2011年8月28日日曜日

サッカーのフォーメーション

サッカーにおけるフォーメーションについて、私の理解している範囲でざっくり書いてみました。




【フォーメーション─フォーメーションに攻撃的守備的の区別はない】
サッカーのフォーメーション自体には、どれが攻撃的でどれが守備的か、なんてことはないと思っています。
ゲーム展開の中で、攻撃に重心がかかっている状態と守備に重心がかかっている状態が、刻々と行き来するからです。
あえて言えば、中盤にボールが入った時に、そのボールの位置よりも前に選手が多ければ攻撃的で、少なければ守備的な状態であると言えるかと思います。
また、試合展開においては、マイボールの時、相手ボールの時、マイボールから相手ボールに切り替わる時、相手ボールからマイボールに切り替わる時、この4つの状態しかあり得ないということを大前提の枠組みとして頭に置いておくと、試合や練習の分析・評価がすっきりするような気が私はしています。

【DF─DFの枚数は、単純に網の目の粗さ】
基本的なフォーメーションにおけるDFの枚数には3~5まであります。3バックから5バックまであるということです。
枚数が増えれば、DF1人の分担するエリアが狭くなるので、その分守りが堅くなります。物理的に移動する距離が短くなることが、非常に大きな意味を持つのです。追いつくかどうか、届くかどうか、いくら予測能力が優れていても、物理的に間に合わない届かない場合にはどうしようもないからです。
南アフリカワールドカップで岡田言ってることとやってることが違う武史監督が見せた5バックシステムの守りがどれほど堅かったかを思い起こしてみれば、DF枚数の多さがいかに守備を堅固にするかが納得できると思います。

現在の標準である4バックでも、その配置の仕方には3つのパターンがあります。

最も一般的なのは、ゆるやかな孤の字(逆台形)型です。
センターバック(CB)2人が横に並んで、両サイドバック(SB)が若干前方にポジションを取ります。ゴールキーパーから見ると翼を広げたようなイメージです。ライン4と呼んだりします。

4バックが横並びになるもう一つの形は、4人が一直線になるパターンです。
オフサイドを取りたいときに、こうした形をとることが多いです。フラット4と呼んだりもします。でも、オフサイドのルールが変わって、オフサイドトラップ破りが簡単になって以降は、あまり見られなくなりました(まあ、相手のレベルにもよります。だぼハゼのようにオフサイドへ何度もひっかかるアホFWが相手の場合には、いまもって有効なフォーメーションです)。

最後は絶滅危惧種のスイーパーを置くパターンです。
センターバック(CB)を縦並びに配置します。後ろのCBがスイーパーです。
3バックシステムのカバーを、スイーパー1人で担うことになるので、スイーパーには非常に高い能力が求められます。

フラット4もスイーパーシステムも、まともなレベルのサッカーをしてくるふつうのチームが相手の実戦ではメリットよりもデメリットの方が大きいと考えられるので、DFそれぞれが状況に応じてフォローしあえる、逆台形型のライン4を採用するのがどうしたって多数派になります。

【MF─4人中盤─フラット4─】
4枚のミッドフィールダー(MF)を横一線に並べるシステムです。
ピッチを幅広く使うことがしやすい配置です。
その一方で中盤中央の守備が手薄になるという弱点があります。
守備の時には、CBの2人とセントラルMF(中央のMF)の2人でブロック(固い四角形)を作りやすかったり、またDFラインとMFラインの間を狭めることで、全体をコンパクトにすることもしやすい形です。

【MF─4人中盤─ダイヤモンド─】
菱形に配置します。
この配置の最大の魅力は、三角形をたくさん作れることです。三角形というのは、パスをもらう動きの基本「三角形を作るようにポジションをとる」の三角形のことです。ただしフラット4に比べると、どうしてもサイドへの張り出しは狭くなります。
また守備の時も、1ボランチとなってしまう選手の負担が過大になり、試合展開によっては「死にます」。
あと、全体をコンパクトにすることも、それなりの取り決めを徹底しておかないと失敗します。中盤の厚みができるということ=縦に間延びする可能性アリ、ですから。

【MF─4人中盤─ボックス─】
ボックス、簡単に言えば2ボランチを底に左右前方へサイドハーフ(SH)配置した極ふつうのフォーメーションです。
バイタルエリアにブロックを作りやすいので守りが安定する形なのですが、中盤中央部に広大なスペースが生まれてしまうので、そのケアに気を配る必要があります。
フラット4と比べてボランチ横が空いているので、SBが上がりやすい効果もあります。SBが上がった場合、CBとボランチが協力してフォローしやすいフォーメーションでもあります。

【FW─2トップ─横並び─】
2人の動きが重ならないようにします。その時その時の状況によって、いかようにも組合せを変更できる柔軟な形です。

【FW─2トップ─縦置き─】
組合せは固定的で、ターゲットマン役とその周囲をケアする衛星役で構成されます。
このコンビがピタリといっている場合、この2人だけで得点を狙うことができる強力な布陣です。ただ、なかなかこうしたコンビはそろわないのが難点です。

【MF─3人中盤─三角形─】
両サイドがスカスカ。サイドバックやウイングなどの上下動が非常に重要となります。サイドに強力な選手を持っていると、ワイドでダイナミックな攻撃が可能です。CBとブロックを形成できるので中央の守備は固くなります。

【3人中盤─逆三角形─】
守備の時はもちろんのこと、攻撃の時やポゼッションの時も、後ろで1人きりの守備的MFと2人のセンターバックがどれだけ連携できるかがポイントとなります。
この形も、両サイドは手薄になりがちなので注意が必要です。

【3人中盤─フラット3─】
MF全員に総合的な高い個人能力の求められるフォーメーションです。オランダ代表やFCバルセロナなんかが採用しています。育成の段階で、まだ選手個々の特性ができあがっていないときにも有効な形だと思います。
蛇足ですが、わたし的には、現在主流の4-4-2よりも、こちらを生かした4-3-3というフォーメーションの方が好きです。

【FW─3トップ】
私個人的には大好きなフォーメーションです。昔はこれしかなかったですもんね。
両ウイングとセンターフォワード←う~ん、すばらしい。ワクワクします。
ただ昨今は、センターフォワードらしいセンターフォワードが少ないので、なかなか採用しにくいというのも分からないではないです。
でも、私個人的には、また人気を取り戻して欲しいシステムなのです。
何度でも書きますが、わたし的には、現在主流の4-4-2よりも、こちらを生かした4-3-3というフォーメーションの方が好きです。

【MF─5人中盤─M型─】
前に2人、後ろに3人の配置。中央には後方1人のMFだけなので、守備の面で穴ができやすいように思います。相手の攻撃に押し込まれた場合、両サイドのMFがDFラインに吸収されて5バックになりがちでもあります。
でもこちらが優勢な時は、前の2人のMFと両サイドの2人のMFがリンクして、中盤を完璧に支配できるというメリットもあります。

【MF─5人中盤─W型─】
後方の2人のMFとセンターバックで、バイタルエリアに強固なブロックを形成できます。また、前方3人のMFがプレッシングをしかけることに成功すれば、連続攻撃もしやすいです。ただそれが機能しない場合は、両サイドのスペースを突かれてしまう両刃の剣でもあります。

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日本の子供たちは頭が良いし、攻略本で前知識を仕込むビデオゲームにも慣れているので、この程度の極々基礎的なフォーメーションの説明くらいは、してあげてもいいように思います。その方が、自分で考えてサッカーをするようにもなるのではないでしょうか。
フォーメーションの話に関連して、各ポジションごとに求められる役割や能力についても書いてみたいとも思いましたが、それはまた別の機会にします。


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