2010年平成22年7月21日水曜日 朝日新聞 声
スウェーデンは理想郷ではない
小学校教員 フス恵美子
スウェーデン 39歳
毎年一時帰国するたび、日本で、福祉大国の理想郷としてスウェーデンが語られることを苦々しく思っています。税金が高く、「高負担」は確かですが、「高福祉」には疑問点も多く、日本よりはるかに優れた社会という見方には賛同できません。
例えば、就学前の「幼児教育」は存在しません。大多数の公共保育園は、預かった子供の安全を保証するのが仕事で、資格を持たない人が数多く働いています。小学校入学前に6歳児教育が1年間ありますが、イスに座る、鉛筆を持つ、アルファベットを書く、というレベルです。
「将来への安心から貯蓄が不要」というのも、誤った解釈です。国民の多くは不安を抱えています。。年金は物価や税金の高さからすれば、十分な額とは言えず、銀行は「将来、年金では暮らせません。若いうちに蓄えましょう」と積立預金を呼びかけています。しかし、月5万円のパート収入ですら3分の1を税金で持っていかれ、最高税率25%の消費税。住居・光熱・医療費、保育料も高く、普通の家庭ではお金が残りません。国民の多くは「可処分所得が少ないから貯金できない」のが現実です。
若者の犯罪増加、就職難、麻薬や性病の蔓延。さらに、フルタイム労働で疲れ切った母親、冷凍物ばかりの夕食。これらが理想郷でしょうか。
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2009年の自殺率を国際比較したデータ
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2770.html
これを見ると、それでもやっぱり、少なくとも現状では、スウェーデンの方がましなのかなあという気がする。
日本の自殺率をスウェーデン並みに下げることが出来れば、年間の自殺者数は約3万3千人から1万7千人にまで減らすことができるからだ。南アフリカワールドカップで日本が負けたパラグアイ並みになれば、なんと約5000人におさえることができる。これなら交通事故死者数とのバランスも自然(?)に思えるではないか!
こうした視点に立ったとき、人類という生物が生息する環境として、果たして日本とパラグアイではどちらが幸せなのか、そう簡単に断は下せないと思うのだがいかがだろうか。
80位にギリシャがあり、自殺率は3.5人/10万人となっている。だがギリシャ分は2006年のデータを基にしているようなので、2010年ではどうなっているのか興味がある、などと考えるのは悪趣味に過ぎると自重せねばなるまい。
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