2012年10月26日金曜日

コーチとしての目線 具体例

 コーチとしての目線の例として、チャンピオンズリーグの試合を観ていたら、ちょうどいい場面があったので紹介します。

 その場面は、先日フジテレビで中継していた、マンチェスター・ユナイテッド対ブラガ戦にありました。

 ブラガが先制得点をあげるシーン。

 左サイドからのクロスを、ゴール前で待っていた選手がヘディングで決めました。

 解説の方は、このシーンを、DFのマークがずれたための失点だと分析していました。試合開始直後で、マークがはっきりしていなかったために、マークがずれ、ポジションを前に入られたのだと。

 でもそれは間違いです。

 そもそも、試合開始直後だからこそ、マーカーは細心の注意を払っていたはずです。
 マンUのCBであればなお更です。それもCLの試合です。開始直後だから緩んだ、なんてことは絶対にありません。そんな選手は、マンUに入団できません。

 ではなぜ、ゴールを決められてしまったのか。

 それは、クロスのボールの質を、ブラガの選手は知っていて、マンUの選手は知らなかったからです。

 それを意識して観てもらえばわかりますが、このクロスは、最後の方で急激に曲がって落ちています。野球の変化球で言うと、2階から落ちてくるカーブ、あるいはシンカーといった感じの球質です。

 ブラガの選手は、それを知っていて、マンUの選手は知らなかった。
 
 マンUの選手は、クロスが蹴られた直後、ぴったりそのコースにポジションを取っています。もしこのクロスが、通常の球質であれば、マンUのDFは有利な位置で余裕でクリアできていたはずです。

 ところがこのクロスがどんな球筋をたどるのかを知っているブラガの選手は、マンUの選手とはまったく違う位置を狙っていることがわかります。助走する体の向きが、マンUの選手のそれとは違うことからも、それはわかります。

 ボールは、ゴール付近まで接近したところで急激にそのコースを変化させます。
 ぐぐっと曲がって、すとんと落ちたのです。

 マンUのDFがあわててそれに対応しようと、競るポイントを修正しようとしたときにはもう手遅れ。
 助走十分にジャンプしたブラガの選手の万全な体制でのヘディングに蹴散らされてしまいました。

 もしこのクロスが1本目ではなく、マンUの選手がすでに体験していたのであったなら、この得点は生まれていなかった可能性がかなり高いです。球筋を予測して、対応できるからです。当然ゴールキーパーもそれなりの反応をするでしょうし。

 観客であれば、「マークをしっかりしろ!」で十分ですけど、もしあなたがコーチであれば、この失点の原因を、DFの集中力の欠如、としてしまうのは間違いです。

 集中していなかったように見えたのは、あるいは、集中していなかったプレーに見えたのには、それなりの理由があるということです。

 これはトップレベルに限った話ではなく、どんな年代にも当てはまります。
 まわりに誰もいなければ、子供はドリブルをし続けるものですし、ゴールにシュートするものです。
 それが楽しいからサッカーをしているんですから。
 でもそうしなかったとき、その原因は、その子だけにあるのではないんじゃないか、その子の周辺で何かが起こったのかも、あるいは起こらなかったのかも、そういう視点を常に忘れないことが、コーチには必要なんじゃないかなあ、なんて思う今日この頃なのであります。

 しかし、スロー再生でまで、「試合開始直後でマークがずれた」という解説を繰り返すあのフジテレビの解説者氏は、いかがなものかなあと率直に感じました。
 まあ、テレビ局のモニタが小さくて、よく見えなかったということなんでしょうね、きっと。

 とにかく、コーチであれば、「すごい、ひどい」ではなく「なぜ、どうして」を見つけ出す目を持って欲しいなあってことです。
 そういうことです。
 あと、この試合自体は、録画したものの最初の数分を見ただけで、まだ全体を見終わったわけではありません。もしかするともっといい場面があるのかもしれませんけど、たまたま出てきたこのシーンでもいいかと、とりあえず書いてみました。

 おわり

2012年10月23日火曜日

コーチとしての目線

 ゲームを観ているとき、普通は「起きていること」に目線が向かってしまうものです。
 パスをしたとか、ドリブルをしたとか、シュートをしたとか、タックルしたとか、ポジションを移動したとか、あるいはその逆に、パスを失敗した、ドリブルを失敗した、シュートを失敗した、相手にかわされた、ポジションを間違えた、そういうことに目を向けてしまいます。

 応援しているご父兄であったり、実際にプレーしている選手であれば、それでもいいでしょう。
 でも、コーチは、それだけを見ていてはだめです。

 コーチが目線を向けるべきもうひとつは、「起きなかったこと」です。

 「起きなかったこと」とは、以下のようなことです。

 ・あそこへパスすべきだったのに、そこへのパスを選択しなかった。
 ・もっとドリブルでチャレンジすべきだったのに、パスを選択した。
 ・シュートチャンスがあったのに、シュートしなかった。
 ・フリーだった選手が、ボールを要求しなかった。

 他にもいろいろありますが、イメージとしてはこのようなことです。
 あるいはこういうことも、「起きなかったこと」に含まれます。

 ・あそこへパスをされたら決定的なピンチだったのに、相手はそうしなかった。
 ・もっとドリブルで食い込まれていたら厳しかったのに、相手はそうしなかった。
 ・いい感じで相手がボールを回していたのに、なぜかバックパスをしてくれたので一息つけた。

 これらはみな、そうなって当然だったのに、そうならなかった展開です。「起きるはずだったのに、起きなかったプレー」と言っていいでしょう。
 
 どうしてそうならなかったのかには、必ず何か理由があります。
 パスコースの先に敵が見えたとか、選択を躊躇させる声が聞こえたとか、直前に同じような状況があり、そこで失敗していたとか、あるいは試合前のコーチの一言とか、前日の練習に、その理由が隠れているかもしれません。

 コーチであれば、そこまで観る必要があります。考える必要があります。
 逆に言えば、それができるのはコーチだけなんです。

 個々の選手の特徴や性格、普段の練習、そして試合前の指示など、そうしたことをわかっているのはコーチだけだからです。

 試合中のこのようなプレーのことを、別の言い方で「見えないプレー」と呼びます。
 南米や南欧の、いわゆるラテン系の選手は、こうした「見えないプレー」が巧みです。そしてコーチも、そういうプレーを見る目を持っています。
 わかっているから、コーチはそういうプレーを的確にほめますし、的確にしかります。だから選手たちにも、自然とこうしたプレーが身についていきます。

 それが偶然であってもいいんです。あるいは、厳密にはそうなっていなかったとしても(つまり、見えないプレーとして成立していなくても)いいんです。

 それに近いような状況があったとき、コーチが一言「今のはいいプレーだ。それで相手をコントロールできたんだぞ。本当はこうしたかったのに、今のお前の見えないプレーで、相手はそれができなかったんだ」と指摘してあげましょう。
 試合中であれば、どの選手がこうしたプレーを自然とできているのか、あるいはできていないのか、にも目を向けましょう。そうした情報は、その選手の今後の伸びに大きく影響する、重要なカギになるからです。

 「どうしてそこで、あそこにパスをしないんだ!」
 「もっとドリブルできただろ!」
 「シュートしろよ!」
 と、怒鳴るだけではなく、なぜそうしなかったのか、できなかったのか、あるいは、ああなっていたら決定的なピンチとなっていたのになぜそれは「起きなかったのか」にも目を向けましょう。

 それができるのはコーチだけであり、また、そこを楽しむことができるのもコーチの特権なんですから。

 カラーコーンを使って、ドリブルやトラップや対人スキルの練習をさせているだけでは、犬に芸を教えているのと大差ありません。
 器用な犬を育てるのは、少年サッカーのコーチの仕事ではないんです。
 もちろん個人技の習得は、とても重要です。
 でも、子供たちは犬じゃありません。
 ちゃんと考える頭を持っています。

 子供たちが自分の頭で何を考え、それがどう成長していくのか、それに関わることができる、これこそが少年サッカーのコーチの醍醐味であり、大きな楽しさだと、わたしは確信しています。

 ちなみに、試合で失点したとき、子供たちが下を向いてしまった、という状況で「下を向くな!」と声をかけつつ、目では「なぜ下を向いてしまったのか」「それぞれの子の下の向き具合、程度、違いはどうか」を冷静に観察している、そういうコーチがいいコーチだとも確信しています。

 どうか是非、「起こったこと」だけではなく「起こらなかったこと」にも目を向けることのできるコーチが、一人でも多く少年サッカーにたずさわっていただけることを切に願う、今日この頃なのであります。


以上

2012年10月22日月曜日

2012浦和レッズジュニアユース

2012 浦和レッズ ジュニアユース メンバー

ポジション 氏名 身長 体重 生年月日 前所属

U-15 

GK2名 DF7名 MF7名 FW4名 計20名

GK 岩本 拓 172 56 下落合SSS
GK 大川 圭為 173 61 19980327 FC浦和(浦和仲本SSS)
DF 新井 克之 167 58 19970415 レアル狭山ジュニア
DF 小木曽 佑太 177 61 19970622 FC浦和(浦和栄和SSS)
DF 高橋 聡史 169 50 19970810 FC浦和(浦和岸町SS)
DF 中塩 大貴 175 53 19970608 江南南SS
DF 信沢 啓人 168 57 19970924 NEOS FC
DF 東 信幸 182 62 19970709 FC浦和(浦和大牧SSS)
DF 水上 真 165 58 19970410 FC浦和(北浦和SSS)
MF 石井 康輝 158 52 19971226 戸塚FCジュニア
MF 小田切 真人 151 38 19970730 浦和道祖土SS
MF 影森 宇京 156 42 19980107 戸塚FCジュニア
MF 田中 拓真 149 41 19970905 FC浦和(浦和三室SSS)
MF 松尾 佑介 146 36 19970723 戸塚FCジュニア
MF 村上 秀斗 162 48 19970819 FC浦和(浦和岸町SS)
MF 渡辺 将矢 166 51 19970402 新座片山FC
FW 川上 開斗 163 54 19970416 浦和大牧SS
FW 新納 大雅 156 48 19980315 江南南SS
FW 堀内 千寛 170 55 19970831 NEOS FC
FW 和久井 大輔 168 53 19970725 NEOS FC

 先日観戦した対クマガヤ戦では、右サイドにスピードのある面白い選手がいたんだけど、それはどの選手なんだろう?

U-14

GK2名 DF6名 MF8名 FW4名 計20名

GK 関 敦也 166 62 19980609 川越ひまわりSC
GK 宮川 聖冬 156 41 19981209 浦和尾間木SSS
DF 浅賀 祐太 165 52 19980512 浦和尾間木SSS
DF 小崎 魁 169 53 19980702 FCアビリスタ
DF 河内 渉真 160 48 19980605 東川口FC
DF 斎木 大輔 165 55 19980506 FCアビリスタ
DF 高橋 海翔 157 48 19980409 浦和尾間木SSS
DF 渡辺 陽 158 48 19981014 東川口FC
MF 伊藤 敦樹 159 40 19980811 浦和道祖土SS
MF 清水 裕太 145 37 19980516 新座片山FC
MF 関 慎之介 161 44 19980430 浦和大東SSS
MF 知久 航介 155 43 19990203 浦和三室SSS
MF 中嶋 海登 157 46 19981230 FCアビリスタ
MF 野口 琢真 148 37 19981020 浦和尾間木SSS
MF 平野 正人 147 43 19980427 浦和土合SSS
MF 松高 遼 164 53 19980801 FCアビリスタ
FW 川上エドオジョン智慧 158 53 19980421 西上尾キッカーズ
FW 轡田 登 172 61 19981110 越谷サンシンSSS
FW 萩原 大智 161 51 19980811 江南南SS
FW 町田ジェフリー 167 58 19980804 鶴ヶ島サザンキッカーズ

 この年代では、やっぱりエド君に期待したい。

U-13

GK2名 DF7名 MF7名 FW4名 計20名

GK 柿沼 優輔 169 50 19990615 浦和大久保SSS
GK 高草木 天平 165 52 19991008 浦和大門SSS
DF 角田 涼太朗 150 38 19990627 北浦和SSS
DF 橋岡 大樹 170 50 19990517 浦和大久保SSS
DF 樋口 颯太 154 40 19990930 浦和常盤SSS
DF 松永 悠希 150 34 19990728 プログレッソSC
DF 三井 愁雲 152 38 19990807 戸塚FCジュニア
DF 山崎 広大 145 38 19990519 越谷サンシンSSS
DF 山崎 舜介 145 38 19990519 越谷サンシンSSS
MF 大西 翔也 154 41 19991007 NEOS FC
MF 萩原 拓也 150 39 19991123 1FC川越水上公園
MF 菊池 泰智 140 33 19990507 浦和辻SSS
MF 立川 将吾 154 42 19990423 FCアビリスタ
MF 長倉 幹樹 143 34 19991007 NEOS FC
MF 山下 勇希 140 33 19991028 プログレッソSC
MF 弓削 翼 150 40 20000205 戸塚FCジュニア
FW シマブク カズヨシ 148 37 19990729 東松山ペレーニア
FW 白田 颯人 143 36 19990512 レジスタFC
FW 関根 陸斗 143 32 19990608 与野西北
FW 長谷川 魁哉 152 40 19990602 浦和三室SSS

 シマブク君は、察するに沖縄からブラジルへ移民して、その後帰国された方の息子さんなんだろうか? 東松山ペレーニアはブラジル式の育成に注力しているチームだから、彼の個人技にはすばらしいものがありそうだ(まだ実際に見たわけではないけど)。レッズユースで今後サッカーというゲームについて学ぶであろう、彼の今後に期待したい。

 あと、レジスタ出身の選手が全体で一人だけっていうのは意外だった。
 レジスタの子は、FC東京や帝京FC志向なんだろうか?


以上
 



2012年10月11日木曜日

少年団大会予選観戦メモ

第41回 埼玉県サッカー少年団大会 北足立北部地区予選


順位決定戦および準決勝、決勝

2012年10月13日(土) 桶川総合運動場(太郎右衛門橋下の荒川河川敷かな?)

10時から(あるいは9時からかも)

当日の対戦カードについては、検索で発見できず。

2012年10月9日火曜日

大敗濃厚なときのメンタルコントロール法

 ではさて、体育の日に浦和レッズジュニアユースがクマガヤSCに0-8の大敗を食らった、昨日の高円宮杯県予選を題材に考えてみたい。

 試合開始前のウォーミングアップのとき、リラックスしていたのは浦和の方で、クマガヤの方が緊張しているように見えた。
 キックオフ直前も、各ポジションに散った仲間に対して、「びびらないで思いっきり行こう」と声を掛けていたのはクマガヤの方だった。

 ところが試合が始まると、クマガヤが浦和を終始圧倒。浦和はハーフラインを越えられないような状態で、防戦一方となった。
 そして確か10分くらいに失点。
 浦和がキックオフして試合再開するときには、ベンチからコーチの「大丈夫だ。ゼロゼロだと考えてプレーしろ」という声が飛んでいた。
 ということは、実は浦和の方は、かなり厳しい試合になるであろうというような予想をしていたことが読み取れる。なぜなら、失点した選手たちに対して、コーチは勇気付けているからだ。これがもし、自分たちの方に自信があったのであれば、「なにやってんだ! まだ寝てんのか! 気合入れろ!」という叱責の声が飛ぶはずだ。

 前半で3点目を入れられると、浦和ベンチからは励ましの声も消えた。
 点差的にも内容的にも、こりゃあどうにもならんな状態だったからそれも致し方あるまい。

 後半になると、まず浦和のベンチが選手を次々入れ替え始めた。
 クマガヤの方は、後半5分過ぎくらいからどんどん選手を入れ替え始め、最終的にはCBの二人を除いた8人くらいが交代したのではないだろうか。

 浦和の選手たちから聞こえてくるのは「下向くな」「笛が鳴るまで」「1点取ろう」というような言葉と、味方がトラップするときに「フリー」「来てる」という声くらいだった。その声のサポートも、クマガヤの寄せが早いので、フリーと言われた直後にガツンとやられてるような場面がいくつもあった。ボールを持っていない選手にも、それくらい余裕がなくなっていたということなのだろう。フリーって教えるのも大切だけど、同時に全速力でフォローに行くことも大事だよ、って見ていてちょっと思ったシーンだった。

 さて本題。
 大敗濃厚な試合では、どのようなことを意識してプレーすべきなのだろうか。

 まず「ゼロゼロだと考えろ」と言われても、それは無理なのだということを理解する必要がある。
 知ってしまった以上、知らなかった心理状態に戻ることはできない。また「ゼロゼロだと考えろ」という指示は、心理学的には、逆に点差を意識させる効果を持つ。忘れようとすればするほど、記憶が強化されていく作用と同じように。同様に、「自信を持て」というアドバイスは、かえって不安を強めてしまう。本当に自信があれば、それができるかどうかなんてまったく考えないので、そもそも自信があるないなんて疑問は思い浮かばない。

 ではどうすればいいか。
 答えは「他の事を意識させる」だ。

 他の事を意識させることで、心理的に悪影響を与えている情報を思考から排除させる。
 人間の脳は、同時に二つのことを考えることができない。
 何かを考えているときは、そのことしか頭の中にはないのだ。寝るときに、いろいろなことが頭を離れなくて眠れない、と悩んでいる人は、実は、つまみ食いをするように、あっちを考えたら今度はこっち、こっちを考えたら次はむこう、というように思考のザッピングをしているだけで、その瞬間瞬間には、実はひとつのことしか考えられていない。

 ちなみにわたしは寝つきが悪いとき、自分の額の真ん中の、骨の厚みはどれくらいだろうかを考える。そう、自分の頭蓋骨の厚さが、皮膚の下からどこまであるのかを、感覚としてつかむことに集中するのだ。
 なんの意味もない、無駄で、馬鹿馬鹿しい行為だ。
 でもだからこそ、他の事は考えない。
 心配事や不安があっても、とにかくおでこの真ん中の骨の厚みがどれくらいなのか、それがはっきりとわかるまではそれしか考えない。
 そうしているうちに、いつしか眠ってしまう。

 大敗濃厚なときも、この人間の脳や心理の働きを利用するのが正解だ。
 問題となっていることとはまったく違うことに意識を向けることで、問題を深刻化させている心理の悪作用を解消するのだ。
 大差がついているのであれば、意識を点差以外のことへ向けざるを得ないようなことを指示する。たとえば「鼻で呼吸しろ」とか「激しく当たれ」とか、体を意識するようなことを指示すると、点差という、実体のないイメージは頭から消える。点差なんて、そのときそのときのプレーにはまったく関係がなくて、ただ最終的に勝敗を決定する際の目安として記録しているだけのものでしかないのだから、本人が意識しない限り、それは存在しないも同然なのだ。

 個人的には、知らないことは存在しないも同然だ。
 鏡や写真がなかった時代は、人は自分の顔のイメージを持っていなかった。自画像を描こうなんて思いもしなかったし、実際にはほぼ不可能だった。だから自分が美人か不細工かなんていう悩みは存在しなかった。
 健康診断のいろいろな数値だって、知らなければ自分が健康かなんて考えないし、知ったからといって健康になるわけでもない。けがや病気の原因のうち、健康診断の数値に関係するものはほんの一部でしかないからだ。

 セルフコントロールのコツは、いかに違うことを考えられるかだ。
 負けているときに「時間はまだあるぞ」と言われれば、残り時間のことを意識してしまう。
 プレッシャーを感じているときに「落ち着け」と言われれば、あわてている自分を意識してしまう。

 たとえそれがポジティブなものであったとしてもイメージは、それが問題に関係があることであれば、意識にどうしても問題それ自体へ向けさせてしまう作用を持っている。
 であるからしてである、負けている試合では、勝ち負けに関係のない、たとえば当たりについて指示を出すのが正解なのだ。
 具体的には「まず1点取り替えそう」ではなくて「マークをハードにしろ! 逃げないで強く当たれ!」と指示をする。
 負けている状況では、たいてい相手の方がボールをキープしている。そこで自分たちの攻撃に関する指示をされても、選手たちに無力感を与えるだけだ。そうじゃなくて、相手がボールを持っている状況でも、自分から積極的に戦っていけるような指示をもらえば、選手は自信を持ってそのプレーに集中できる。
 
 だからこれからは、負けている選手たちに「最後まで」とか「顔を上げろ」と言うのはやめてあげてください。
 それは顔の不自由な人に「人間は顔じゃない」とか」「心が大事だよ」と言っているようなものだからです。

 ちなみに、病気でもない人に、「あなたは将来病気になる可能性があります」といって利益を上げるビジネスは、天国行きか地獄行きかって言ったら、絶対に地獄行きだとわたしは思うのであります。
 
 話がずれたけど、要するに、考えたからって良くなることなんてないんだよってことです。人間に超能力はないんですから。




2012年10月8日月曜日

埼玉県ユース(U-15)大会

埼玉新聞社旗争奪第21回埼玉県ユース(U-15)サッカー選手権大会 兼
高円宮杯 第24回全日本ユース(U-15)サッカー選手県大会 埼玉県予選
高円宮杯 第24回全日本ユース(U-15)サッカー選手県大会 埼玉県クラブ予選

県クラブユース連盟のサイトの予定表だと、どれがどれなのかよくわからなかったんですけど、とにかく今日、熊谷スポーツ公園のサブグラウンドへ観戦に行ってきました。

10月8日(体育の日) 1100キックオフ
クマガヤSC 対 浦和レッズジュニアユース

快晴で気温は高かったが、湿度は低かったのでそれほど悪いコンディションではなかったように思います。でも、暑かったことは暑かったです。日差しも強かったし。
天然芝水を吸っていて深めで、風もややありました。

そして、

ほとんど予備知識なく観戦したため、わたしはひどい失敗をしてしまったのです。
とても反省しています。

というのも、試合内容があまりにも一方的だったので、勘違いしてしまったのです。これがまずかった…

クマガヤ 浦和レッズ
前半 3-0
後半 5-0
計  8-0

体格も、走力も、当たりも、プレースピードも、パススピードも、判断のスケールも、ファイティングスピリットも、そして声も、あきらかにクマガヤの方が上回っていました。

それでてっきり、スケジュールの都合か何かの理由で、浦和はベストメンバーを組めず、中2と中1が主体のチームだったのではないか、と。
それに対してベストメンバーで挑むこととなったクマガヤは、そのプライドに掛けて全力で倒しに来たため、あれほど極端な内容になったのではないか、と。

わたしが後悔している失敗とは、その試合終了直後に起きました。というか、やってしまいました。

すぐ近くで応援していた、浦和レッズ選手の父兄の方々に、確認のために尋ねてしまったんです。
「今日の浦和は何年生主体のチームなんですか?」と。

父兄の方は(やさしそうなお父さん風でした)、
「中3と中2です」と教えてくれました。

そのあとわたしはうっかり、言わなくてもいいことを言ってしまったのです。
「ああそうなんですか。てっきり中2と中1のチームだったのかと思いました」

このあと、父兄の方々の顔色は、明らかに変わりました。

しまった、と思ってももう後の祭り。

失礼を言って、申し訳ありませんでした。

自分の思い違いだったのか、という意味で言ったのであって、決して他意はありませんでした。
でも絶対に、バカにされたとか、からかわれたとか、侮辱された、と受け取られたでしょうね。

本当にすみませんでした。

ああ、失敗した。
ただ「ありがとうございました」でよかったのに、どうして余計なことを言ってしまったのだろう。

こういう、思いもよらない侮辱って、結構記憶に残るんですよね。
あのお父さんも、ずっと覚えてるんだろうなあ。
気分悪くしただろうなあ。
悪いことしたなあ。

試合中、あんなにぺちゃくちゃいろいろ話してた、奥さんまで黙っちゃったもんなあ。









でも、もしかしたら、意外と気にしてないかもしれないし。
もうすっかり忘れてしまったかもしれないし。
わたしもなかったこととして、忘れちゃおう。

そもそも、あんなにひどい試合をした浦和レッズが、一番悪いという見方もできなくないし。
だってマジで、前半途中からは、「去年まで小学生だったにしては、ベストのクマガヤ相手にこれだけできるんだから、やっぱ浦和の選手たちはすごいなあ。この子たちが3年生になったらすごいことになるんじゃないだろうか。浦和もものすごい育成の仕方をするよなあ。公式戦でクマガヤ相手に、あえて新人を千尋の谷に落とすんだから」と思って感心して観てましたから。

だから、わたしも悪かったですけど、レッズも悪かったってことで、差し引きゼロで、チャンチャン。

てへ。

2012年10月5日金曜日

天然芝グラウンド

 先月行った前橋市には、国際交流市長杯の試合会場となっているものだけでも、確か三箇所は天然芝グラウンドが整備されていた。
 群馬県の中心都市と北足立郡北部地区を比較するのもなんではあるが、それでも1市対4市1町として、決して言い訳のできる環境差ではないとわたしは思う。

 北足立北地区の天然芝グラウンドでぱっと思い浮かぶのは、鴻巣市の陸上競技場だ。
 次は桶川市のごみ処理場隣のグラウンド。ここは何かの施設の屋上にあるので、ボール拾いがとても危険だった記憶がある。
 上尾市と北本市と伊奈町については、天然芝のグラウンドがあったのか、わたしの記憶では定かではない。
 あと、そうそう、鴻巣市の荒川河川敷に、手入れが行き届いているとは呼べないような天然芝の広場のような運動場があったはずだ。

 人工芝のグラウンドは、鴻巣市の上谷総合運動場にひとつあるだけ。

 こうしてみると、この地区では鴻巣市がサッカーに理解があるといっていいだろう。

 上尾高校のある上尾市が、サッカーよりも野球重視だというのは理解できる。上尾市にとっては、大事にしたいイメージなのだろう。「上尾といえば野球」というのは。

 桶川市と北本市には、率直に言って何もない。
 桶川市には本田飛行場があって、北本市には解脱会がある、と思っているのは地元の人間だけで、まあ今度圏央道が全線開通すれば桶川北本インターチェンジとして、多少は知名度が向上するだろうが、それでも特徴のない自治体、地域であることには変化はないだろう。

 ここはそれを逆手にとって、看板ではなく内容で勝負する行政に注力してはどうだろうか。言い換えれば、『穴場の自治体』として、リピーターを増やすことを考えて街づくりをするのだ。
 リピーターとは、この地域で生まれ育った人、仕事で一時期暮らした人をさしている。
 そういう人に「この地域で暮らしたい」と思ってもらえるような街づくりだ。

 効果的なのは、地域の人が気軽に参加できるイベントやクラブや自由さが、日常に転がっているような環境を整えること。
 あれやっちゃ駄目、これやっちゃ駄目、では、その枠の中にいる人は暮らしいいかもしれないが、その枠に入らなかった人にはストレスでしかない。

 昨今、ボール遊び禁止、ペットの同伴禁止、飲食禁止、そういう公園が増えていると聞く。そういう注意書きが増えることはあっても減ることはない、それが当たり前だという風潮を、この地域から変えて行きたい。
 何週間も前に予約しないと使えないグラウンドじゃなく、思い立ったら気軽に使える天然芝のグラウンドがたくさんある地域にしたい。
 手入れが大変だというなら、マシンで整備しようじゃないか。粉砕すれば、犬猫の糞だって肥料になる。芝刈りや草刈りが好きな人だって、実は大勢いる。あれって無心になれるから、すごくいいストレス解消になるし。
 公園の樹木や街路樹には、甘い実のなる木を植えよう。
 市の広報には、毎回季節の花の種を添付しよう。
 公用車には、楽しくなるようなイラストやデザインをほどこそう。
 民家の庭先や門には、防犯も兼ねて太陽電池のライトを付けよう。夜に真っ暗な街は怖いから。
 暗渠になっている小川を復活させよう。そして錦鯉の泳ぐ姿を見せよう。

 コストが掛かるから。一部の人しか使わないので不公平だから。役人や議員は、いつもそんなことを言って、なにもやらない。
 もっと困っている人がいる。それよりもまず弱者対策が先だ。とクレームをつけてくる大声の人たちもいる。

 それは確かに正論だ。
 でも思い返してみて欲しい。
 正論ばかり言ってたやつに、友達がいなかったことを。
 そんなやつがいた記憶はあるけど、だれも名前を覚えていないことを。

 木登りしたら危ないよ。これは正論だ。
 でもクラスのヒーローは、高い木に登っていった。
 そしてみんなから「どこまで見えた?」と質問攻めにあう。
 そしてヒーローは答えるのだ。
 「ずっと遠くまで見えたよ」と。

 どうか桶川市と北本市の行政を預かるポジションにある方々には、ずっと遠くまで見据えた政策で、この地域を育てて言って欲しい、と願う今日この頃なのでありました。


おわり

2012年10月3日水曜日

前橋市長杯

今年も前橋市長杯を観戦にでかけた。

第16回国際交流サッカー大会前橋市長杯U-12
前橋市制施行120周年記念事業 東日本大震災復興支援
9月15日(土),16日(日),17日(祝)

総合結果順位(1位より降順)

浙江緑城FC
川崎フロンターレ
バディーSC
柏レイソル
レジスタ
VF甲府
アスペガス生駒
JACPA東京
NEOS
柏RAA’82
VIVAIO船橋
図南SC
SP-フッチ
アビリスタ
在日本朝鮮選抜
アイリス住吉
ソウル市選抜
韓国全国選抜
前橋市選抜
江南南SS
アスルクラロ沼津
名古屋FC
横浜F・MP追浜
FTP SC
コラソン
三菱養和巣鴨
アルティスタ
スクエア富山
エスポルチ秋田
福島ユナイテッド
杉並アヤックス
VIENTO
門真沖SC
FC杉野
チョンリマFC
FC Enable

以上全36チーム


1位の浙江緑城FCというチームだが、ウィキペディアによれば――

 杭州緑城足球倶楽部(こうしゅう-りょくじょう-)は中華人民共和国の東部、浙江省杭州市を本拠地とするサッカークラブである。中国サッカー・スーパーリーグ(中国超級聯賽、国内リーグ1部に相当)に所属。1998年 緑城房産、浙江大学、浙江省サッカー協会が共同で浙江緑城足球倶楽部創立。


現在トップチームには、レッズにいたマゾーラやフロンターレにいたレナチーニョが所属しているらしい。

浙江省杭州市といえば、先日の反日デモで日本料理店や日本のラーメン店が破壊されたことでも有名な街であり、上尾市の姉妹都市でもある街。
http://sankei.jp.msn.com/world/photos/120819/chn12081922130005-p8.htm

緑城(グリーンタウン)というのは浙江省で好き勝手やってる大手不動産グループ。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0216&f=stockname_0216_106.shtml


 わたしは大会初日に、今年オープンしたばかりの天然芝グラウンドである下増田多目的広場で観戦した。
 伊勢崎オートレース場のすぐ裏ということだったのだが、何本もの川とローカル鉄道に挟まれた立地で、会場へ着くには意外と手間取った。
 会場のコンディションはすばらしいの一言。できたばかりとあって、雑草の一本も生えていない天然芝のグラウンドで試合ができる子供たちは幸せだ。
 ただし、なぜかカラスが大量にいて、フェンスの上からじっと試合を眺めていた。
 おそらくカラスの方が先に住み着いていて、そこにあとから人間がグラウンドを造成したということなのだろう。

 観戦した試合は、バディーSC対ソウル市選抜選。全日本少年サッカー大会ベスト4のチームが、おそらく一学年もしくは二学年上も混じっているであろうソウル市選抜とどういうゲームをするのかが楽しみだった。
 ちなみにソウル市選抜に上の学年が混じっているだろうというのは、わたしの憶測だ。
 この大会に参加する海外チームは、学制の違いからなのだろうが、例年中学生が混じっている。ソウル市選抜もそうなんだろうなあと考えた。

 実際体格では一回り以上、ソウル市選抜の方が大きかった。髪も、韓国ファッション独特の茶髪が何人もいた。態度も、日本の基準からするとそうとうに悪く、時間もまったくルーズだった。
 まあ別に悪気があるのでもないのだろう。あくまで日本の感覚からすると、わたしにはそう感じられたという話だ。
 ちなみに、試合開始時も後半開始時も、規定の時間が来て、審判が呼んでも、まったく意に介さずだらだら歩いて来るあたり、それに対してコーチらも気にしていない様子は、同じ東アジア人といっても外国人なんだなあとあらためて学ばされた。

 試合内容は、個人技でまさるバディーに戸惑うソウル選抜という感じで終始進んだ。
 相手が小学生だと思ってなめていたら、ガツンとやられたってところだろう。
 前半早々にバディーの決定的なヘディングがバーをたたき、そこからもシュートチャンスがあったのはバディーだけ。ソウル選抜はシュートゼロだった。

 後半になると尻をたたかれたのかソウル選抜が猛攻をしかけてきた。当たりも激しくなり、シュミレーションも大げさになってきた。オーバーに転んで「オオウ、アオオウ」と審判へアピールする辺りは、さすが泣き女の文化の国の人たちだなあと、腹の中で大笑いした。

 試合結果はバディーが前半に、完璧な崩しからインサイドで冷静に流し込んだ1点を守りきって、1-0でバディーの勝利。

 各大会会場がもっと近ければ、レイソルやレジスタ、韓国全国選抜、江南南、フロンターレ、アビリスタ、そして浙江緑城の試合を見たかったのだが、この日はとにかく暑くて、1試合だけの観戦で早々に退散した。

 『泣き女』
 韓国や台湾の冠婚葬祭文化の代表的なもののひとつ。葬式の際、故人がいかに徳のある人だったかをアピールするために雇われる、泣きのプロ集団。どれだけ激しく泣きじゃくるか、またその人数がどれほどか、によって故人の「すばらしい人ランク」が決まる。この風習のことを知らずに、韓国や台湾の方の葬式に出席すると腰を抜かすほど驚く。なにせ、徐々に盛り上がって泣くのではなく、「ではお願いします」といった感じに突然スイッチが入って、大の大人が駄々をこねる子供のように泣きじゃくるのだから(でもたぶん、上手い下手はあると思う。絶対)。
 感想はいろいろあるとは思うが、昨今のあまりにさっぱりあっさりした日本の葬式も、正直なんだかなあとわたしは思っているので、あの盛り上がりっぷりは、韓国の飲み会と共に、敬意を払ってしまう。だって今時の日本の葬式じゃあ、ほんとに香典渡しに行ってるだけみたいだもん。わざわざ喪服に着替えるのも面倒に思えるくらいに形式的になってる。あれじゃあ、そう遠くない時に廃れてしまうだろうね。


以上