2010年9月26日日曜日

私が少年サッカーにはまった理由

私が少年サッカーにはまった理由

第一に、一生懸命な姿。
それは選手たちだけではなく、指導に当たっているコーチたちや、ボランティアで手伝っている大人たち、そしてお父さんお母さん、みんながそうであることに新鮮な感動を覚えたからだ。

第二に、成長のスピードが目に見えること。
体格や筋力、スタミナもそうだし、技術も戦術も、そして勇気もそうだ。
一ヶ月ぶりに見た選手が見違えるように成長しているのを目の当たりにできる経験なんて、このカテゴリー以外にはありえない。

第三に、少年サッカー界において、埼玉県のレベルが全国トップクラスにあること。
簡単に観戦できる範囲で、全国トップレベルのサッカーが見れるのは非常に幸運なことだと思う。


だから、やる気のない姿を見せられると、とても悲しくなる。
ボールが飛んでくれば避けてみたり、来たボールをただ前に蹴るだけだったり、ベンチにいる大人が、子供のミスをあざけるように笑う様子を目にすると、頭痛がしてくる。

今日、桶川市の城山公園で、私はひどい頭痛に悩まされた。

6チーム来ていたが、どのチームの子供たちからも気合いを感じられなかった。
絶対に勝ってやる。絶対に負けない。そういう気持ちを持った子は、ひとりもいないように私には感じられた。

レフェリー(線審は特に)にもやる気がなかった。
どの試合もシュートシーンがないような展開の中で、唯一といってもいいサイドに切り込んでからのマイナスセンタリングからシュート→ゴール! という場面で、何だかわからない判定で得点を取り消していた。
DFの子たちも、キーパーも、アシストした子も、シュートした子も、みんなが得点だと思い、誰も疑問を抱いてない場面で、ガラの悪い観客(父兄)が「オフサイドだろーが!」と繰り返しわめいたら、なぜかノーゴールになってしまった。

がっかりした。

そもそもマイナスパスなんだから、その時点でオフサイドはないし、そのあとちょっとゴール前で混戦になってからのシュートだったのだが、そのときにはゴールの中にDFが複数入っていたのだから、その点でもオフサイドはない。
センタリングの前にラインを割っていたというのなら、DFやキーパーがそうアピールしていただろうし、線審も旗を揚げていたはずだ。

まあ、おかしな判定はそのシーンだけではないくらいの審判団だったので、どうでもいいことだが。
得点を取り消されたチームのベンチも抗議していなかったし(きっとあれは、見ていなかったんだと思う)。

このチームのベンチに4人くらい座っていた若いコーチたちもひどかった。
自分たちのチームの選手たちのプレーを、あざけるように笑って盛り上がっているのだから。
あれなら怒鳴り散らすコーチの方がよほどいい。少なくとも、子供たちに対して真剣に向き合っている。
あざけるのは、見下している証だ。指導者として最低の資質しか持ち合わせていないと判断されても仕方のないような態度を、今日の城山公園にいた、あるチームの一部のコーチは見せていた。

がっかりした。

ただボカボカ前に蹴るだけのサッカーを、夏休みもとっくに明けた9月の下旬に見せられるとは思わなかった。
まさにザ・少年サッカー。体育の時間のサッカー。
ヘタクソだし。
前から来たボールを、そのまま前に蹴り返して、またそれが蹴り返されて、またそれを蹴り返して……

がっかりした。

強いボールが来れば、背中をむけて逃げる。
高いボールが来れば、ヘディングするようなアリバイを見せておいて、直前に、よける。
チームの仲間のことなんて何も考えてない。
自分が痛いのが嫌なだけ。

がっかりした。


どのチームのベンチも、「落ちつけー!」「落ちつけー!」とピッチに叫んでいた。
あんなに緊張感のない空気なのに、「落ちつけ」も何もないだろう、と私は痛む頭に手を当てながら思っていた。
叫ぶのなら、
「たたかえ!」
「けずれ!」
「あたれ!」
「勝負しろ!」
だろ、と思っていた。

だいたい、落ちつかなければいけない状況にある相手に向かって「落ちつけー!」というのが逆効果だというのは一般常識レベルだと思うのだが、今日、城山公園にいたコーチたちはご存じなかったらしい。
泣きそうな子に「泣くなよ、泣くなよ」と言ってみたり、車酔いする子に「吐くなよ、吐くなよ」とか、バランスゲームをしてる子に「落とすなよ、落とすなよ」というのはみんな逆効果だってことくらい、みんな知っていると思うのだが、世の中には知らない人もいたようだ。世間はやはり広い。

ボールを持ったときにあわててしまう(ように見える)子には、遠足の準備を前の晩に済ませるのと同じ、あるいは数学で例題の解き方を暗記してしまうのと同じ理屈で、次の行動をある段階までパターン化して体へ覚えさせてしまえば、そこから余裕を作り出すことができるようになる。

基本中の基本のパターンは、まず、ボールが来た方と反対の方向を見ることだ。
ボールが来る方向の情報は、黙っていても視界から入ってくる。だから意識して情報を得なければならないのは、ボールとは逆の方向ということになる。


特に足下を意識して顔(移動視点)を向けさせること。
ロングボールを蹴れる体勢でもないのに、遠くを見ても仕方ない。
似顔絵を描くわけでもないのに、相手の顔を見ても仕方ない。
過剰な情報は混乱を生むだけだ。
情報は必要な内容を、必要な分量だけ集めることが、正確な判断を迅速に行うための常道である。
それに、動物は見ている方向へ進むと安定し、見ていない方向へ移動するとき不安定になる。
トラップするときや、ボールキープのときに、混乱しがちだったり、不安定になりがちな子には、ボールが来る方向と逆の方向、相手が来る方向とは逆の方向、の足下へ意識して視点を移動させる(顔を向けさせる)行動を習慣化させる(癖にする)ように、繰り返し繰り返し繰り返して、体に覚え込ませてしまうのが、一番手っ取り早い。


こんなこと今さら、と思うかも知れないが、中田英寿選手なんかは、確か中学生年代(U-15?)あたりの代表候補合宿のような場でこのことの必要性に気づいて、意識的に首を回すような事前行動を、朝から晩まで繰り返して体に染みこませたと、雑誌のインタビューか何かで読んだ記憶がある。

繰り返し繰り返し繰り返して、考えないでも体が動くプレーパターンを増やせば増やすほど、時間的にも脳の使用容量でも余裕を持つことができ、そこからアイデアが生まれてくる。
テストで、10問あるうちの9問が解法を知っている問題だったなら、残りの1問について、時間をかけて、脳みそを働かせて、じっくり考えることができる。でも、10問全部が知らない問題だったら、1問目を解くことすら必死にならなければならない。それと同じことだ。

自動車教習所であんなに汗をかいたのと同じ動作を、免許を取って1ヶ月もすれば鼻歌交じりでこなすことができる。

DSやPSPや携帯のボタンを覚えたくらいに、サッカーボールでパターン練習を重ねれば、ボールが来たからってあわてるような子はいなくなる。

結局のとこ、「迷ったり調子を落としたときには基本へ立ち戻る」というのは永遠の王道なんだよな。

まだ頭痛がしてる。
実は風邪だったりして。

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