2010年5月6日木曜日

可能性と選抜

5月10日の月曜日に、岡田武史選抜チームの候補選手発表セレモニーがあるらしい。
どんな選手リストになるのか、私は非常に興味を持って、その時を待っている。
能力のない権力者が、その己の無能さを自ら晒す醜態が見られるのは、そうそうあるものではないからだ。

岡田無能武史氏は、実にありがちな無能権力者タイプである。
典型的と言っても良い。

どういうタイプなのかというと、
頭に理想はある(と思い込んでいて)、世界をその理想通りに変えられる(と思い込んでいる)
タイプなのだ。

このタイプが間違えているのは、まず
①その低性能な脳の中に、理想など詰まっていないこと。
そして
②その動きの悪い脳の中は空っぽであり、右耳から入った情報は、頭の空洞の中をくるくると回った後、また左耳から出て行ってしまっていること。
さらに
③そもそもあなたの力程度では、何も変わらないこと。
といったことである。

「走るサッカー」を極めたいのなら、走れる選手を集めて、そこからチームをどう構成できるかを考えなければならない。
それなのに岡田ガリ勉したのにテストにいつも出ない武史監督は、ボールを持つことが好きな選手を集めておいて、彼らに走ることを求めている。
カメにウサギになれと望んでいるのだ。そりゃあまあ、ゾウガメがウサギのように走ったら世界は驚くとは思うが、ウサギのように走らせたいなら、カメよりもウサギの方が適しているのは(多少の脳みそがあれば)誰の目にも明らかだろう。

さて本題。

仮に北足立郡北部地区に桶川リバーバケッツというJリーグチームがあったとしよう。
そこのジュニアユースチームのスカウトがどんなスカウティングをすれば、将来高値で海外へ売り飛ばせる、あるいは関連グッズがドル箱になるような、才能豊かなスター選手の卵を確保することができるのか、を考えてみる。

と書いておきながらなんだが、ジュニアユースのスカウトが考えなければいけないのはこれだけじゃないということが、スカウトという仕事から夢とやり甲斐を奪っている現実もある。

正直言って、下部組織というのは経営のお荷物だ。
北米のプロスポーツ組織はその辺がわかっているから、下部組織を持たず、ドラフトとトレードによってチームを構成している。製造業で言えば、下請けを持たないで、市場から品質と価格でベストな選択をしているようなものだ。

工業製品とスポーツ選手の違うところは、大量生産ができるかどうか、だ。
それは価格の高騰につながる。
その対策として、ヨーロッパは下部組織を選び、北米は年棒上限制を選んだ。系列かカルテルか。

世界が欲しがるような才能ある選手も育たず、また国内需要だけで経営の足しになるようなスター選手も育たないJリーグの現状では、ドラフト制選抜の方が比較にならないくらいに安上がりだ。プロ野球がまさにそれで、どうにか経営を成り立たせている。いかに企業が直接コストを負担しているといっても、下部組織を抱え込んでいたらこうはなっていない。

だがJリーグは、下部組織を持たねばならない、ことになっている。
本体であるトップチームですら経営が苦しいのだから、下部組織となるとその経営に対するプレッシャーはそこらの私立高校以上だろう。
だからこそ下部組織であるジュニアユースの責任者は、将来のスター選手となる可能性を秘めた才能を見出すことよりも、明日の試合で勝つこと、タイトルを取ること、世代代表に選ばれること、に意識が向いてしまう。当たり前だ。彼らは本物のサッカーの才能を知っている本物のプロでもないし、長期間に渡って組織を運営したことのある、経営のプロでもないのだから。彼らは、サッカーでも経営でも中途半端な世界しか知らない、だが真面目さだけは誰にも負けないと自負している、だけのふつうの人なのだ。

そういう残念な大人は、「定評」にすがりたがる。いや、すがることしかできない。
過去に誰かが「選んだ」選手を、どうにかして手に入れようとする、しか能がない。
雑誌でモデルが「今年はこれ」と紹介していた服やバッグに群がる鴨のことを、彼らは絶対に笑ってはいけない。鴨が鴨を笑うのは、とても悲しい皮肉だから。ああ悲しい(プププ)。

桶川リバーバケッツ(仮)のジュニアユースのスカウトが、「それではダメだ」と気づいた、としよう。

「ジュニアユース世代の大会実績よりも、5年後10年後のワールドクラスになりうる才能を見出さすようなスカウティングこそが、長期的には桶川リバーバケッツの経営を安定化するのだ!」

ところが北足立北部に、そんなに都合良くワールドクラスの可能性を秘めた才能が隠れているわけでもなく、スカウト君の苦労は徒労に終わった。
彼はスカウトの適正がないと判断され、今は別の仕事に就いていると風の噂で聞いた。
では彼のしたことは間違いだったのか。

そう。彼は間違えた。完璧に間違えたのだ。
彼が桶川リバーバケッツのスカウトとしてするべきだったのは、地域のナンバーワンチームを作り上げることだったのだ。力のある選手を独占し、他チームとの戦力差を決定的にしてしまうことこそが、チームのスカウトとして彼がすべきことだった。
「いいサッカーをして、その結果タイトルが手に入る」ではダメなのだ。
「イワシが腐ったようなサッカーだったとしても、絶対にタイトルは手放さない」が正解だ。
もちろんこんなことを続けていれば、その地域のユース世代以下のサッカーは衰退してしまう。地域でサッカーにたずさわっている人材のほとんどはボランティアなのだから、こんなことをされてしまえばモチベーションなんて消えてしまうからだ。
でもそんなことを気にしていては、桶川リバーバケッツのスカウトとしての仕事にならない。
国が滅ぼうが、企業が生き残ればいいのだ!

その一方で、地域の少年サッカー選手たちの、詳細なリストアップもコツコツと続けていくことが、彼の今後に生きてくる。
どんな名コーチであっても、凡才を天才に変えることはできない。
才能は育てうるものではなく、発見するものだからだ。発見されなかった才能は、土中に眠ったまま、その存在を知られることはない。
だがあるとき神様の気まぐれで、北足立郡北部地区から本物の才能が表出したとき、「彼の才能を最初に発見したのは私だ」と主張することができれば、あるいは、その本人やその親から「あの人には昔から世話になってるから」と思ってもらえれば、そのあといろいろな美味しい話に絡むことができる。そのためには、誰かの後、ではダメなのだ。

Jのジュニアユースチームを、進学塾かのようにとらえるのは大きな間違いであることに、はやく多くの人が気づいて欲しい。
トップクラスチームがACLで四苦八苦しているようなレベルのリーグ組織に、本当の才能を見抜くような人材なんていないのだから。
いやいるのかもしれないが、それを全チームに期待するのは、少なくとも間違っている。
彼らが育成している選手たちとは、Jリーグレベルでさえ、トップチームの中心となれないような選手たちだ(トップチームの中心選手は、外国人の助っ人ばかり)。そんな選手にならせるために、自分の子の子供時代すべてを費やすことが、その子の親のふるまいとして正しいことなのかどうか、それを考えて欲しい。
スカウトをする大人たちには、スカウトされなかった子や親、セレクションで落とされた子やその親たちに、その理由を説明してあげて欲しい。その子やその親が、サッカーから離れてしまわないように。入れなかったチームを、愛してくれるように。



どうか将来の日本サッカー界に迷惑をかけてしまうような日本代表になりませんように。

0 件のコメント:

コメントを投稿