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2011年3月31日木曜日

JのJr.ユースへ2人

両チームのサイトに発表されていた。


浦和レッズジュニアユースU-13
川上 エドオジョン 智慧(Chie EDOJOHN KAWAKAMI )
1998.4.21 150cm-41kg
西上尾キッカーズ

思いっきりやって欲しい。
新しい環境からのあらゆる刺激が、すべて彼の栄養になると思う。
ただただ、楽しみです。


大宮アルディージャジュニアユースU-13
鈴木大晟(すずき たいせい)※「せい」の字は、日の下に成。
1998.4.18 160cm-40kg
伊奈 ローズFC

身長と体重から推察するに、主にセンターバックをやっていた、手足の長いひょろっとした気合い十分のキャプテン君かなあ?
確か坊主頭だった思うんだけど、アルディージャのサイトには茶髪で出てる……。
ボールの持ち方が独特なんだよね。遠目でもすぐにわかる。そういう天性の存在感を持っている選手は非常に稀(まれ)。
そんな独特の雰囲気を持った彼が、これからどんな風に成長していくのかがとても楽しみです。



がんばれ! 未来は君たちのためにある!


【参照】
2011 浦和レッズ ジュニアユース名簿
2011 大宮アルディージャ ジュニアユース名簿
2011 FC東京 ジュニアユース名簿
2011 レイソル ジュニアユース名簿
2011 ヴェルディジュニアユース名簿
2011 帝京FCジュニアユース名簿

あしなが育英会 東日本大震災 津波遺児 単発寄付

2010年10月22日金曜日

大宮アルディージャ・ジュニアユース・セレクション 2次審査

2010年 平成22年 10月22日(金)
大宮アルディージャ・ジュニアユース・セレクション 2次審査

天候 曇り 肌寒い 無風

ピッチ 人工芝 
直前、かすかに微小雨がぱらついたことと、湿気がやや高いこともあって、ボールがとてもすべる状況。










今夜、堀崎公園へ行って、大宮アルディージャ・ジュニアユース・セレクションの2次審査を見てきた。
会場に到着したときには、セレクションの開始時刻(18:45)とされていた時刻を40分以上過ぎていた。

選考選手らは4チームに分けられ、それぞれ番号付きのビブス(黄、緑、オレンジ、水だったかな?)を身につけていた。
セレクション・メニューは、その4チームに番号なしビブス(紺)を付けた1チームを加えたゲーム形式。
ピッチサイズは少年サッカー、ゴールサイズは大人サイズ。
番号なしビブスチームは、連携の様子や体格から想像するに昨年アルディージャのジュニアユースへ入った選手たちだろう。彼らを物差しとして、選考を進めていくのだと思われる。まあ、標準的なやり方だ。

ゲームは、2面を使って同時に2試合行われ、一方の試合の相手がビブスなし、あまった1チームは変形の50メートルダッシュのタイムを計測していた。

変形というのは、およそ30メートルの直線をマーカーで3等分して、間の2つのコーンを1周回っての50メートル走だからだ。
タイムの計測は、最終地点と中間地点の2箇所で、電子計測器を用いて行われていた。

まあこんなのは、一応の参考程度だからどうでもいい。

どの子が通りそうななんてのは、チームの事情や方針によってどうなるかわからないので、そんなのを考えたって仕方ない。
会場の周辺でじっと見つめていたお父さんお母さん、弟妹は、「お兄ちゃんがんばれ」という気持ちなのだろうが、こればっかりはどうしようもない。


こういう状況のサッカーを観るとき、私は「今、この中で、誰が一番サッカーを楽しんでいるかな」という視点に立つ。

命がかかった真剣(本当の真剣、刀)勝負のときにでも、その状況を楽しむことのできる人間が、この世には存在する。

楽しむっていうのは、笑うとか、愉快だとか、快感だとかいうことではなく、むしろ「自分がどこまでできるか試したい」という感覚に近い。もちろんこんな陳腐な言葉で表現できるようなことではなく、もっともっと本能的な、言葉にならない感覚の、そういう世界のことなのだが、でも一番わかりやすく言えばやはり「自分の可能性を試す」「挑戦する」という言葉になる。

そして残念ながら、今夜はそういう選手に出会うことはできなかった。

まだ大学生だった(正確には大学校生か?)チョン・テセが秋葉の森グランドでアルディージャの練習に参加していたのを見たが、ガンガン突破して、何点も得点していた。
そして彼は、その日のそのピッチで、サッカーを一番楽しんでいた選手でもあった。

あれくらい図抜けているような選手もいなかった。あれなら、(体格のことを脇へ置いておくことができるのなら)アルディージャ・ジュニアの選手をそのまま全員昇格させてもいいのではないだろうか。

そうそう、ビブスなしの物差しチームに、ひとり面白い選手がいた。

赤ユニ白パン黄色スパイクの選手だ。体格はふつうだが、ポジショニングのセンスと、ボールを持ったときのリズム感が、彼にはあった。今夜見た選手で、目を引かれたのは彼ひとりだった。

今夜のセレクションを見て考えたことは、これだ。

どうしてみんな、同じサッカー(スタイル)なんだろう?


ボールを持った相手が近づいてくれば、状況に関係なく一発で奪いに行こうとする。
位置取りも、次の展開しか考えていないようなポジションの取り方。体の向き。
ボールを持てば、前前前。

なんであんなに急ぐのか、私にはわからない。

とにかくはやい。何でもはやい。

あれじゃあ考えてる暇なんてないね。反応してるだけ。

まるで公文の教室みたいな時間が流れてた。

まさか選抜担当者が、ストップウォッチ持ってゲームを見てたわけでもないと思うんだけど。


ボールを受けて、止まった選手は、本当にひとりもいなかった。サイドチェンジを狙った選手もいなかった。

これって、かなり異常なサッカーだなあ、と、私には見えた。

ピッチ全体を見て、選手みんなを見極めて、鼓舞して、褒めて、そうことのできる選手もしなかった。初めての選手同士なのに、合間の休憩時間にコミュニケーションをとって、DFラインの連携を整えよう、オフサイドトラップを仕掛けよう、なんていう選手もいなかった。みんな無口に水分補給をしてただけだ。楽しくないじゃんか、それじゃあ。
はじめての仲間と急場の作戦を立てて、それがうまくいったら最高に楽しいのに。
セレクションに通らなくても、そのチームでのその瞬間、そのプレーは、満足できるじゃん。
「じゃあね」って別れたあと、どこかのピッチで会ったら、一目で「よう」「おう」ってわかるよ、一度でもちゃんと一緒に“サッカー”を楽しんでたら。


サッカーの、それもジュニアユースレベルでのセレクションは、入試なんかじゃないんだって俺は思うわけですよ。
だから、せっかくのああいう機会で、ああいう仲間と、ああいう環境でサッカーができるわけですから、もっとそれを楽しんだらどうかな、なんて思うわけですよ。

だって、あれで受かったからって、別にどうってことないですよ。もしサッカーのプロになるんだとしたら。

それよりも、サッカーに対するスケールというか、枠、器をでっかくした方がいいですって。
私立大学のエレベータ付属校のお受験とはまったく違うってことを、もう一度理解し直して欲しいと思ったくらいです。
アルディージャのスタメンに、ジュニアユース出身の選手が何人います?
彼らだって、下部育ちだからスタメンはってるってわけじゃないですし。

どこにいようと、「サッカーに挑戦する」「サッカーを楽しむ」こと(勝利を楽しむとか連続タイトルに挑戦するとかじゃないっすよ。ご注意あれ)のできる選手であることが、将来の長友選手のような選手になれる子なんだと、私は確信しています。


何はともあれ、2次に合格された方、おめでとうございます。
これからの活躍を期待しています。

2010年10月8日金曜日

浦和レッズ・ジュニアユース・セレクション

浦和レッズジュニアユースセレクション募集・応募要項

2010年 平成22年 10月07日

Jrユース、セレクション実施のご案内 現・小学校6年生男子を対象に、中学生年代にあたる男子ジュニアユースチームのセレクションを11月28日に実施いたします。

セレクションの応募方法について、下記の通りお知らせいたします。   
                        
◆対象者:現・小学6年生 男子
(レッズへ加入の意志があるプレーヤー)
(さいたま市内での練習に原則90分以内で通える範囲にお住まいの方)

◆募集人員:若干名

◆日時:


1次:2010年11月28日(日) 9:00~16:00予定(午前・午後の部に分かれます)
2次:2010年12月下旬を予定

◆会場:レッズランド人工芝グラウンド 〒338-0825 さいたま市桜区下大久保1771

◆参加費:2,000円(スポーツ傷害保険、通信費、施設使用料など)

◆応募方法:

往復はがきにてお申し込み下さい。

往信はがきには以下の項目をご記入下さい

※「往信はがき」とは、浦和レッズへの宛先を書いた方のはがきのことです。

<1> 氏名(必ずふりがなをふってください
<2> 生年月日(西暦にてご記入下さい)
<3> 身長、体重(小数点以下切上げ)
<4> 所属チーム名 
<5> 所属小学校 
<6> 主なポジション 
<7> 利き足 
<8> サッカー歴(年数、代表、選抜経験の有無とその内容) 
<9> 現住所
<10> 自宅電話番号、ならびに昼間でも連絡可能な連絡先


*記入方法等は、PDFでもご確認いただけます(ウェブサイトのみ)   ※下の写真がそのPDFです。

※写真だとわかりづらいかもしれませんが、要するに、返信されてくる側(自分の名前と住所を書いたはがきの方)の裏面には何も書かないままのまっ白で送るってことです(まあ、当たり前ですけど)。PDFの図だと混乱する人もいるかもしれないと思ったので、一応確認の意味で。

*折り返し、返信はがきにてセレクションについての詳細をご連絡致します。

*返信はがきにセレクション受講者の氏名と宛先をご記入の上、お申し込みください。

◆応募締切:2010年11月5日(金)必着  *11月15日(月)から返信致します。

◆テスト内容:ゲームを中心に運動能力、スキルなどをテストします。
◆合否連絡:12月10日(金)までに、受講者全員へ追って連絡致します。

◆お申し込み先:〒330-0046 さいたま市浦和区大原3-4 浦和レッズ ジュニアユースセレクション係

◆お問い合わせ先:ハローダイヤル TEL03-5777-8600

※ご応募の際に届け出頂いた個人情報は、安全に保管し、当クラブからのセレクションに関する受講者宛の連絡業務にのみ利用致します。

※レッズレディースのJrチームである「Jrユースレディース」の、現・小学校6年生女子を対象としたセレクション概要については、別途、近日中に発表いたします。    


「◆募集人員:若干名」ってことは、よっぽど目立った素材じゃなきゃ取らないよってことだね。足下(あしもと)の技術が優れてたり、欠点のないような選手はとっくに内定してるんだから、セレクション組が合格するかどうかのポイントは、スピード、スタミナ、パワーにある。ヘタクソだけどでかくて速くてパワフル、みたいな素材はセンターバック要員として注目されるかもよ。

だから、「ボクなんて無理に決まってる」なんて自分で決めないで、いつもと違う仲間とサッカーができて、プロの人に自分のプレーを見てもらえる楽しいイベントだと思って、積極的に参加して欲しいなあ。

2010年10月2日土曜日

ジュニアユース・セレクションにおける選考基準と合格の秘訣

ジュニアユース・セレクションにおける選考基準


実際には年度ごとの各チームの方針や各担当者のサッカー観などによって異なるので一概には言えないが、一般論としてはこういう傾向にあるということをかいつまんでお話しする。

まず第一に理解すべきなのは、ジュニア段階でのセレクションとは決定的に違うと言う点。同じ「セレクション」と呼ばれてはいても、その意味合いはまったくの別物であると言ってよい。

ジュニアのセレクションでは、組織体としてのJチーム内におけるジュニアチームの存在自体の意義が、日本ではまだ非常にあいまいであることがそのまま反映されてしまう(そしてそれは、これからもそのままだろう)。強豪古豪と言われるJ下部のジュニアチームに春生まれの選手が多く、早生まれの選手が皆無であることを見ても、ジュニアチームの選抜理由が、その選手個々の“可能性”“素質”ではないことは明らかだ。勝利を目的としたジュニアチームを、Jリーグチームが保有する意義とはいったい何であろうか? 私には思いつかない。もし日本にも「小学生選手を“売り買いする”市場」が成立すれば、また違ったものになるだろうが、現状では、J下部のジュニアチームは『強い小学生チーム』でしかないのが実態だ。そしてそれは『早熟な小学生のチーム』になりやすい。トップチームを担う選手の育成を考えたとき、そんなチームに意義はあるだろうか?

ところがこれがジュニアユースとなると、事情ががらりと変わってくる。今述べた通り、トップへ至るユースというように段階を逆算して考えるとよくわかるのだが、ジュニアユースに『うまい“小学生”はいらない』のだ。

ユースは、準トップという位置づけであって、決して日本社会一般における“高校生”ではない。企業でいうと、すでに社員としての試用期間(お試し期間)に入っているのがユース。彼らはもう学生じゃない。その前段階であるジュニアユースは、言ってみれば就職活動期間だ。そこでは、自分の能力や長所を確立し、アピールできるかどうかが求められる。コーチ・スタッフと選手の関係も、教師と生徒や、大人と子供、ではなく、買い手と売り手(自分という商品の)、大人と大人、としての関係になる。

教えてもらうのはジュニアまで、ジュニアユースからはむしろコーチの意見に対して、ちゃんと自分の意見を述べられるような選手がのぞまれる。さらにサッカープレーヤーとしても、まだまだジュニアユース年代で伸びしろがありそうな、そしてその結果、『優れた“大人の(つまりトップチームの)”選手』になってくれそうな可能性のある『素材』が欲しい。どんなにすごい選手であっても、小学生のままでは、どう伸びてもトップチームでは使えないのだから。
コーチの意図さえも、親の気持ちさえも、推量できる頭脳を持った、「人間として」賢い、頭の良い人材が理想だ。それはサポーターとのコミュニケーションや、外国人選手や外国人コーチ、外国のチームの中へ入ったときに自分の力を発揮できる能力と同じだからだ。相手に誤解させないように自分をアピールする能力とも同じだ。自分をわかってもらい、好きになってもらう(少なくとも嫌われない、軽蔑されない、低く見られないようにする)アピールができないと、家族や幼なじみ以外とはチームを組めないことになってしまう。そんな選手は使えない。練習場のマラドーナはいらないのだ。

またチームにトラブルを招くような人物も困る。新聞に載るような、あるいはネットで騒がれるような事件を起こされたらチームの存続問題、スタッフの責任問題になるし、また有望な選手をいじめて退団させようなどという半島国マインドの持ち主に、裏で幅をきかせられてもチームは崩壊してしまう。そういう半島系種族は見つからないように、ばれないように、裏で悪さをするのが天才的にうまい。しかし同じ立場にある集団の中では、徒党を組んでグループ・子分を作って、従わない者や少数派を虐げて追放しようとする。チームスポーツにとって、いや“個”を尊重しながら協調しあって上を目指そうという集団にとっては最悪の人種たちだ。優等生であれとか、真面目であれとかいうのではない。生活の中でもリスクを感じ取って、上手に対処できるようなセンスが欲しい。悪い例で言うなら、他の奴は捕まっても自分はお咎(とが)めなしにできるような「ずる賢さ」が欲しい。他の仲間が10時間必要とするところを、3時間だけですませてしまう(もちろん結果は同程度じゃないと意味ない)ような、「要領の良さ」が欲しい。要するに、お子ちゃまはいらないのだ。

◆すでに功成り名を遂げた大物スタッフが影響力を及ぼしているJユースチームの下のジュニアユース

かなり無責任に「世界」を目標に掲げる傾向にある。また有形無形の“コネ”の影響がなきにしもあらず。世界の真似をすれば同じようになれるという、強い信念を抱いている人間も多い。チャレンジに対する評価が高く、積極的なミスには寛大。サッカー解説者の風間的な評価軸を持っていると理解すればいい。そして何より、スタッフたちのプライドが高い。自分の話を聞かれないと、途端に不機嫌になる。サッカーに年齢の上下関係はないといいながら、自分に敬意を払われないと途端に不機嫌になる。いつまでも根に持つ。でも約束は忘れる。

◆ギリギリで明日をも知れぬスタッフが運営するJユースチームの下のジュニアユース

メジャータイトルを取りたいということが頭から離れない。ミスに厳しい。過程よりも結果にこだわる。問題がありそうな子であっても、辞められると困るから、能力が高そうだと甘い。よそのチームへの引き抜きにもビクビクしてる(なんてね。これはかなりオーバーだけど、でもまったくないわけでもない)。

§とにかく、戦えるメンバーをそろえる§

ストライカータイプばかりで枠を埋めるわけにもいかない。GKは絶対に必要だし、背のたかいセンターバックも必要だ。チームをまとめるキャプテンタイプも必要だし、つらい練習でみんなを引っぱるがんばり屋タイプも、チームを作るためには必要だ。練習のバリエーションのためにもサウスポーは絶対に置いておきたいし、負けないためには敵チームのエースに仕事をさせない「つぶし屋」も育てたい。

はやくトップに上がりやすいのは、フォワードとサイドの選手だ。理由その1は、それら以外のポジションは、チームの主軸(ベテラン)で固定化されてる場合が多いこと。その2は、そのポジションは故障や、好不調の波が大きいポジションであること。その3は、選手の移籍機会が多いこと。特に外国人選手などはシーズン途中でいなくなる場合も。

その一方で、フォワードとサイド以外のポジションで試合機会を得た選手は、チームを代表する選手になりうるキップを手にできるという面がある。ゴールキーパーは無論のこと、センターバックや中盤で、若くしてポジションをつかんだ選手は日本代表にまで登り詰めている選手も少なくない。

何を言いたかったのかといえば、どこのポジションだから有利だ不利だということはないのだということを言いたかったのだ。

§一流の選択眼なんてものは存在しない§

実際には存在しているのかもしれないが、それを証明することはできない。良い例が、歴代のブラジル代表監督だ。あれだけの選手の中から、あれだけの経験を積んだ監督が選考したチームが、あの『勝利至上主義に基づいて、スピードとパワーのカウンターサッカーに専念したくせにいつも通りの成績に終わった』ブラジル代表チームだ。あるいは日本中の選手たちから好きな選手だけを好きなように集めることのできる絶大な権力を与えられながら、自分がどんなサッカーをするチームを作りたいのかわからない知障(「ちしょう」を変換したらこうなった)大監督様もいらしゃった。つまり、選手の力を見極めることは難しいってことなのだ。

§在庫状況やライバル店の品揃えによって仕入れ品目は変わる§

市場にある最高のサンマをすべて独占して仕入れて、店先にサンマばかりを並べたら、いくらそれらがおししいサンマであっても店が立ちゆかなくなるように、いい選手が大勢いるからといって、同じタイプの選手をすべて抱え込むことはできない。

ボランチばかり20人そろえたり、ストライカーばかり20人そろえたチームを作ることは、まずない。
すでに内定している選手のリストを補完できるような選手をさがすのが、公募セレクションの第一の目的だ。もちろん第二の目的は、未発見のダイヤの原石を見出すことだが、当然、毎年毎年都合良くダイヤの原石が出現することなどはあり得ない。
しかし仮にもJリーグチームの看板を掲げて、トップチームと同じデザインのユニフォームをまとっている限り、最低でもホームタウンではカテゴリー最強の存在でなければならない(と自分たちで勝手に思い込んでいる。'74年のオランダみたいに、GK以外は全員FWっていう方針で育成するような器のでかさをもったJ下部は現れないものだろうか?)。
ということは、だ。現時点での完成度が高い選手にどうしても食指が動いてしまう傾向があることも否めないのは否定できない。こうした矛盾を抱えていることが、日本のオリンピック世代以下のユース、ジュニアユース世代での中途半端な世代代表チームしか組めないような選手層を積み上げることになってしまった原因だろうと私は思う。



§選考する側は命がけの真剣勝負§


セレクションを受ける選手やそのコーチ、保護者よりも、はるかに選考する側の大人たちの方が真剣である。極論を言えば、彼らには生活がかかっている。「ぼくの夢」とか「子供の夢」とかいうレベルじゃない。来年の仕事、明日の家族の食い扶持(ぶち)がかかっているのだ。

上でも書いたように、本当のところでは、選考する側にも選手個々の能力を見極める能力なんかはない。しかし彼らは、自分にはその能力があると確信している。いや、自分にはその能力があるのだということを疑ってしまったら仕事にならないのだ。これがJ選手育成にたずさわるスタッフ・コーチの最も厳しいハードルかもしれない。これに比べたら、与えられた選手たちでチームを組んで勝利を目指すことなど、条件と目標が他力によって設定されているので開き直ることができる分、楽なのだ。

しかしセレクションには、自分、選手、そしてその周囲の人間の人生が関係してくる。そのことをわかっているコーチは、本気の本気でセレクションにのぞんでくる。笑顔などまったく見せない人もいる。トレセンの選考などとはまるで違い、そこはプロの真剣勝負の場なのだ。



§策なんかいらない。ありのままの自分のサッカーを楽しめばいい§




セレクションを受ける側は、傾向と対策なんか、考える必要はない。

ありのままの自分のサッカーができるように考えること、工夫をすること、シミュレーションをすること、みたいなことはやるべきだ。でも、セレクションで選ばれるように「飾ること」は、まったく必要がないどころか、むしろするべきではない。教科書通りの優等生的なエリートタイプの選手はすでに内定しているわけだから、セレクションにのぞむ子供たちが「過去問」を参考にした「噂」に基づいた「さも合格しそうな選手のふり」をすることは逆効果になる。

サッカーは受験じゃない。サッカーに正解はない。突き詰めれば、結果オーライな世界であって、そこでは間違いであってもゴールしてしまえば勝ちなのだ。


『人間万事塞翁が馬』


いまうまくいかなくても、実はそれが将来のために必要な一手なのかもしれない。

誰にもわかりはしない将来を自分で勝手に予想して、苦心して、悩んで、今を歪めるよりも、『今を生きる』ことの方が価値が高いと、私は思う。
過去と今、今と未来、そして過去と未来は、冷徹に断絶している。それをつなげているのは、自分自身の中にある「自分勝手な記憶」だけなのだ。その勝手な記憶の集大成が「歴史」と呼ばれるものである。今際の際に自分の歴史を振り返ったとき、人はきっと『楽しかった自分の歴史』を思い出すのではないだろうか。その歴史の1ページに、もしかしたら今度のセレクションの一場面がなるかもしれない。それはきっと、自分らしさの出せたサッカーができたことの記憶だろうと思う。間違っても、合格対策のために自分を歪めたサッカーの記憶じゃない。


サッカーのプロたちに自分らしいプレーを見てもらうためベストを尽くす。これがジュニアユースセレクションで合格するための唯一の秘訣だと、私は確信している。

2010年9月18日土曜日

第14回国際交流サッカー大会U-12 前橋市長杯 観戦メモ

第14回国際交流サッカー大会U-12 前橋市長杯

2010年 平成22年 9月18日 土曜日

晴れ 微風

人工芝
フルコート(大人ピッチ)
通常ゴール(大人ゴール)

群馬県 前橋市

会場 図南(となん。ずなんじゃないよ、となんだよ)サッカーパーク野中
前橋市 野中町447-1

◆道順 
(埼玉より国道17号を使って群馬へ侵入、太田、桐生方面より向かう場合)

国道50号を前橋市街へ向かって西進する。
「牛橋(欄干(らんかん)に牛の絵がある)」を渡り、次に「観音橋」を渡ったあたりから警戒。
野中町(東)交差点の次、野中町交差点(ひだりにうなぎ屋、たぶん)を左折(左折路あり)。
すぐ左手に見えるセブンイレブン前の道を右折。
またすぐ、小さな料理屋(『やかた』とかいう名前)横の道に左折する。
すぐにACミランをパクったようなマークの描かれたプレハブと、ネットに囲われたグラウンドが見えてくる。
そこが図南サッカーパーク。人工芝ピッチ。


バディーSC(空色) × 名古屋FC(赤)
2-0でバディー勝利。
バディーらしさのない、どんよりとした試合。名古屋も警戒しすぎ。
名古屋のゴールキーパーは、身長はあるのに動きがこじんまりしてるのが残念。
バディーは無理なシュートを狙っては、枠を外すの繰り返し。集中力も欠いていた。
渋滞に巻き込まれたらしく、試合開始予定よりも20分遅れて到着し、ほぼアップもなしに試合を始めたせいだろうか。
得点は、前半14分と後半12分。


アイリスFC住吉(緑) × 図南SC前橋(白黒横縞ゼブラ)
2-0で住吉の勝ち。
先制点のミドルシュートはお見事。


バディーSC(空色) × ペーニャFCバルセロナジャパン(赤青縦縞に赤パンツ)
3-0でバディーの勝利。
1点目(前9分)は、バディー17番得意の、サイドネットへ流し込むミドル距離のグラウンダーシュート。お見事。
バルサは赤パンツがかっこわるい。もちろん本家の赤パンツも。っつうか、バルサって「明度の高い赤青」よりも、 「濃エンジ・濃青」の方が、らしいと思うのだが、スペインでは違うのだろうか?


シンガポール・スポーツスクール(赤) × 図南(白黒ゼブラ)
2-0でシンガポールの勝利。
シンガポールはオーバーエイジらしく、みんな大きい。顔つきも大人びてる。速攻が得意みたい。


-----------昼飯を食いに行ったので、2試合観戦できず------------


名古屋FC(赤) × 図南(白黒ゼブラ)
1-0で名古屋の勝ち。
疲れもあるし、メシも食ったし、ピッチも広いし、で子供らみんなグダグダの試合。


バルサ(赤青ゼブラ) × 住吉(緑)
2-1で住吉の勝利。
バルサは前半に先制するも、後半に逆転された。
住吉の応援に来ていたご父兄に、ひとりにぎやかなお母さんがいた。さすが大阪って感じの。
住吉って大阪か? 確かに関西弁ではあったが……
バルサの応援に来ていたお父さんお母さんたちは、勉強家って感じだった。
なぜかやたらとバディーの情報に通じていた。なじぇ?
バルサって横浜にあるのかな?


バディー(空色) × シンガポール(赤)
2-1でバディーの勝利。
開始0分に先制、5分にカウンターから9番が見事な同点弾、10分に突き放し点。
後半13分に、バディー17番をマークしていたシンガポールの3番が、イエロー2枚で退場。
退場後、彼は観覧席のベンチでひとり黄昏(たそが)れてた。

「シンガポールからこんな田舎までやってきて、俺は何をやってるんだろう──」

と、思っていたかどうかは俺の想像。
とにかくシンガポールの選手たちはデカイ。16番なんて、まちがいなく180以上ある。
パスの出し手の14番(前半途中から完全につぶされてた)、カウンターの担い手9番(パスが来ないと何もできない何もしない)も、175センチ前後はありそうだった。


【備考】
バルサの子たちが、それぞれめいめい「スカウティング レポート」とかいうA4の資料を手に、試合を観戦していたのが印象的だった。資料に書かれていたのは、バディーの戦術と選手たちの特徴みたいだった。
「見せて」って頼んだら、隠されちゃったんでじっくりは読めなかったけど、結構こまかく分析してあるみたいだった。
途中でコーチが子供たちに「ビデオとはポジションが違ってるけど、特徴はそのままだろ」とか何とかってアドバイスしてた。
でも子供らは、コーチがいなくなったらそんな資料は丸めて畳んで、ちっとも見てなかったけど(コーチ残念!)。
子供たちに考えさせたいなら、ああいう「文章」じゃなくて、具体的な現象・事例を「発見」させるように工夫しないとダメダメ。
勉強でも文章題なんてのは一番嫌いなんだから。
サッカーはあそび。楽しくないと、楽しくないよ。

2010年8月24日火曜日

ユースの笑えない話

朝日新聞 2010年 平成22年 8月24日火曜日 朝刊
スポーツ 
『SIDE CHANGE 潮智史』
23日、15歳以下による日本クラブユース選手権で清水が宿敵磐田を下して優勝した。
前日のJ1では静岡ダービーを落として3連敗を喫していた。
兄貴分の悔しさを弟がすぐさま返した。

第10回大会から3連覇を達成して以来、13年ぶりの優勝。
埼玉、広島と一緒にかつて御三家と呼ばれたサッカーどころとしては寂しい気もするが、伊達倫央育成部長がサッカーどころならではの難しさを教えてくれた。
今では当たり前にJ1で優勝争いに絡む清水はジュニアと呼ばれる小学生年代のチームを持っていない。
将来のプロを育てる育成部門が始まるのは中学生年代のジュニアユースから。
毎年、小学6年を対象にした選考会を開いて募集することになるという。

もともと少年サッカーが盛んな清水には小学生年代のチームが無数に存在する。
1993年のJリーグ発足をきっかけに誕生したエスパルスはいわば後発のクラブ。
小学生年代からチームを作って子供たちをかき集めるようなことをすれば、地元の指導者やチームとあつれきが起きかねない。
小学生年代については、普及やスクール活動にとどめているのが現状だ。

ただ、ジュニアユースからユースと6年かけて育ててもプロ契約に至るのは毎年1人出るかどうか。
経営面からトップチームの人数は限られ、結局、即戦力を大学や高校出身者などに求める。
強化の目は自前の育成選手には向いていないという自己矛盾を抱え込む。
もっとも、こちらはほかのJクラブにも当てはまる話だが。

「その結果、トップに上がれなかったユース選手の進路の面倒を見るのが大切な仕事になる」。
伊達部長の言葉は笑えないような話で終わった。
ひとを育てるのは本当に難しい。
(編集委員)
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「ひとを育てるのは本当に難しい。」
こういう紋切り型で締めくくるようなコラムを、英国では天気予報型と呼ぶ。「ところによっては一時的に雨がぱらつく可能性もあるかもしれません。外出される場合は、折りたたみ傘などをお持ちになった方が良いかもしれません」などというあれだ。結果がどうなろうと、あなたもわたしも悪くありませんよ。誰にも責任はありませんよ。という、あれだ。うえっ、虫ずが走る。
ましてやこのコラムで語られていることは、人を育てることに苦労しているという話ではなく、育てる気などない組織が若い才能の人生を弄(もてあそ)んでいる、という話ではないか。それがこのコラム主には、わかってない。自分が何について語っているのかがわかっていない人間が書いている文章を読まされるのだから、こちらにも読解力が要求される。そういう意味では、このコラムは読み手を育てている。

2010年6月21日月曜日

ところ変われば、評価も変わる

【BMW 5シリーズ 米国価格は日本の半額! 】
http://gazoo.com/NEWS/NewsDetail.aspx?NewsId=4eff9a61-a230-46eb-8f5b-2e90ee07ba0c
【新型ジェッタ、価格は1万5995ドル(約147万円)から】
http://gazoo.com/NEWS/NewsDetail.aspx?NewsId=fab4e445-064c-4db7-9843-47c1c2eaa1e0

こういうことは知っている人にとっては常識なのだが、知らない人が知ったら裏切られたような気がするものだ。
しかし現実である。日本におけるドイツメーカーブランド(実際の生産国はアフリカや中国だったりするのに)の新車価格設定はめちゃくちゃに高い。

同じ価値のものは、この世にふたつとない。スーパーで並べて売られているスイカでも、ひとつひとつの評価は違っているものだし、それを買う人、つまり評価を下す人が異なれば当然評価も違ってくる。ある人にとって割安なスイカも、隣の人にとっては割高かもしれない。買ってみて、割る前と割った後では、また評価も違ってくる。あれだけ美味しそうに見えていたスイカが、割ってみたら種だらけだったり、鬆(す)が入っていたりした日には、もう腹立たしくさえ思えてくる。
日本で安い給料に甘んじているサッカー選手たちは、モンゴルや東欧から己の資質を高く評価してくれる日本へとやってくる巨デブどものように、サッカー選手への評価が高いヨーロッパを訪れてみてはいかがだろうか。
日本で選手の代理人業をしてる人たちにしても、実際には大したコネクションを持っているわけではない。いまもヨーロッパで頑張っているナルシスト松井選手にしても、少しでもヨーロッパ内でコネクションを持っていそうな人を見つけては、自分で自分を売り込んでいる。いまでも、だ。
日本の代理人が持っているネットワークは、ネット(網)というよりも、それこそスレッド(細糸)と言った方がピッタリするようなものなのだという実情をしれば、あのしょぼい代理人会社の人間の名刺を後生大事に保管するようなアホな行為もしないですむ(接待や付け届けまでするバカもいるって話だ)。
意外と侮れないのが、日本企業のネットワーク。
友人知人にヨーロッパで仕事をしている人がいれば、思い切って相談してみると力を貸してくれる、かもしれない。
あるいはネットを駆使してチームを調べ、自己紹介資料を自作して、何件か送ってみてもいい。
今からおよそ30年ほど前、静岡県清水港周辺では、港とブラジルを往復している貨物船を使ってブラジルへサッカー渡航するブームが起きた。いま、子供たちに人生と夢を語っている邦称『キング!』カズ選手も、確か清水FCに選ばれたことさえないような、体格的にもスピード的にも、技術的にもセンス的にも極ふつうの選手だったのに、それでも自分の意思でブラジルへと渡っていった。お兄さんの方は逆に、静岡サッカー界でエリートだったんだけど、渡らなかった。いや、エリートだったからこそ、そのコースから外れるような選択をする必要がなかったと考えるべきなのか。
当時は他にも大勢の子供たちが、清水からブラジルへと渡っていた。まあだからブームなんだけど。『武蔵、世界へ飛ぶ』なんていう本もベストセラーになったりしてた。数年後彼は帰国し、「ブラジル行ったからってブラジル人みたいなプレーが出来るようになるわけじゃないんだなあ」という当たり前の真実をみんなに教えてくれた。
でも、彼らがブラジル渡ったことは、決して人生の無駄なんかじゃあないと私は思う。失敗でもないし、成功でもない。それが彼らの人生だったってことなんだ。

Jリーグの下部組織に入れなかったからといって泣いているわが子には、高校に入ってからのいつかのタイミングで、ヨーロッパへの短期留学の機会をつくってあげたらどうだろう。3ヶ月から1年弱くらいの期間、交換留学か語学留学でもさせるつもりになって、サッカーと社会勉強、海外体験のために、ヨーロッパのどこかの街へと旅立たせる。
物価の安い国の小さな街へ男子高校生を送り出すのなら、費用だって日本の私立高校へ行かせるのとどっこいどっこいですむ。円高ユーロ安はしばらく続くから、その面でも追い風が吹いている。
簡単には連絡のつかない土地、何かあっても急には助けにいけない土地、でひとり暮らしをすると、短期間でも子供は見違えるほど大人になる。そして金にシビアになって、人生には貪欲になる。コミュニケーション能力も格段に向上する。それは「軽い」というのとは一味も二味も違う「深い」コミュニケーション能力だ。端的に言えば「騙されなくなる」。

日本でエリートコースに乗れなかったのなら、東欧や南欧に旅立ってみるがいい。神様はそのために、君をエリートコースから外したのかもしれない。「ああ、もう落ちこぼれた」と考えるよりも、そう考えた方が人生はずっと楽しくなる。

海外留学を安くすませるコツは、中間業者を極力絡ませないことだ。
愛知や浜松、川口や群馬あたりにうじゃうじゃいる外国人の子供たちは、誰も留学斡旋業者の頼りになんかなっていない。そんな業種業態が存在するのは、世界でも日本とカンコクくらいなものなんだから(出稼ぎ斡旋業者は世界中にいる。品よく言うと、人材派遣業、女衒(ぜげん)、手配師)。

まずは、ヨーロッパ各国の物価と、とりあえずの宿と学校とチームについていくつか調べる。
安い宿、掘り出し物の学校やチームであるほど、ちゃんとしたホームページなんて持ってないのが世界の常識だから、ネットだけじゃなくて図書館や本屋さんも利用する。調査の予算(書籍代)には1万円もかからない。変な塾やサッカースクールへ行かせるよりも、よっぽどいいと思うけど。
とりあえずの目処(めど)を付けたら、子供には、学費のかからない(休学にも甘い。私立は厳しい)県立高校へ進学すること、そしてそれまでの中学の3年間で、その国の日常会話ができるようになること、簡単な食事、家事を自分でできるようになること、を具体的な条件として目標にさせる。(実際に留学するしないは別にして)こういう目標設定ができることだけでも、思春期の子供の成長にとってはすばらしい効果が見込める。
もしかすると、本当にヨーロッパでサッカー選手になってしまうかもしれない可能性だって生まれてくるのだ。
このままエリートコース至上主義の日本にいるよりも、人生ずっと面白くなりそうに思えてきませんか?

2010年6月16日水曜日

何がしたかったのかわからん面子

カメルーン、オランダ、デンマーク、などとわずか3試合の短期リーグ戦形式で対戦する際、実力下位のチームが引き篭もり&カウンター一発にかける戦術をとるのは当然の帰結だ。だからカメルーン戦で日本から南アフリカに派遣された岡田急激に額が広がって行っている。もう誰にも止められない武史監督による選抜チームが、そうした戦術によって勝利を得られたことは、まさにしてやったりの心境だろう。
だが私には、疑問が残る。
それがわかっていて、なんであの面子なの? ということだ。
大昔、冬の八甲田山へ行軍訓練に出かけて、いくさ本番前のその訓練でほぼ全滅した大日本帝国陸軍連隊殿の思考回路ととてもよく似ている。
この行軍の責任者は、自分の思い込みによる適当な準備と装備で厳寒期の青森県八甲田山系に入り、即遭難。さんざん部隊を引きずり回して、最悪な状況へ最悪な状況へと導いたあげく、にっちもさっちもいかなくなったどん詰まりで、なんと! 
「解散。ここからは各自の判断で」
という『ホームレス中学生』の親父顔負けのセリフでほっぽり出す見事なまでのリーダーシップを発揮した。(ちなみに、有名な「天は我を見放したか」は、これを聞いた部下のセリフ、だったはず)

オランダ相手に、急造の引き篭もりじゃあ前半20分くらいまでしか耐えられないんだから、いっそのことこれまでやってきたことを開き直ってぶつけて欲しい。
オランダよりも1割多く走るサッカーやってみて欲しい。
得失点差を考えても、引き籠もって確実に3点以上とられるよりは、走り回ってオランダがあきれている内に0-2の負けで終わらせる方が賢いって。
阿部、闘莉王、中澤じゃあ、絶対に持たないんだから。
わたしは、そのためのカメルーン戦引き篭もりだったのだと信じている。

2010年5月6日木曜日

可能性と選抜

5月10日の月曜日に、岡田武史選抜チームの候補選手発表セレモニーがあるらしい。
どんな選手リストになるのか、私は非常に興味を持って、その時を待っている。
能力のない権力者が、その己の無能さを自ら晒す醜態が見られるのは、そうそうあるものではないからだ。

岡田無能武史氏は、実にありがちな無能権力者タイプである。
典型的と言っても良い。

どういうタイプなのかというと、
頭に理想はある(と思い込んでいて)、世界をその理想通りに変えられる(と思い込んでいる)
タイプなのだ。

このタイプが間違えているのは、まず
①その低性能な脳の中に、理想など詰まっていないこと。
そして
②その動きの悪い脳の中は空っぽであり、右耳から入った情報は、頭の空洞の中をくるくると回った後、また左耳から出て行ってしまっていること。
さらに
③そもそもあなたの力程度では、何も変わらないこと。
といったことである。

「走るサッカー」を極めたいのなら、走れる選手を集めて、そこからチームをどう構成できるかを考えなければならない。
それなのに岡田ガリ勉したのにテストにいつも出ない武史監督は、ボールを持つことが好きな選手を集めておいて、彼らに走ることを求めている。
カメにウサギになれと望んでいるのだ。そりゃあまあ、ゾウガメがウサギのように走ったら世界は驚くとは思うが、ウサギのように走らせたいなら、カメよりもウサギの方が適しているのは(多少の脳みそがあれば)誰の目にも明らかだろう。

さて本題。

仮に北足立郡北部地区に桶川リバーバケッツというJリーグチームがあったとしよう。
そこのジュニアユースチームのスカウトがどんなスカウティングをすれば、将来高値で海外へ売り飛ばせる、あるいは関連グッズがドル箱になるような、才能豊かなスター選手の卵を確保することができるのか、を考えてみる。

と書いておきながらなんだが、ジュニアユースのスカウトが考えなければいけないのはこれだけじゃないということが、スカウトという仕事から夢とやり甲斐を奪っている現実もある。

正直言って、下部組織というのは経営のお荷物だ。
北米のプロスポーツ組織はその辺がわかっているから、下部組織を持たず、ドラフトとトレードによってチームを構成している。製造業で言えば、下請けを持たないで、市場から品質と価格でベストな選択をしているようなものだ。

工業製品とスポーツ選手の違うところは、大量生産ができるかどうか、だ。
それは価格の高騰につながる。
その対策として、ヨーロッパは下部組織を選び、北米は年棒上限制を選んだ。系列かカルテルか。

世界が欲しがるような才能ある選手も育たず、また国内需要だけで経営の足しになるようなスター選手も育たないJリーグの現状では、ドラフト制選抜の方が比較にならないくらいに安上がりだ。プロ野球がまさにそれで、どうにか経営を成り立たせている。いかに企業が直接コストを負担しているといっても、下部組織を抱え込んでいたらこうはなっていない。

だがJリーグは、下部組織を持たねばならない、ことになっている。
本体であるトップチームですら経営が苦しいのだから、下部組織となるとその経営に対するプレッシャーはそこらの私立高校以上だろう。
だからこそ下部組織であるジュニアユースの責任者は、将来のスター選手となる可能性を秘めた才能を見出すことよりも、明日の試合で勝つこと、タイトルを取ること、世代代表に選ばれること、に意識が向いてしまう。当たり前だ。彼らは本物のサッカーの才能を知っている本物のプロでもないし、長期間に渡って組織を運営したことのある、経営のプロでもないのだから。彼らは、サッカーでも経営でも中途半端な世界しか知らない、だが真面目さだけは誰にも負けないと自負している、だけのふつうの人なのだ。

そういう残念な大人は、「定評」にすがりたがる。いや、すがることしかできない。
過去に誰かが「選んだ」選手を、どうにかして手に入れようとする、しか能がない。
雑誌でモデルが「今年はこれ」と紹介していた服やバッグに群がる鴨のことを、彼らは絶対に笑ってはいけない。鴨が鴨を笑うのは、とても悲しい皮肉だから。ああ悲しい(プププ)。

桶川リバーバケッツ(仮)のジュニアユースのスカウトが、「それではダメだ」と気づいた、としよう。

「ジュニアユース世代の大会実績よりも、5年後10年後のワールドクラスになりうる才能を見出さすようなスカウティングこそが、長期的には桶川リバーバケッツの経営を安定化するのだ!」

ところが北足立北部に、そんなに都合良くワールドクラスの可能性を秘めた才能が隠れているわけでもなく、スカウト君の苦労は徒労に終わった。
彼はスカウトの適正がないと判断され、今は別の仕事に就いていると風の噂で聞いた。
では彼のしたことは間違いだったのか。

そう。彼は間違えた。完璧に間違えたのだ。
彼が桶川リバーバケッツのスカウトとしてするべきだったのは、地域のナンバーワンチームを作り上げることだったのだ。力のある選手を独占し、他チームとの戦力差を決定的にしてしまうことこそが、チームのスカウトとして彼がすべきことだった。
「いいサッカーをして、その結果タイトルが手に入る」ではダメなのだ。
「イワシが腐ったようなサッカーだったとしても、絶対にタイトルは手放さない」が正解だ。
もちろんこんなことを続けていれば、その地域のユース世代以下のサッカーは衰退してしまう。地域でサッカーにたずさわっている人材のほとんどはボランティアなのだから、こんなことをされてしまえばモチベーションなんて消えてしまうからだ。
でもそんなことを気にしていては、桶川リバーバケッツのスカウトとしての仕事にならない。
国が滅ぼうが、企業が生き残ればいいのだ!

その一方で、地域の少年サッカー選手たちの、詳細なリストアップもコツコツと続けていくことが、彼の今後に生きてくる。
どんな名コーチであっても、凡才を天才に変えることはできない。
才能は育てうるものではなく、発見するものだからだ。発見されなかった才能は、土中に眠ったまま、その存在を知られることはない。
だがあるとき神様の気まぐれで、北足立郡北部地区から本物の才能が表出したとき、「彼の才能を最初に発見したのは私だ」と主張することができれば、あるいは、その本人やその親から「あの人には昔から世話になってるから」と思ってもらえれば、そのあといろいろな美味しい話に絡むことができる。そのためには、誰かの後、ではダメなのだ。

Jのジュニアユースチームを、進学塾かのようにとらえるのは大きな間違いであることに、はやく多くの人が気づいて欲しい。
トップクラスチームがACLで四苦八苦しているようなレベルのリーグ組織に、本当の才能を見抜くような人材なんていないのだから。
いやいるのかもしれないが、それを全チームに期待するのは、少なくとも間違っている。
彼らが育成している選手たちとは、Jリーグレベルでさえ、トップチームの中心となれないような選手たちだ(トップチームの中心選手は、外国人の助っ人ばかり)。そんな選手にならせるために、自分の子の子供時代すべてを費やすことが、その子の親のふるまいとして正しいことなのかどうか、それを考えて欲しい。
スカウトをする大人たちには、スカウトされなかった子や親、セレクションで落とされた子やその親たちに、その理由を説明してあげて欲しい。その子やその親が、サッカーから離れてしまわないように。入れなかったチームを、愛してくれるように。



どうか将来の日本サッカー界に迷惑をかけてしまうような日本代表になりませんように。