2011年7月12日火曜日

国民ストレステスト

原発の安全性確保についての政府統一見解が発表された。
従来の定期検査に加えて、新たにいわゆる「ストレステスト」を行う二段階評価を経て、原発の再稼働という手順を踏むらしい。

相も変わらぬ無能ぶりをさらけ出している。

考えてみて欲しい。
つい先日だったか、総理自ら、福島原発の終息には数十年単位での時間がかかるだろうという見通しを公表した。
数十年だ。数ヶ月でも数年でもない。数十年だ。数十年──

震災によって破壊されていない他の原発についても、廃炉までは似たような時間が必要となる。
原発を廃炉にすることは、ただ原発を止めるのとは訳が違うから。

思えばこの問題は目の前にずっと晒されたいた。

福島原発も停止状態だったのだ。

停止状態の原発に想定外のトラブルが発生した、その結果がこのありさまだ。
(トラブル自体はちっとも大規模じゃなかった。発電プラント自体はノーダメージ。しかしそれを維持するための電源・送電がオールダウンした。設計者がスーパーバカだったとした言いようがない)

つまり、原発は、ただ発電作業を止めただけでは何も変わらない。そういうプラントなのだ。
そんなことは、少し考える頭を持っている人ならみんながわかっているはずだ。
でも、現政権の中枢にいる人たちには、それがわかっていない……。

もしも政治的な圧力がかからないとするなら、ストレステストの結果はやる前からわかりきっている。
従来の国の安全基準に基づく定期検査をパスした原発は、間違いなくストレステストにも合格する。
安全基準に合格したのに、ストレステストには不合格だったなんてことになれば、じゃあそもそも国の安全基準って何なんだ? という話になる。

仮にそうなったとして、とにかくストレステストに不合格だった炉は廃止にする、となった場合でも、その時間単位は数十年だというのは先に述べた。
安全基準の根本が揺らいだ状態の中で、一部の原発は止め、一部の原発は再開する、などということが可能だろうか? それこそ大騒ぎになるだろう。さらにそれが数十年という時間の中での話だとなったら、もはや何をしてるんだかわからない。

繰り返しになるが、発電作業を止めた原発であっても、その問題は何一つ解消されていない。
ただ発電していない。ただそれだけのことだ。核燃料を移動させることができるようになるまでの時間が経過しないと、発電していようがしていまいが、そこには同じリスクが存在している。

ストレステストを行うことで国民に安心を与えられる、と現政権トップが考えているのだとしたら、それは相当におめでたい。

むしろ、ストレステストを受けさせられているのは、私を含めたほとんどの日本国民の方に思えて仕方がない。

あしなが育英会 遺児奨学金「あしながさん」 継続寄付

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