2011年6月1日水曜日

今日からパクる、バルサのパスワーク!

今日からパクる、バルサのパスワーク!

【キーワード その1 】
パスの受け手への声かけ

[説明]
パスの出し手への声かけはどこのチームでもやっていますよね。ボールを持っている味方に対して、「ヘイ! こっち!」とか「逆サイフリー!」とか、そういうの。
でもバルサっぽい、速いテンポのパスワークをマネしようと思ったら、それじゃあ遅いんです。
そこでワンテンポ早い声かけができるように、練習しましょう。


個人の基本スキルのひとつに、「パスを受ける前に周りを見ておく」っていうのがあります。
前にもこのブログのどこかでそんなことを書きました。


これはサッカーをより楽しむうえでぜひとも身につけたい基本のひとつなのです(やっぱり“ゲームは頭を使わないと面白くない”です。状況がわからぬまま反射的に反応しているだけでは、猿回しの猿とどっこいどこいです)が、でもあくまでこれは個々人個々の個人的なスキルのほんの一部分に過ぎないですから、このスキルだけでバルサみたいなパスワークを実現しようとすると、このスキルをチームの全員が高レベルで身につけていること、それが前提条件になります。それぞれみんなが、それぞれみんなの考えていることを互いにわかっている必要があるからです。

でもそんなこと、そこらへんのふつうのチームにゃあできんせん。
できるわけがありゃんせん。

そこで、その代わりと言っちゃあなんですが、『パスの受け手への声かけ』がけっこう使えるんで紹介しますってことなんです。

[具体的説明]
まだボールを持っていない段階、パスを受けていない段階で、さあこれからパスを受けるぞ、パスを受けるためにポジションを移動中だぞっていう気配の味方に対して「○○! こっち!」「□□! サイド見てくれ!」などと、事前予測的に声でアナウンスするんです。「○○」や「□□」には、そのパスを受けそうな気配の味方選手の個人名やニックネームが入ります。実はここがポイントなんです。それもけっこう重要な。

【キーワード その2】
名前を呼ぶ

[説明]
知能の発達した動物には、音のした方向を見て確認しようとする本能があります。
また、社会性動物である「ヒト」にはさらに、自分を呼ばれたら呼んだ相手を見るという、ほとんど本能に近いような習性もあります。

自分から能動的に何かがあるのかないのかを見て情報収集して判断しなければならない場合、混乱を生じる率も、脳への負担も高くなります。当然処理するには手間もかかってしまいます。
対して呼ばれて振り向く場合は、ほぼ本能的な反応として声のした方向を確認するという、非常にシンプルな作業で済むので脳への負担も小さくてすみます。つまり処理速度も、だんぜんこっちの方が早いということになります。



---[ちょっと寄り道]---
それに胎教にはモーツアルトがいいとか、胎児はお母さんの声に反応するなどと言われていることからも明らかなように、耳(聴覚)は目(視覚)よりも優先される感覚器官です。脳にとってみれば、よりはるかに頼りにされているのが「耳」だと言えるでしょう。
ですから、何かうまくいかないなあということがあった場合、目(視覚)を忘れて、耳(聴覚)に注目して考え直してみると、ブレイクスルーが見いだせるかもしれませんよ。
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「パスを受ける前に周りを見ておく」というのは、例えれば、道路を横断する前に右左を見て安全を確認するようなものです。一方、「パスを受ける前に名前を呼ばれる」のは、いわば、クラクションを鳴らされるようなもの。誰だってびくっとしてそっちを振り返ります。考えている間なんてありません。
「ちゃんと見たはずなんだけど……」出会い頭の事故にありがちな言い訳です。こんな風に、自らの意図に従って事前確認しようとした場合に、見間違えや見落としが起こるのは、その作業が「見た」だけで完了しないからです。「見た」あとに「必要な情報をさがす」という作業がなければ完了しません。ましてその「必要な情報」は存在しない、かもしれないのです。
人間は、あるかないかわからない物をさがすのは大の苦手なのです。
でも逆に、「ある」とわかっている物をさがすことは得意だという特性も持っています。
ですから、クラクションを鳴らした車であったり、自分を呼んだ相手をみつけるのは、ストレスなしに瞬時で成し遂げることができるのです。



---[ちょっと寄り道]---
自分のかけた間違い電話のことはすぐ忘れるのに、かかってきた間違い電話のことは妙に頭に残ったりしますよね。これも実は、上で書いた働きを同じ、人間が持つ特性にその理由があるんです。
人間の反応や記憶といった能力は、自分から能動的に動いたことによる情報よりも、外部から受動的に受けた情報の方に価値を置き、またその処理に対しても重きを置くようにできているみたいなんです。面白いですよね。
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【キーワード その3】
ポーカーフェイス

[説明]
ババ抜きや麻雀といった対人ゲームで遊んでいるとき、持ち札(パイ)の並べ方や引いてきた札を入れる位置に細工をするのは子供でもやることですよね(子供が麻雀をする倫理的問題について、ここでは論じません)。私も手札のジョーカーを引いてもらえるように、幼いながらもいろいろ小細工を試みた覚えがあります。またポーカーや麻雀、将棋、囲碁でも、大きな手のかかっている場面では、相手にそれを悟られないように、目線や表情や仕草に気をつけるものです。自然に自然に見えるよう、平静を保つようにします。
こういう風に、自分の意図を勘ぐられないよう、表情や仕草を変化させないことを「ポーカーフェイス」と呼ぶことは、100人に聞けば100人がそう答えるくらいの一般常識です。

ところが同じ対人ゲームであるはずのサッカーとなると、とたんにこの「ポーカーフェイス」を忘れてしまう輩(やから)が多いことは、ものすごく残念だなあと常日頃(つねひごろ)私なんかは思っていたりするわけです。

なにもロナウジーニョみたいに、アッチ向いてホイしろっていうんじゃないんです。
何かプレーをする前に、自分の方から、
「うおっしゃー、△△するぞ!」
とか
「あいつにパスするぞ!」
とか
「こっちへ抜くぞ!」
とすぐわかるようなシグナルやサインを出す必要はないですよね、ってことなんです。

あと、ミスしたあと、自分から
「あ~あ、ミスしちゃった」
と、周囲にアピールする姿を目にするのは、まるで自分から会見を開いて、己の無知無能無責任さを無自覚に喧伝(けんでん)する政府首脳を見せつけられる国民のように興(きょう)ざめしてしまいます。

黙っていればミスかどうかなんてわからないのに、なぜミスする人ほどミスをアピールするんでしょう?
ここでもやっぱり「ポーカーフェイス」でお願いします。


チャビ選手もイニエスタ選手も、けっこうミスしてると思うんです。
でも無表情だから、それがミスなのかどうか周りはわからないんです。ましてテレビ画面からはとうてい判断がつきません。
カタルーニャの厳しい歴史が、そうさせているのかもしれません。戦いの場で、意図や感情を読まれたり、失敗を認めたりすることがどれほど危険なことなのかが、血骨に染みこんでいるのでしょう。





私個人の好みとしては、現在のFCバルセロナみたいなスタイルには、正直魅力を感じません。
もしバルサの紅白戦を見る機会に恵まれたとしても、他人が遊んでいるピンボールを脇から見ているようで、メッシがドリブルを仕掛けたときくらいしか「ワクワク」はしないのではないでしょうか。想像ですが。

でも今回のCL決勝から刺激を受けて、「バルサみたいなサッカーをしてみたい!」と思った、子供や親やコーチもいらっしゃるはずです。
そんなとき、「もっとテクニックを!」「もっと足元が上手にならないと!」「パスをもらえるように動け!」「もっと周りを見ろ!」というような指導・アドバイス一辺倒ではなく、今回私が紹介したような切り口からもトレーニングを見直してみるもの悪くないはずだ、いやむしろそうすべきだ、と私は確信しているので、このような駄文をしたためました。おおらかな器で楽しんで頂けましたならわいわいです、もとい、さいわいです。

【参照】
バルサの弱点はここ
対バルサ戦略~偽ファーガソン編~
バルサをマネる3つのポイント
昔のバルサはこうだった
バルサの育成投資方針
バルサ5-0レアルの動画
昨年度(09-10シーズン)CLでのFCバルセロナ評
2009-2010CL準決勝インテル×バルサ第1戦
イニエスタの作り方
FCバルセロナの哲学

あしなが育英会 遺児奨学金「あしながさん」 継続寄付

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