伴禁止、飲食禁止、そういう公園が増えていると聞く。そういう注意書きが増えることはあっても減ることはない、それが当たり前だという風潮を、この地域から変えて行きたい。
 何週間も前に予約しないと使えないグラウンドじゃなく、思い立ったら気軽に使える天然芝のグラウンドがたくさんある地域にしたい。
 手入れが大変だというなら、マシンで整備しようじゃないか。粉砕すれば、犬猫の糞だって肥料になる。芝刈りや草刈りが好きな人だって、実は大勢いる。あれって無心になれるから、すごくいいストレス解消になるし。
 公園の樹木や街路樹には、甘い実のなる木を植えよう。
 市の広報には、毎回季節の花の種を添付しよう。
 公用車には、楽しくなるようなイラストやデザインをほどこそう。
 民家の庭先や門には、防犯も兼ねて太陽電池のライトを付けよう。夜に真っ暗な街は怖いから。
 暗渠になっている小川を復活させよう。そして錦鯉の泳ぐ姿を見せよう。

 コストが掛かるから。一部の人しか使わないので不公平だから。役人や議員は、いつもそんなことを言って、なにもやらない。
 もっと困っている人がいる。それよりもまず弱者対策が先だ。とクレームをつけてくる大声の人たちもいる。

 それは確かに正論だ。
 でも思い返してみて欲しい。
 正論ばかり言ってたやつに、友達がいなかったことを。
 そんなやつがいた記憶はあるけど、だれも名前を覚えていないことを。

 木登りしたら危ないよ。これは正論だ。
 でもクラスのヒーローは、高い木に登っていった。
 そしてみんなから「どこまで見えた?」と質問攻めにあう。
 そしてヒーローは答えるのだ。
 「ずっと遠くまで見えたよ」と。

 どうか桶川市と北本市の行政を預かるポジションにある方々には、ずっと遠くまで見据えた政策で、この地域を育てて言って欲しい、と願う今日この頃なのでありました。


おわり

2012年10月3日水曜日

前橋市長杯

今年も前橋市長杯を観戦にでかけた。

第16回国際交流サッカー大会前橋市長杯U-12
前橋市制施行120周年記念事業 東日本大震災復興支援
9月15日(土),16日(日),17日(祝)

総合結果順位(1位より降順)

浙江緑城FC
川崎フロンターレ
バディーSC
柏レイソル
レジスタ
VF甲府
アスペガス生駒
JACPA東京
NEOS
柏RAA’82
VIVAIO船橋
図南SC
SP-フッチ
アビリスタ
在日本朝鮮選抜
アイリス住吉
ソウル市選抜
韓国全国選抜
前橋市選抜
江南南SS
アスルクラロ沼津
名古屋FC
横浜F・MP追浜
FTP SC
コラソン
三菱養和巣鴨
アルティスタ
スクエア富山
エスポルチ秋田
福島ユナイテッド
杉並アヤックス
VIENTO
門真沖SC
FC杉野
チョンリマFC
FC Enable

以上全36チーム


1位の浙江緑城FCというチームだが、ウィキペディアによれば――

 杭州緑城足球倶楽部(こうしゅう-りょくじょう-)は中華人民共和国の東部、浙江省杭州市を本拠地とするサッカークラブである。中国サッカー・スーパーリーグ(中国超級聯賽、国内リーグ1部に相当)に所属。1998年 緑城房産、浙江大学、浙江省サッカー協会が共同で浙江緑城足球倶楽部創立。


現在トップチームには、レッズにいたマゾーラやフロンターレにいたレナチーニョが所属しているらしい。

浙江省杭州市といえば、先日の反日デモで日本料理店や日本のラーメン店が破壊されたことでも有名な街であり、上尾市の姉妹都市でもある街。
http://sankei.jp.msn.com/world/photos/120819/chn12081922130005-p8.htm

緑城(グリーンタウン)というのは浙江省で好き勝手やってる大手不動産グループ。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0216&f=stockname_0216_106.shtml


 わたしは大会初日に、今年オープンしたばかりの天然芝グラウンドである下増田多目的広場で観戦した。
 伊勢崎オートレース場のすぐ裏ということだったのだが、何本もの川とローカル鉄道に挟まれた立地で、会場へ着くには意外と手間取った。
 会場のコンディションはすばらしいの一言。できたばかりとあって、雑草の一本も生えていない天然芝のグラウンドで試合ができる子供たちは幸せだ。
 ただし、なぜかカラスが大量にいて、フェンスの上からじっと試合を眺めていた。
 おそらくカラスの方が先に住み着いていて、そこにあとから人間がグラウンドを造成したということなのだろう。

 観戦した試合は、バディーSC対ソウル市選抜選。全日本少年サッカー大会ベスト4のチームが、おそらく一学年もしくは二学年上も混じっているであろうソウル市選抜とどういうゲームをするのかが楽しみだった。
 ちなみにソウル市選抜に上の学年が混じっているだろうというのは、わたしの憶測だ。
 この大会に参加する海外チームは、学制の違いからなのだろうが、例年中学生が混じっている。ソウル市選抜もそうなんだろうなあと考えた。

 実際体格では一回り以上、ソウル市選抜の方が大きかった。髪も、韓国ファッション独特の茶髪が何人もいた。態度も、日本の基準からするとそうとうに悪く、時間もまったくルーズだった。
 まあ別に悪気があるのでもないのだろう。あくまで日本の感覚からすると、わたしにはそう感じられたという話だ。
 ちなみに、試合開始時も後半開始時も、規定の時間が来て、審判が呼んでも、まったく意に介さずだらだら歩いて来るあたり、それに対してコーチらも気にしていない様子は、同じ東アジア人といっても外国人なんだなあとあらためて学ばされた。

 試合内容は、個人技でまさるバディーに戸惑うソウル選抜という感じで終始進んだ。
 相手が小学生だと思ってなめていたら、ガツンとやられたってところだろう。
 前半早々にバディーの決定的なヘディングがバーをたたき、そこからもシュートチャンスがあったのはバディーだけ。ソウル選抜はシュートゼロだった。

 後半になると尻をたたかれたのかソウル選抜が猛攻をしかけてきた。当たりも激しくなり、シュミレーションも大げさになってきた。オーバーに転んで「オオウ、アオオウ」と審判へアピールする辺りは、さすが泣き女の文化の国の人たちだなあと、腹の中で大笑いした。

 試合結果はバディーが前半に、完璧な崩しからインサイドで冷静に流し込んだ1点を守りきって、1-0でバディーの勝利。

 各大会会場がもっと近ければ、レイソルやレジスタ、韓国全国選抜、江南南、フロンターレ、アビリスタ、そして浙江緑城の試合を見たかったのだが、この日はとにかく暑くて、1試合だけの観戦で早々に退散した。

 『泣き女』
 韓国や台湾の冠婚葬祭文化の代表的なもののひとつ。葬式の際、故人がいかに徳のある人だったかをアピールするために雇われる、泣きのプロ集団。どれだけ激しく泣きじゃくるか、またその人数がどれほどか、によって故人の「すばらしい人ランク」が決まる。この風習のことを知らずに、韓国や台湾の方の葬式に出席すると腰を抜かすほど驚く。なにせ、徐々に盛り上がって泣くのではなく、「ではお願いします」といった感じに突然スイッチが入って、大の大人が駄々をこねる子供のように泣きじゃくるのだから(でもたぶん、上手い下手はあると思う。絶対)。
 感想はいろいろあるとは思うが、昨今のあまりにさっぱりあっさりした日本の葬式も、正直なんだかなあとわたしは思っているので、あの盛り上がりっぷりは、韓国の飲み会と共に、敬意を払ってしまう。だって今時の日本の葬式じゃあ、ほんとに香典渡しに行ってるだけみたいだもん。わざわざ喪服に着替えるのも面倒に思えるくらいに形式的になってる。あれじゃあ、そう遠くない時に廃れてしまうだろうね。


以上









2012年9月29日土曜日

梅ちゃん先生

 NHK朝の連続小説『梅ちゃん先生』が最終回を終えた。
 全回見たとは言えないが、それでもほとんどの回は見たはずだ。

 わたしがこの朝ドラを見続けたのは、あまり人が死ななかったからだ。
 現実の世界で毎日たくさんの人が死んでいるのに、何も朝ドラでまで人が死ぬシーンを見る必要はないとわたしは思う。

 命あるものはいつか必ず死ぬのだから、死を描かないドラマにはリアリティがない、ということもあるかもしれない。
 でもそういうのであれば、そこに描かれる死もリアルでなければならないのではないだろうか。

 まるで眠っているかのような死体に、ドラマチックな音楽をかぶせるようなものは、命あるものの死ではないとわたしは思う。

 いや、そのへんはテレビだから、というのであれば、最初からリアリティなど持ち出さなければいいだけの話だ。

 というわけで、死よりも生を描いた『梅ちゃん先生』を、わたしは楽しく見ることができたのであります。

2012年9月28日金曜日

がっかりする理由

 小学生のときには、この子はどこまで成長してくれるのだろうか、と期待していた選手が中学生になってぱっとしなくなっていたときのがっかり感は、いったいどこから来るのでしょうか。


 答えは簡単で、それは期待した側の経験不足から来るのです。

 人間でなくてもいいのですが、長い時間を掛けて何かを育てる経験や、長い時間と手間を掛けて何かを作り上げる、あるいは成し遂げる経験を何度も積み重ねて来ていれば、予測や期待がどれほど当てにならないものなのかを学んでいます。

 『親ばか』という言葉がありますが、『教師ばか』や『コーチばか』という言葉はありません。
 『ばか親、ばか教師、ばかコーチ』はあるのにです。

 どうしてなのかというと、一般的に親と教師やコーチは、質の差こそあれ、育てることについての経験が違うからです。


 期待を裏切られた、期待外れだったという状況には、単純に期待した期待が間違いだったというだけの意味しかありません。
 いや能力的にはもっと上へ行ける素材だったのに、本人が努力を怠ったのだ、あるいは友人関係が良くなかった、あるいは指導者に恵まれなかったのだ、というのも、要するに、期待する側にその辺りの可能性まで考慮するだけの経験が不足していたというだけのことなのです。

 結局のところ、期待や予測というのは、期待や予測をする側の器の外には出られません。
 そういうものだと、まず期待する側が理解することが大切です。

 サッカーでぱっとしなくなったからといって、その子の評価が下がるものではありません。その子は、プロサッカー選手を育てるゲームのキャラクターではないからです。まず、その子の人生があって、その一部にサッカーがあるというイメージを持ちましょう。

 さてここで大事になるのは、そのぱっとしなくなったサッカーと今後どう付き合っていくか、です。
 もちろんその子本人のことです。
 ぱっとしなくなったから辞めてしまうのか、遊びのつもりで適当にやるのか、あるいはもう一度輝くために更なる努力を続けるのか、あるいはたとえもう前のようにはならなかったとしても、自分にできる精一杯で継続していくのか。
 
 親として子の人生を見通したとき大事なのは、最後に紹介した姿勢で現実と向き合える人間に、わが子が成れるかどうかだと、わたしは思うのです。
 自分の思い通りにならなくとも、一番手や主役になれなくとも、一度はじめたことは余程のことがない限り自分からは止めない。マラソンで言えば、優勝が不可能となっても、ゴールを目指して最後まで足を進め続けるような、そんな信念を当たり前のこととして抱く人間になれるかどうかで、人生は大きく変わってきます。

 以前、試合で負けている状況でどういう態度を取れるかが大事だと書きました。そこからが面白くなってくるのだと。
 実社会も同じだと、わたしは確信しています。
 苦しい状況、絶体絶命の状況、面白くない状況、自分の思いとは違う状況、そういう状況に陥ったときこそ、実は人生が本当に面白くなってくる序曲が始まっていることに気づくべきです。

 「おれこの前、山に登ったんだけど、途中で嵐になって来ちゃってさ」
 「それでどうしたの?」
 「ヤバくなる前に下山したよ」

 これじゃあ面白くもなんともないです。
 やはり、

 「本格的に荒れる前に、頂上行っちゃえって思ったわけ」
 「おまえ~そりゃあ無茶だよ」
 「そう思うだろ? ところがさ…」
 「なになに、どうなったの?」

 こうじゃなきゃ、楽しくないです。
 
 サッカーがうまくいかなくなったからって、すぐあきらめて下山して、じゃあ今度はあっちの山にしようとか、山は止めて海にしようとか、それじゃまたちょっとうまくいかなくなったら、次はどうするんですか? 同じことを繰り返すんですか?

 途中で止めたら、その後、本当に予想通りに失敗したのかさえわかりません。
 予想や期待は、それを下す当人の器から出られないんですから。
 その外にあるものを手にするためには、むしろ経験値の低い者の予想や期待は、かえって足かせになると、わたしは確信しています。

 お父さんお母さんも、わが子にがっかりする前に、三人以上は子育て経験を積みましょう。
 期待してがっかりするのは、その後です。
 それが無理だというのであれば、『今』だけをしっかりと見ましょう。
 勝手に期待しておいて、「おまえにはがっかりしたよ」などとわが子に感じさせるような態度は絶対に止めてください。
 親の期待に応えようとして人生を誤るケースが後を絶ちません。
 そうならないために。


 雨上がりの最高の絶景。
 雲海の上に輝く巨大な虹。
 それらを見ることができるのは、雨の中を登り続けた者だけなのです。

2012年9月26日水曜日

領土問題その2

日本と周辺諸国の領土問題を考える前提として、第2次大戦終了時の東アジアの雰囲気を忘れてはなりません。 原爆水爆を食らい、首都および主要都市&インフラを空襲で壊滅させられた日本は、実質滅亡状態であり、いずれそう遠くない時期に、地球上から消滅する国と見られていました。少なくとも、日本以外のアジア諸国はそう見ていました。日本は必ず復活するなんて思っていたのは、日本人でも一部に過ぎません。 東アジアを含むユーラシア大陸は、社会主義共産主義の赤色に染め尽くされると思われていました。 こんなに悲惨な戦争の原因は資本主義にあるとされたからです。アメリカでさえ、そうした考えが主流となりつつありました。 ちなみにアメリカがそうならなかったのは、イデオロギーの力ではなく、宗教の力、つまりキリスト教の力でした。宗教を否定する社会主義共産主義を、清教徒の国であるアメリカはどうしても許せなかったんです。それはどちらが正しいかではなく、神と悪の戦いと同義だったからです。 東アジアにはそうした抵抗勢力が存在しなかったため、帝国主義の日本が消滅すれば、あとは平和と平等の社会主義共産主義のユートピア世界が誕生するのを待つだけ。時間の問題。そういう雰囲気でした。 ところが社会主義共産主義勢力は、朝鮮戦争でまさかの朝鮮半島制圧に失敗。 そのままの流れで、東アジア地域もヨーロッパ同様に東西冷戦状態に陥ります。 そしてそんな中、いずれ消滅するのは確実と見られていた日本が奇跡の復活を遂げてしまいました。 このことは東アジアの関係諸国にとって、戦後最大の誤算となりました。 さらに追い討ちが掛かります。 社会主義共産主義が歪み、その結果、東西冷戦で東側の大敗北。 終戦時には圧倒的な優位にあった北朝鮮に対抗させるために、アメリカが日本に課したノルマである韓国の国力アップミッション(戦時体制を維持させたまま経済を強化するという非常に無理筋なミッションでした)も、アメリカの期待以上にやり遂げました。 やがて東側が自壊したことにより、終わらないと思われた冷戦は、西側の地滑り的勝利として終わります。 こうした状況の変化は、すべて終戦時にはだれも想像していなかったことだということを、前提にして考えないと、昨今の領土問題は混乱するだけです。 領土問題や歴史認識についての韓国や中国の主張はすべて、現在から過去を振り返っての視点に立って構築されています。現在がこうであるためには、過去はこうでなければならない、という論法です。両国は、当時はどうであったとか、実際にはどうであったとか、そういったことに関心はないのです。 こうした歴史観は中国、というかシナ文化圏の伝統的な歴史観であって、それは司馬遷にまでさかのぼる根深い文化です。 この地域の大陸文化圏の人々には、この歴史観が血肉となって染み付いています。 逆の見方をすれば、このいわゆるシナ(中国はあくまで国名の略称です)文化圏であるなら、正しい歴史観はこっちの方であって、むしろ同じ文化圏にありながら客観的な史実にこだわる歴史観の日本の方が異常だと言えるわけです。 ということは、日本的な歴史観に基づいて、中国韓国両国を説得することはできない、ということになります。なぜなら、こちらの方が異常なのですから。 客観的に見ても、史実的に見ても、正しいのは日本の方です。でも、それは、この文化圏では通用しないのです。 ですからこの地域で領土問題を解決するには、日本が相手に合わせるか、相手が変化するのを待つか、その二つしか道はありません。 日本が証拠を挙げて正論を主張すれば中国韓国を説得できる、誠意を持って根気強く説明すればわかってくれる、国際司法裁判所の裁定が下れば従わざるを得ないはず、などと考えるのはこの地域(何度でも書きますが、いわゆるシナ地域文化圏のことです)を知らないからです。こんな期待を持ってもがっかりイライラ腹立たしい思いをするだけで、自分の損です。そんなことはあり得ないからです。彼らは絶対に認めません。認めないためになら死を選ぶくらいのことはやります。血肉となるというのは、そのくらい強烈なことなんです。自らの存在意義そのものに掛かる大問題であって、自分が間違っていたとは間違っても認められないんです。やっかいな連中です。でも、それがふつうなんです。本来は。この地域では。日本の方が異常なんです。この地域では。そこをわかってあげないと。 日本が、敗戦後の自国の領土を守るためには、ロシアを含めた中国韓国といった国々の側にとっての「現在の歴史」が変わってくれるのを気長に待つしかありません。 中国や韓国の将来の歴史で、己の正統性を証しせねばならずその時点での状況を正当化するために、昨今の両国の政権は間違っていたとなったとき、領土問題や歴史認識を含めた戦後のこうした問題は、あっさりと解決するでしょう。 それまでは、どうにもなりません。

2012年9月25日火曜日

領土問題

戦争で負けて、勝った側であるところの連合国から「お前にはこれだけ返してやる」と、有無を言わさず線引きされたのに、なんで因縁つけられるのか理解できん。 それも連合国の一角であった、中華民国の継承国である中華人民共和国と、サンフランシスコ講和条約によって戦争責任から免責された大韓民国が、なんで文句を言ってるのか、非常に不思議だ。 納得のいかない点があったのなら、条約を結ぶ前に騒がなきゃ。騒げる側だったんだから。 それをそのあとになって、敗戦当時は何されても為されるがままだった日本にクレームつけるのは筋違いだろ。こんなこともわからないのか? 当時何も言えなかった日本が、「実はあれは我が家の先祖伝来のものでして、どうか返してはいただけないでしょうか」的に、ほとぼりが冷めた頃に交渉を求めるっていうのなら話はわかる。 なんで勝った側や赦された側が、奪われ罰せられた側に、この期に及んであれくれこれくれ言うのかなあ。 常識が違うってことなんだろうなあ。 っつうか、反日デモで、日本のデパート襲って、日本製品略奪するってどういう精神構造なんだ? 欲しくないのか欲しいのか、どっちかはっきりせい!

2012年1月24日火曜日

日本政府にとっての日本国債とは

日本国債について正しく理解してもらう、つまり「国の借金」への誤解を解く説明として、わたしは「日本国政府にとっての日本国債」ってのがどんなもんなのかってあたりから説明してみた。

相手は感覚的に、家計や商店の商売に置き換えて考るようなので、それにのっとって試みてみた。

「 八百屋さんが、一年後にこれで1万1千円分の買い物ができる商品券を今1万円で売ります、みたいな感じかな。
  八百屋さんが日本政府で、客が国民や銀行あたり。
  客には、自分の家で使う野菜を買う人もいるし、食べ物屋さんの仕入れの場合もある。
  この食べ物屋さんが、いってみれば銀行とか保険屋さんとかだね 」

日本は自前の広大な畑を持ってるから、いくらでも野菜を売ることができる。
これはつまり、日本円を作ることができるっていうことのイメージ。無限の畑。

ギリシャが大変なことになってるのは、自分の畑を持っていなかったからなんだよね。
ギリシャ通貨ってのはなくて、全部ユーロでしょ。
つまり、自分の畑じゃない。ユーロさん、EUさんの畑から仕入れてたんだけど、それを仕入れることができなくなっちゃった。
なんで仕入れられなくなったかというと、ギリシャ屋さんの商品券を誰も買ってくれなくなったから。
なんで買ってくれなくなったかというと、ギリシャ屋さんが野菜を仕入れられなくなりそうだっていう噂が広まったから。遊びすぎちゃったんだよね。
さらにまずいのは、あらためて帳簿を調べてみたら、噂が事実だったことがばれちゃった←これが去年。


でも日本政府の場合は、言ったように無限の畑を持っているので、ほとんどただでいくらでも野菜を仕入れることができる。
だから日本屋の商品券であるところの、日本国債を誰も買わなくなることなんてないんだよ。


私はこれで納得してもらえる。誤解は解ける、と思った。
だがこの説得は、失敗に終わったのである。

2012年1月22日日曜日

増税賛成の理屈?

「増税する熱意を他の政策にも分けて欲しいなあ」
と言ったら、
「増税は腹がたつけど、もっと嫌なのは国債!」
と返された。
理由を聞いてみると、「借金で賄おうとするのがイヤ」なのだそうだ。

「将来返すお金がなくなったらどうするの!」

この感覚が、『増税>国債』派の大勢なのだろうと仮定して、説得を試みてみた。

しかし失敗に終わった。

どういう説得を試みたのかは次回以降へ

実はけっこう大変な時期

ここ数年が、実は日本にとってけっこう大変な時期になっていると、私は思う。

増税すれば、その税率はもう二度と下がらないだろうし、年金や生活保護や医療費の条件が変更されれば、それもずうっとそのままだろう。まあ、悪化することはあっても、改善されることはない。

福島のことについても、自分たちの任期中はどうにか先送りしたい、という国会議員だけなのではないだろうか。
三陸沿岸の復興なんて、考えてもいないのかもしれない。

拉致の問題だってそうだった。

結局、敗戦後に起きた問題は、何一つ解決していない。何一つだ。


一日本国民の立場からこれをどう思うのかというと、明日は我が身だなってこと。

自分が何か災難に遭った場合、たぶん心配はしれくれるだろうけど、誰も具体的に助けてはくれないだろう。

現代日本はそういう国で、現代日本人もそういう人たちなのだ。

と、私は覚悟を決めている。

2012年1月21日土曜日

すき家のチーズハンバーグカレー

すき家にて、チーズハンバーグカレー(並 630円 1088kcal)というものを食した。
美味であった。
ところが、人気ランキングにもおいしいランキングにも入っていない。
ということは、他のものはさらにオイシイということなのだろう。
またいつか、機会があったら試してみることにするか。

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「お試しか!&Qさま合体スペシャル」
すき家の人気メニューベストテン

1位 牛丼
2位 ねぎ玉牛丼
3位 3種のチーズ牛丼
4位 キムチ牛丼
5位 豚とろ角煮丼
6位 炭火やきとり丼
7位 おろしポン酢牛丼
8位 朝食セット
9位 牛あいがけカレー
10位 とん汁牛皿定食

「お願いランキング」
すき家のおいしい順ランキング

1位 ねぎ玉牛丼
2位 かつ節オクラ牛丼
3位 おろしポン酢牛丼
4位 3種のチーズ牛丼
5位 キムチ牛丼
6位 茄子トマト牛丼
7位 お好み牛玉丼
8位 高菜明太マヨ牛丼
9位 わさび山かけ牛丼
10位 麻婆茄子牛丼



おわり

2012年1月20日金曜日

今年の大卒社会人が生まれた1990年

1990年 平成2年 庚午〔うま〕

東西ドイツ統一

【世相】バブル経済崩壊

【流行・話題】カラオケボックス、ダイヤルQ2、ファジー、メセナ、あげまん、ヒーリング、ランバダ、ティラミス

重大ニュース
大阪で「花の万博」

日本人初の宇宙飛行

女子高生校門圧死事件
7月6日、神戸市の神戸高塚高校で、登校の門限がきたとして、教諭の閉めた鉄製の門扉に女子高生が頭を挟まれて死亡。教諭が過失致死罪で起訴された。

大学入学センター試験スタート

礼宮さまと川島紀子さんが結婚

天皇陛下が即位
11月12日、天皇が即位する儀式(即位の礼)が行われた。一連の即位費用は123億円にものぼった。都内では30件を超すゲリラ事件が相次いだ。

国際
東西ドイツが統一
戦後45年間の分断を経て、ドイツは10月3日午前零時、統一を実現した。西独に編入された東独は、国家として消滅、欧州の中央部に、戦後処理を終え、主権を完全に回復した人口約8000万人の大 国が誕生した。 西独の正式名称「ドイツ連邦共和国」がそのまま新生ドイツの国名となり、国旗、国歌とも西独のそれが引き継がれた。首都として復活したベル リンでは、旧帝国議会前の記念式典会場で国旗が掲揚され、集まった約100万人が見守る中で祝いの花火が打ち上げられた。

イラク軍がクウェートに侵攻
8月2日、イラク軍がクウェートに侵攻し全土を制圧した。国連安保理がイラク軍の即時無条件撤退を要求する決議案を採択した。3日、米ソが共同声明を発表して、イラクの撤退を求めると同時に、各国に対イラク制裁への同調を呼びかけた。 6日、国連安保理、対イラク経済制裁決定。
12日、アメリカが海上封鎖を決定。
11月、国連安保理、武力行使容認決議を採択。 湾岸戦争(1991年)

政治
国会1月24日:衆議院解散(消費税解散)。
第39回衆議院議員選挙(2月18日)
自民安定多数、社会回復、土井ブーム。リクルート疑惑議員も続々当選。
投票率:73%
内閣・行政9月21日:【差別発言】 梶山静六法務大臣が、「『悪貨が良貨を駆逐する』というか、アメリカには黒(人)がはいって白(人)が追い出される、というように(新宿が)混在地(になっている)」と発言。
11月:天皇の即位の際に行われた「大嘗祭〔だいじょうさい〕」に首相が参列し、費用を宮廷費から支出。皇室の私的な宗教上の儀式であることから憲法20条に抵触するということで論議を呼んだ。
第2次海部内閣(2月28日~1991年11月5日)
[総理]海部俊樹、[法務]長谷川信、[外務]中山太郎、[大蔵]橋本龍太郎
第2次改造海部内閣(12月29日~1991年11月5日)
[総理]海部俊樹、[法務]左藤恵、[外務]中山太郎、[大蔵]橋本龍太郎
外交3月23日:朝日新聞が日米構造協議のアメリカ側の要求項目を紹介、内政干渉に近い要求であるという協議の実態が浮彫りにされた。
4月:日韓外交会談で指紋押捺廃止が発表された。
8月30日:対イラク多国籍軍への協力のため10億ドル支出を決定。
9月17日:アントニオ猪木議員、イラクの日本人人質解放のためイラクに出発。12月5日イラクが邦人人質のうちアントニオ猪木議員と共に訪問した家族の36人を解放すると表明。
9月24日:【金丸訪朝団】 自民党元副総裁の金丸代議士が組織した訪朝団が平壌入り。
26日、金丸・田辺が金日成主席と会談。
共同宣言が発表されたが、「戦後45年間の謝罪と償い」の項目がはいっていたため、世論の反発を受けた。
10月:【第18富士丸の船長ら解放】 自民党の小沢一郎幹事長、社会党の土井たか子委員長が北朝鮮の平壌に出迎えに行き、抑留されていた第18富士丸の船長と機関長が解放された。 第18富士丸事件(1983年)

司法・裁判
3月23日:【甲山事件の一審判決を破棄】甲山事件で、大阪高裁が元保母の一審判決を破棄し、審理を神戸地裁に差し戻した。 事件発生(1974年)  
4月17日:連続4人射殺事件の永山則夫被告に対し、最高裁が死刑判決。 事件発生(1968年)
7月27日:【山中事件無罪判決】 山中事件で名古屋高裁が、「共犯者」の供述を「殺害の実行などの部分で矛盾や不合理な点が数多く、信用できない」と指摘、無罪を判決した。  事件発生(1972年)
10月16日:三崎事件で、最高裁が上告を棄却し死刑が確定した。 事件発生(1971年)  

国際
2月11日:[南ア]黒人運動始動者のネルソン・マンデラが28年ぶりに釈放。
3月15日:[ソ]臨時人民代議員大会でゴルバチョフが初代大統領に選出、就任。
5月15日:[米]ニューヨークのオークションでゴッホの絵が124億円で日本企業に。
6月11日:[ペルー]大統領選で、日系2世のアルベルト・フジモリが当選。
7月1日:[独]東西ドイツの通貨を統合。
9月5日~6日:韓国と北朝鮮が半島分断後初の首脳会談開催。
9月30日:韓国とソ連が国交樹立。
10月:【やらせ証言】 [米]議会下院の公聴会で、クウェートから生還したという少女がイラク兵の残虐行為を涙ながらに証言した。
後にこの少女は在米クウェート大使の娘で、事実無根だったことが判明した。
11月15日:アリタリア航空機が墜落。日本人2人を含む46人全員死亡。
11月22日:[英]サッチャー首相が辞任表明。
27日、メージャー蔵相が新首相に。
第16回先進国首脳会議(サミット)(7月9日~11日)
【開催地】ヒューストン[米]
対ソ支援で積極論と消極論。北方領土問題が経済宣言と議長声明で言及された。

経済
1月:カルピス食品が65年にわたり親しまれたシンボルの「黒人マーク」に使用を中止。差別との抗議を受けたことによる。
4月:三菱地所が米ロックフェラービルを買収。
5月:ゴッホの名画を史上最高の125億円で落札。
【MCA買収】 松下電器産業が、米娯楽企業MCAを買収。
会社設立・合併さくら銀行[三井銀行と太陽神戸銀行が合併](4月)

物価
封書62円 はがき41円
【電話】東京-大阪間3分 280円
【飲食】ビール320円(2月)
新商品・ヒット商品ゲーム機 スーパーファミコン[任天堂、25,000円]
食品・嗜好品健康飲料 鉄骨飲料[サントリー]
ビール キリン一番搾り[麒麟麦酒]
菓子 午後の紅茶キャンディ[麒麟麦酒]
菓子 オーザック[ハウス食品](3月発売)
菓子 ジャック[ハウス食品](7月発売)

社会
暮らし・話題8月27日:ソ連サハリン州で男児(3)が大火傷。超法規的処置で日本に入国。札幌医大病院に入院し治療を受けた。
11月23日、帰国。
イベント国際花と緑の博覧会(花の万博)
4月2日、高架水路のウォーターライドが転落、重軽傷は23人。
【期間】4月1日~9月30日
【会場】大阪・鶴見緑地
電話・通信3月27日:NTT、番号案内の有料可を決定。
教育1月13日:共通一次試験に替わる大学入学センター試験、通称「新テスト」がスタート。一部の私大も参加するようになった。

ことば(流行語・話題の発言)
「アッシーくん」
呼べばすぐ来て、車で送り迎えしてくれる男。夜遊びで遅くなった時には便利であるが、「足」代わりでしかない。
「おやじギャル」
何でも父親がするようなことを好んでやるたくましく、男並みの行動力と生活力をもった20代後半の」女性。ゴルフ、赤ちょうちん、競馬、株など。
「ボーダーレス」
境界・境目のないこと。冷戦構造の雪融けで国家と国家が急速に融和し、国家間だけではなくあらゆる分野で境界があいまいになってきた状態。
「成田離婚」
新婚旅行から帰った成田空港で離婚を申し出ること。海外へ新婚旅行に行ったものに、男は英語がしゃべれず、気がきかないということで主として女性の方からを宣言する。


受賞ノーベル賞:[平和賞]ゴルバチョフ大統領(ソ連)
フィールズ賞:森重文(京大教授)
婚約・結婚1月12日:天皇の次男礼宮文仁(24)と川嶋紀子〔きこ〕(23)の婚約式(納菜の儀)。
6月29日、皇居内の御所で結婚の儀。「秋篠宮」の号が贈られた。
1月30日:ダウンタウンの浜田雅功が結婚披露宴。
3月5日:林真理子が婚約発表。5月18日に結婚。
5月30日:真田広之が手塚理美との婚約をコンサートでファンに報告。
6月6日:もとシブがき隊の薬丸裕英が入籍。
6月29日:元チェッカーズのフミが結婚。
物故栃錦(春日野)清孝[前横綱](64歳、1.10)、 サラ・ボーン[米・ジャズシンガー](66歳、4.3)、 池波正太郎[作家](67歳、5.3)、早野凡平(50歳、5.3)、 神風正一[相撲解説者](68歳、5.15)、 サミー・デーヴィスJr.[米、歌手](64歳、5.16)、 藤山寛美[喜劇俳優](60歳、5.21)、 高峰三枝子[俳優](71歳、5.27)、 小暮実千代[俳優](72歳、6.13)、 宮田輝[テレビ司会者](69歳、7.15)、 若原一郎[歌手](59歳、7.16)、 エドウィン・O・ライシャワー[米、元駐日大使](79歳、9.1)、 飛鳥田一雄[元社会党委員長](75歳、10.11)、 幸田文[作家](86歳、10.31)、 浜口庫之助[作曲家](73歳、12.2)、 グレタ・ガルボ[米、俳優]

出版・新聞
2月:「悪魔の詩」が邦訳出版されたが、大手書店は店頭に並べず、議論を巻き起こした。 国家テロ発言  邦訳者殺害
5月2日:朝日新聞が、高校生らがコンピュータ・ウイルスを開発したとの記事を1面トップで掲載。高校生のウソを裏づけもとらずに報道したお粗末なものであった。
7月23日:共同通信労組鹿児島班が「皇室敬語の廃止を訴えるアピール」を発表。
10月31日:長野市教育委員会が「ちびくろサンボ」の絵本やこれに類似する人形などの廃棄を各学校長宛に依頼。

ベストセラー
愛される理由(二谷友理恵)
真夜中は別の顔上・下(シドニー・シェルダン)
「NO」と言える日本(盛田昭夫・石原慎太郎)
ドラゴンクエストIVガイドブック上・下
明日があるから
「1998年日本崩壊」エドター・ケイシーの大予告
文学部唯野教授
恋愛論(紫門ふみ)
うたかた上・下(渡辺淳一)
41歳寿命説(西丸震哉)

その他の話題の本
孔子(井上靖)

作品掲載
無伴奏(小池真理子)「小説すばる」(5月臨時増刊号)
<作者が高校生時代に住んでいた仙台の1970年ごろを舞台にした。題名は実在した喫茶店の名前>
新ジャングルの王者ターちゃん[ハート](徳弘正也)「週刊少年ジャンプ」(6月~1995年4月)
<格闘メインのストーリー漫画に移行した為、タイトルに”新”が付け加えられた。>
スラムダンク(井上雄彦)「週刊少年ジャンプ」(9月~1996年6月)
<この漫画の大ヒットでNBAブームに火がつき、日本中がバスケブームに。>
幽☆遊☆白書(富樫義博)「週刊少年ジャンプ」(11月~1994年7月)
クレヨンしんちゃん(白井儀人)「週刊漫画アクション」(9月~)
ナニワ金融道(青木雄二)「コミックモーニング」(12月~)

雑誌創刊
サンサーラ
CADET[講談社]
クロコダイル
自由時間[マガジンハウス]
ケイコとマナブ[リクルート]
すてきな奥さん[主婦と生活社]
けっこんぴあ

テレビ
3月:大橋巨泉が引退宣言。実際は「セミ・リタイア」だった。
8月:放送衛星BS-3a打ち上げ。
11月30日:日本初の民間衛星放送「日本衛星放送」(WOWOW)が開局、サービス開始。
25年続いた日本テレビ系の「11PM」が終了。
番組大河ドラマ 翔ぶが如く (NHK、1月7日~12月9日)
<幕末の同志でありながら、維新後に明暗を分けた西郷隆盛と大久保利通。信念を貫く2人の葛藤を描いた>
[原作]司馬遼太郎、[出演]西田敏行、鹿賀丈史
アニメ ちびまる子ちゃん (フジテレビ、1月7日~1992年)
ドラマ ホテル (TBS、1月11日~3月22日)
ドラマ いつもだれかに恋してるッ (フジテレビ、1月11日~3月22日)
アニメ 勇者エクスカイザー (名古屋テレビ、2月3日~1991年1月26日)
<「勇者」シリーズの原点、地球へ逃げた宇宙海賊ガイスターを追って、エクスカイザーをリーダーとした宇宙警察カイザーズが、車や新幹線など、それぞれの乗り物に乗り移って、ガイスターに立ち向かう。>
ドラマ 特警ウインスペクター (テレビ朝日、2月4日~1991年1月13日)
<「レスキューヒーローシリーズ」三部作の原点。>
ドラマ 地球戦隊ファイブマン (テレビ朝日、3月2日~1991年2月8日)
連続テレビ小説 凜凜と (NHK、4月2日~9月29日)
<ラジオすらなかった時代に、テレビの発明を夢見た若者の青春を描く>
[出演]田中実、荻野目洋子
EXテレビ (日本テレビ、4月2日~)
クイズ 世界の常識・非常識! (フジテレビ、4月15日~1991年11月)
<日本と海外の常識のギャップを取り上げる>
[司会]逸見政孝
世にも奇妙な物語 (フジテレビ、4月19日~)
ドラマ 外科医・有森冴子 (日本テレビ、4月20日~7月6日)
ドラマ 渡る世間は鬼ばかり (TBS、8月11日~1991年9月26日)
[出演]泉ピン子、山岡久乃、藤岡琢也
クイズ 世界まる見え!テレビ特捜部 (日本テレビ、7月~)
<各国のユニークなテレビ番組を紹介>
[司会]所ジョージ
やっぱり猫が好き (フジテレビ、10月20日~1991年9月21日)
クイズ マジカル頭脳パワー!! (日本テレビ、10月~1999年9月16日)
[司会]板東英二
連続テレビ小説 京、ふたり (NHK、9月~1991年3月)
<離婚した母と娘の葛藤を軸に、家庭のきずな、女の自立、娘の青春の悩みなどを描いた>
[出演]山本陽子、島田理恵
ドラマ 名探偵ポアロ (NHK)
[原作]A・クリスティ

CM
「職業選択の自由」(学生援護会、サリダ)
「もっと端っこ歩きなさいよ」(大日本除虫菊、ゴン)

映画
1月16日:勝新太郎が、麻薬密輸入の疑いで、ハワイ税関で逮捕。
3月26日:米のアカデミー賞特別名誉賞が、黒沢明監督に。
4月30日:荻野目慶子宅で、不倫関係にあった河合義隆監督が首つり自殺。
日本櫻の園
<「桜の園」を文化祭で上演する女子高演劇部の開演2時間前の様子を描く>
天と地と[角川]
[監督]角川春樹
ドラえもん・のび太のアニマル惑星(プラネット)[東宝](3月11日封切)アニマル惑星で犬の少年チッポと友達になるのび太達・・・・・・「大長編ドラえもん」第11作。>
[制作総指揮・原作・脚本]藤子・F・不二雄、[監督]芝山努、「声の出演」、大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、たてかべ和也、肝付兼太、千々松幸子、田中真弓、川久保潔、西原久美子、森功至、小杉十郎太、加藤治、
チンプイ・エリさま活動大写真[東宝](3月10日封切)
<「チンプイ」の劇場版>
[制作総指揮・原作]藤子・F・不二雄、[脚本]桶谷顕、[監督]本郷みつる、[声の出演]堀絢子、林原みぐみ、佐々木望、八奈見乗児、中村大樹、岡本麻弥、大塚周夫、菊地正美
男はつらいよ・寅次郎の休日[松竹](12月22日封切) 詳細

外国ダンス・ウィズ・ウルブズ Dances With Wolves[米] アカデミー賞(作品・監督など7部門)
<インディアンとともに生きた白人青年将校の姿を通して西部開拓のできごとを綴る>
[監督・出演]ケビン・コスナー
プリティー・ウーマン[米]
ホワイトハンター ブラックハート White Hunter Black Heart
[監督・出演]クリント・イーストウッド
ゴースト/ニューヨークの幻
フィールド・オブ・ドリームス

音楽
2月14日:初来日のローリング・ストーンズが初来日、東京ドームでコンサート。
5月10日:都はるみが復帰して初のコンサート。 引退(1984年)
日本のヒット曲・流行歌おどるポンポコリン(B.B.クイーンズ)[作詞:さくらももこ] 第32回(1990年度)レコード大賞[ポップス・ロック部門]
♪ なんでもかんでも みんな おどりを おどっているよ … ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
恋唄綴り(堀内孝雄) 第32回(1990年度)レコード大賞[歌謡曲・演歌部門]
OH YEAH!(プリンセス・プリンセス)
くちびるから媚薬(工藤静香)
会いたい(沢田知可子)

アメリカ・トップ10
Because I Love You (The Postman Song) (Stevie B)
Nothing Compares 2 U (Sinead O'Connor)
Vision Of Love (Mariah Carey)
Vogue (Madonna)
Escapade (Janet Jackson)
Love Takes Time (Mariah Carey)
Opposites Attract (Paula Abdul with The Wild Pair)
Step By Step (New Kids On The Block)
How Am I Supposed To Live Without You (Michael Bolton)
It Must Have Been Love「愛のぬくもり」(Roxette)
The Beatles2月28日:ポール、来日。
3月3日~:ポール、東京ドームで公演。 ビートルズとしての来日以来24年ぶり。
12月10日:ニューヨークとリバプールで、ジョンの10周忌追悼イベント。

作品発表
7月:CD RINGO STARR AND HIS ALL-STARR BAND [Ringo Starr] 発売。
9月:CD(4枚組) LENNON [John Lennon] ソロとなってから発表した73曲を時代順に収めたもの。
11月:CD(2枚組) TRIPPING THE LIVE FANTASTIC [Paul McCartney] 発売。

スポーツ
野球6月24日:近鉄の野茂投手が、2度目の4試合連続2桁奪三振。
7月13日:近鉄の野茂投手が、今季11度目の2桁奪三振。新人の最多奪三振記録を更新。
10月13日:ロッテの村田兆治投手が、通算215勝を挙げ、現役引退を表明。
セ・リーグ
[優勝]巨人
パ・リーグ
[優勝]西武
第41回日本シリーズ
西武 4(○○○○)0 巨人
第62回選抜高等学校野球大会
[決勝戦]近大付(大阪) 3-2 新田(愛媛)
第72回全国高等学校野球選手権大会
[決勝戦]天理(奈良) 1-0 沖縄水産(沖縄)

大相撲
1月5日:相撲協会、森山官房長官に「女人禁制」を理由に大臣杯授与を断わる。
3月15日:横綱千代の富士、通算1000勝を達成。
7月25日:旭富士が第63代横綱に昇進。
1月場所
千代の富士貢〔ちよのふじ みつぐ〕[横綱、九重]14勝1敗(30回目)
3月場所
北勝海信芳〔ほくとうみ のぶよし〕[横綱、九重]13勝2敗(6回目)
5月場所
旭富士正也〔あさひふじ せいや〕[大関、大島]14勝1敗(2回目)
7月場所
旭富士正也〔あさひふじ せいや〕[大関、大島]14勝1敗(3回目)
9月場所
北勝海信芳〔ほくとうみ のぶよし〕[横綱、九重]14勝1敗(7回目)
11月場所
千代の富士貢〔ちよのふじ みつぐ〕[横綱、九重]13勝2敗(31回目)

サッカー
第14回ワールドカップ
【開催国】イタリア
【優勝国】西ドイツ(3回目)

囲碁・将棋
囲碁第14期棋聖戦
小林光一九段 4(○●○○○)1 大竹英雄九段
<5連覇>
第45期本因坊戦
趙 治勲九段 4(○●●●○○○)3 小林光一九段
<3連覇>
第15期名人戦
小林光一九段 4(○●●○○○)2 大竹英雄九段
<3連覇>
将棋第48期名人戦
中原 誠 4(○●○●○○)2 谷川浩司

科学・技術
1月24日:日本、初の月探査機「ひてん」打ち上げ。
4月24日:[米]スペース・シャトルに日本人として初めて乗る宇宙飛行士に毛利衛さんが決定。
4月24日:[米]ハッブル宇宙望遠鏡を載せたスペース・シャトル「ディスカバリー号」を打ち上げ。
12月2日:東京放送の宇宙特派員・秋山豊寛が日本人初の飛行士としてソ連の宇宙船ソユーズTM11号で宇宙に飛び立った。
4日、宇宙ステーション「ミール」とドッキング。
10日帰還。

主な出来事

事件・事故
1月18日:長崎市長が短市役所玄関先で正気塾幹部によって銃で撃たれて重体となった。昭和天皇に戦争責任に関する発言(1988年)に対する攻撃だった。
1月22日:【御徒町で道路陥没】 東京・御徒町駅ガード下道路が、手抜き工事で陥没。10人負傷。
5月12日:【足利事件】 栃木県足利警察署に幼女(4)が行方不明になったとの通報。
13日、渡良瀬川の河川敷で幼女を遺体で発見。 被疑者逮捕(1991年)  裁判の経緯
6月4日:東京都練馬区の工務店社長宅に2人組が侵入、3億円を強奪し逃走。
7月19日:国際興業事件で、株の仕手集団「光進」の小谷代表を藤田観光の株価操作で逮捕。
7月:花岡事件をめぐって、大手ゼネコンの鹿島と当時の中国人労働者・遺族との間で、共同発表文がまとまった。「企業としても責任があると認識し、深甚な謝罪の意を表明する」。 花岡事件(1945年)  和解成立(2000年)
10月3日:大阪で、警察官が暴力団員に捜査情報を流して金品をもらっていたことが発覚。

災害
7月3日:九州各地で集中豪雨。土砂崩れや河川の氾濫で27人死亡。
12月11日:千葉県外房地方に竜巻が発生。付近一帯で1人死亡、1700戸を超す家屋が倒壊。


以上

2012年1月18日水曜日

最後だとわかっていたなら

最後だとわかっていたなら

作/ノーマ・コーネット・マレック
訳/佐川 睦
サンクチュアリ出版


あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう

あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう

あなたは言わなくても
わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい…「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう

たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

そして わたしたちは 忘れないようにしたい
若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを

明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから

微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと

だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも大切な存在だということを
そっと伝えよう

「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう
そうすれば もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから





Fin

2012年1月17日火曜日

どーしたもんかなあ

どーしたもんかなあ、と思わずにはいられなかった。
大阪の現状を聞いたときの、率直な感想だ。

本当に中心地に近いような場所でも、シャッター通りになっていて、人通りもないのだそうだ。
そういえば、大阪市の予算の半分が、生活保護費なのだとかいう報道もあった。

このまま行けば、2031年には、関東も同じようになっているに違いない。

「社会福祉と税の一体改革」というのは、どうも、社会福祉費を削る一方で税金は上げる、ということらしい。

今年の成人が就きたい職業の第一位は、公務員だったのだそうだ。
はたして「公務員」というのは職業の分類なのかどうかはおいておいて、二十歳になった人間が、「社会福祉と税の一体改革」を推し進める政府の下で公務員になりたい、と望むような国って、もう先がないような気がする。

どーしたもんかなあ。

2012年1月13日金曜日

ありがたくない遺産

荒れ果てた三陸沿岸部と、放置された福島第一原発施設と、高い電気・ガス・石油と、高い食料と、バカ高い消費税率と、バカ高い健康保険料と年金掛け金、高い失業率、低い就職内定率、低い出生率、低い賃金、低い結婚率、

その結果得られたのは、
びみょうに健全化した日本政府の財政
だけ。


そんな2031。

2012年1月10日火曜日

まずは大人が手本を

今朝の朝日新聞一面に、こんなコラムが載っていた。

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2012(平成24)年 1月10日 火曜日
朝日新聞 座標軸
主筆 若宮啓文

明日の社会に責任をもとう
「日本の自殺」を憂う
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パッと見た瞬間は、毎年3万人を大きく超える自殺者のことを書いているのかと思うが、その内容はふるいサビで真っ赤っかになった、いわゆる「日本財政破綻論」だ。

(当該ページがなぜか重いのでリンクは貼りませんが、それでもどうしても原文を読んでみたいという奇特な方は、上のキーワードで検索すれば見つかると思います。でも、ホントに、何十回何百回と聞いたような内容ですのであしからず)

要するに、このままだと財政が持たないので増税しろ、と言っている。
また整備新幹線に代表される、いわゆる新たな大型公共工事はムダだ、とも言っている


こういうエゴそのもののような考えを、よくもまあ臆面もなく新聞の一面で発表できるものだ、と引っ込み思案なわたしにしてみれば別世界の、ある意味正直うらやまくなるような、厚顔無恥なハートをお持ちの方だ。

それが最もよくあらわれている部分を紹介したい。

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膨大な借金が大きな返済額として現在の予算を食うだけでなく、子や孫の世代につけを回していることに変わりはない。しかも少子の時代が進むから、ひとりあたりの負担はどんどん大きくなる。
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どうだろうか。
わたしなどは、

この『子や孫の世代のために自ら我慢しよう』という発想がまったくない思考回路に感心しきり。

『子や孫の世代がたらふく食えるよう、いまのうちから田や水路の整備にとりかかっておこう』という発想もまったくない。

おみごと、と腕を組んでしまった。

だって、自分たちはとっくにさんざん飲み食いし散らかしたから「もう新しい田んぼはムダだ」という発想なんだぜ。
自分たちは食事の量を減らす気なんかまったくなくて「このままだとワシの飯が心配だから、お前たちの食い扶持からもっとよこせ」という発想なんだぜ。

すごくね?



ふつうの大人なら、子や孫の世代のために「わたしの分はいいから、育ち盛りのお前たちが食べなさい。お前たちがおなか一杯になって、元気に育ってくれることが、わたしの一番の幸せなのだよ」と、自分からお茶碗のご飯を米びつへ戻すのではないだろうか。


この主筆という肩書きのおっさんには、そんな発想がまったくない。

増税増税増税。
あー増税増税。
お前たちは俺のお古を着てりゃあいい。

(それに、一度あげたら税率は子や孫の代になっても、どーせ高いまんま)


若宮さん。
大人として、あなたはどうかしてる。



おわり

2012年1月9日月曜日

成人の日

ポジティブシンキングだとか、ポジティブ心理学だとかいうのと、わたしは肌が合わない。

コップ半分の水を見て、
「まだ半分ある」と「もう半分しかない」
のどっちだっていいじゃないか、とわたしは思ってしまう。

飲んでしまえばなくなることに変わりはないのだから。

といってながめていても、喉の渇きはいやされないのだから。



今年の年末年始は、ちっとも笑えなかった。
被災地があのままなら、ずっとこの気分は続くんだろう。

それに、また大きな地震が起きる確率もかなり高い。

あれだけプレートが大きく動いたのだ。
その影響が周囲に及ばないわけがない。

次はほぼ確実に、東海・東南海・南海の巨大地震だろう。

なんといっても、お隣のプレートなのだから。

今年、それは起きるかもしれない。


今年成人された皆さん、おめでとうございます。
あなたたちが生きていく日常は、こういうことになっていますので、そこのところヨロシクです。





おわり