2011年8月27日土曜日

8月中旬の被災地状況─その2─ 岩手県宮古市市街~津軽石~重茂半島


宮古市市街地から、国道45号線沿いに南下し、津軽石から県道41号を東進し、太平洋と正対する重茂半島の重茂漁港を巡りました。





黒い津波が“ウェーブ”をするかのように堤防を乗りこえる映像が印象的だった宮古市役所のそばです。
建物は残っていても、使用はできないみたいです。
「解体可」の下に書かれた「バカヤロー」は、誰に向かっての「バカヤロー」なのか。


下の2枚は、宮古市魚菜市場に掲示してあった、タレントのみなさんのサインです。





宮古市から津軽石川沿いに山田町方向へ南下すると、左手に見えた野球場です。
照明に囲まれたスタジアムの中は、がれきの山で埋まっていました。


下の3枚は、重茂半島の重茂漁港です。
ここにたどり着くまでは、けっこうな山道を登り下りしなければなりませんでした。
山中の集落に被害は見られませんでしたが、厳しい状況におかれたであろうことは想像できました。
地盤の沈下がはっきりわかります。

海水面と港湾との高低差が、ほとんどなくなってしまっています。
これでは船への乗降は一苦労でしょう。

上物(うわもの)だけじゃなく、土台、基盤となる施設もダメージは深刻なようです。
基礎部分がずれたり割れたりしているのだとしたら、沈下分を盛るだけみたいな工法は使えないでしょう。
かといって掘り起こして、除去して、一から作り直し、をするのも難しそうです。

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がれきの処理と地盤沈下の影響、この2点は想像していた以上に深刻だとわかりました。
仮にあのがれきの半分程度が海中に沈み、あるいはただよっているのだとしたら、漁業への影響は長期にわたって続くことでしょう。
また、問題を地盤の沈下だけに絞れたとしても、港の再可動はそう簡単なことではありません。
台風や高潮の際にどうなるかを考えると頭が痛くなってきます。たとえば、船をどうやって繋留(けいりゅう)すれば良いのでしょうか? 現状では、まるでサイドブレーキのない車を斜面に停めるようなものなのですから。


今後、食物連鎖によって大型魚に海洋汚染の影響が出てくることは100%確実です。
それが実際に健康へ影響あるかどうかは別にして、検査の結果何かしら数値がでれば、国は出荷制限せざるを得ないでしょう。
「漁業については補償すればいい」というものではなく、実際に漁業関連の産業サイクルが回らないと、遠からず三陸の地場経済は死滅してしまいます。アウトです。ゲームセットです。厳しいです。

沈下した港湾については、拠点港に集約する。
放射性物質による海産物汚染については、その影響と対策に関する研究を国家の最優先政策として遂行する。
まずはそこからでしょうか。

消費者が口にしなければ、何をどうやろうが、食品産業は成り立たないのですから。
そうした視点に立つと、漁業関係者の生活をどうするのかという問題と、三陸の漁業をどうするのかという問題は、似ているようでいて実はまったく別な問題なのだということがわかってきます。

海洋食物連鎖の頂点にいるクジラへの影響は、どのくらいのもんになるのでしょうね。
健康への影響は別にしても、シーシェパードとかオージーの方々は、大騒ぎするのでしょうね。
鬼の首を取ったみたいに。


重茂漁港への山道の終点付近に建立されていた石碑です。
「昭和8年3月3日」という日付が刻まれていました。


【参照】
震災前の宮古市

あしなが育英会 東日本大震災 津波遺児 単発寄付

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