2011年5月11日水曜日

羊頭狗肉焼肉上等

今回の殺人ユッケ事件につらなってこういう過去ニュースを目にするとぞっとした。こんなに胡散臭い(うさんくさい)業界だったのか、と。食べ物を扱う人たちのモラルじゃない。ミシュランが焼肉店などまったく相手にせず、ひとつも星を付けないのも、こういうことまで見抜いていたってことなのかもしれないなあ。

焼肉自体は大好きなので、プロの人たち、業界の関係者たちにはしっかりして欲しい、と切に願う今日この頃なのであった。


【日本の議論】
焼き肉のロースはもも肉?
2010.10.24 (産経新聞)

ロースのメニュー表記に揺れる焼肉業界。安くおいしいものを食べたい気持ちも分かるけれど…

 焼肉店のメニュー「ロース」に、もも肉など別の肉を使うケースが多いとして、消費者庁は景品表示法(優良誤認)に基づき、業界団体に適正な表示をするよう指導した。業界側は「長年の慣習で違法性はない」と主張しているが、消費者庁は「もも肉をロースと表示することは不適切」と指摘。いったいなぜ、こんなことになっていたのか-。(大矢博之)

◆長年の“慣習”

 2月、愛知県内の焼肉店。800円の「ロース」を注文した客が、牛のどの部位の肉か店員に尋ねた。

 「当店では、この値段のロースはもも肉を使っています」

 店員は1600円の「上ロース」ならば、ロースの部位の肉を使っていると説明した。納得しなかった客は業界団体「全国焼肉協会」(加盟店舗数約1400)に質問。さらに、消費者庁に通報した。

 「焼肉店がメニューでロースと表示しているのに、もも肉を使っている」

 通報を受けた消費者庁は対象となった焼肉店を調査し、ロースと表示してもも肉を提供していることを確認。さらに、同協会にも聞き取り調査したところ、焼肉業界の驚くべき“慣習”が明らかになった

 「焼肉店では伝統的に、ロースというメニュー名でももの部位の肉を提供してきた。業界で広く行われている長年の慣習だ」

 同協会はこう回答したのだ。


◆メニューはJAS法対象外

 牛肉の部位表示の基準が定まったのは、昭和52年1月の農林水産省畜産局長通達「食肉小売品質基準」だ。この基準により、牛肉はネック▽かた▽かたロース▽リブロース▽サーロイン▽ヒレ▽ばら▽もも▽そともも▽らんぷ▽すね-の11種類に区分される。

 さらに、ももを「うちもも」と「しんたま」に、ばらを「かたばら」と「ともばら」に細分化した13種類の表示が食肉業界では一般的だ。

 日本食肉消費総合センターの販売店調査によると、平成21年の和牛の平均価格は、かたロースが100グラム707円、リブロースが841円、サーロインが987円。一方、もも肉は499円と約5~7割の値段だ

 農水省食肉鶏卵課は「基準がないと、精肉店が思い思いの名称で肉を販売することになる。混乱を避けるために基準を定めた」と当時の背景を説明。この基準を定めたことで、牛肉の表示についての共通ルールが広まっていった。

 食肉業界では、こうした基準や、原産地表示などを義務づけるJAS法などを踏まえ、平成7年に「食肉の表示に関する公正競争規約」を策定。精肉店やスーパーなどで一般に見られる牛肉の表示はこの規約に従っている

 だが、こうした表示義務は、流通や小売りの段階まで。飲食店のメニュー表示は、JAS法の対象から外れてしまうのだ

 消費者庁の調査に対し、全国焼肉協会は「料理名は通常の表示と異なり、JAS法の適用外。ロースと表示してもも肉を出すことが、問題になるという意識は持っていない」と説明したという。


◆昔のメニューは3種類

 今回、消費者庁に指導された全国焼肉協会は「焼肉のメニューよりも、牛肉の部位の基準ができた時期の方が遅いのに」とぼやく。

 同協会によると、全国に焼肉店が普及し始めたのは昭和30年代で、当時はロース、カルビ、ホルモンの3種類しかメニューがなかったという。昭和50年代には「赤身の肉がロース、霜降りの肉はカルビというメニューのイメージが定着していた」と同協会は話す。

 さらに、同協会は「料理人は仕入れた肉を調理し、新しいものを作っている。どの部位の肉でも、切り方や調味料の選び方で味は変わる。そこに料理人の技があり、総合的に焼肉のメニューになっている」と主張する。

 ある焼肉店の関係者によると、腕のよい料理人(※)が調理すれば、ももとロースの味の違いは素人には分からないのだという

 全国焼肉協会は「料理人はリーズナブルな価格で満足できる料理を提供することに必死になっている。流通と料理は異なる」と強調する。


◆カルビに基準なし

 では、焼肉のもう一つの人気メニュー「カルビ」とはいったいどこの肉なのか。

 実は、カルビは韓国語のばら肉や三枚肉の呼び名で、表示の基準はない。焼肉店が使った名称が有名になり、商品名になったのだという。

 それでは、飲食店のメニューではない、スーパーなどの小売店で見かける「カルビ」の表示はどういう意味なのか。

 農水省食肉鶏卵課によると、そうした表示は「シチュー用」「ステーキ用」といった用途を示すもので、「カルビ焼肉用」という意味なのだそうだ。

 今回、指導の対象から外れている全国焼肉協会に加盟していない大手チェーン店はどうしているのか。

 全国で約700店舗の焼肉チェーン「牛角」を運営する「レインズインターナショナル」は、「ロースはかたロースを使っている。特に意識はしていなかったが、部位の名称と販売メニュー名はそろえている」と説明する。

 同社では、BSE問題など産地表示に注目された時期から適切な表示の取り組みを進めたそうだ。同社は「今回の件で客から問い合わせがあったが、カルビはばら、ロースはかたロースの肉を使っていると説明している」と話す。


◆業界は自助努力を

 長年続いた業界の慣習とはいえ、今後、焼肉店はどんな表記をしていけばいいのか。

 消費者庁は今回の指導について、「もも肉を使ったメニューに『もも』と書けと言っているわけではない。『ロース』でないものを、『ロース』と表示するのは不適切」と指摘。「『赤身』や『きょうの一皿』などさまざまな表示の方法がある」と話す。

 全国焼肉協会は「結果的に誤解を招いた。適切な表示の仕方を検討していく」としているが、「肉の表示基準の適用は流通まででよいと思う。おいしい焼肉を作るため、日々研鑽(けんさん)している料理人の立場をアピールしたい」と強調する。

 食品表示問題に詳しい実践女子大の田島眞教授は「業界の慣習でも素人には分からず、ロースといわれれば信じるしかない。昔とは時代も違い、偽装表示に消費者は納得しない。消費者の視点は時代に伴って変わるもの。見る目が厳しくなった今、それに合わせてルールを変えるべき」と指摘。今回の問題について「歴史的な背景があり、故意でないとはいえ、伝統にあぐらをかいたままでは不適切。メニューはJAS法の適用外だからこそ、業界はきちんとしたルール作りなど自助努力すべきだ」と話している。



※ 焼肉店関係者の言う「腕が良い」ってのは、どういう意味なんだろう。俺が大昔に人気焼肉店を切り盛りする在日コリアンのおばあちゃんに近い年齢の、超やり手おばちゃんオーナーに教えてもらったのは、食用油やら牛脂やら得体の知れない(企業秘密ともいう)調味料やらをつかって下ごしらえをすることで、安い肉を高級肉にするのが焼肉で儲ける基本なんだってことだった。そこをまず土台にして、さらに「雰囲気だとか、臭いだとか、うんちくだとか、宣伝だとかで、儲けは倍々さね。それも銀座じゃないよ。六本木がいいのさ」というようなことを聞いたようなおぼえがある。
『モランボン』の焼肉のタレって、まだ売ってるのかなあ?


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