2011年1月2日日曜日

人間としての戦いとしてのサッカー

新年あけましておめでとうございます。
今年一発目として「才能」について考えて見ました。

サッカー=バルセロナ、アルゼンチンでメッシ2世養成へ
2011年 01月 1日

[ブエノスアイレス 31日 ロイター] 
サッカーのスペイン1部、バルセロナは2007年、アルゼンチンのブエノスアイレス郊外にジュニア養成のスクールを設置。第2のリオネル・メッシを育てるべく、指導に力を入れている。

このたびスクールの幹部がロイターのインタビューに応じ、スクール開設の意義や、指導方針などについて語った。

バルセロナのアルゼンチンでの代理人を務めるダニエル・ビタリGMは、「選手が幼いうちは家族とともに、自分たちの国で指導を受けられるようにしたい」と述べ、12歳で母国を離れることになったメッシの例を引き合いに出し、早い段階で選手をスペインに送り出すことには慎重な姿勢を示している。

スクールには9─16歳の少年たちがアルゼンチン全土から集まり、入寮者は約45人。市内の学校で教育を受け、年に5回のみ帰省が許されているという。このほか150人は親元から通っている。

またスクールのディレクター、ホルヘ・ラッフォ氏は、サッカーに関してはバルセロナの指導メソッドに基づいていると指摘。ビデオ映像を活用し、バルセロナの本部と定期的に情報交換を行っているという。
またスクール生が選手としての夢を果たせなかった場合でもそれを恥ずかしいことと思わせないために、価値観の指導を大切にしているという。ラッフォ氏は「サッカーの大会もひとつの戦いだし、建築家や弁護士、会計士になることも、人間としての戦いだ」と述べている。
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バルセロナのあるカタルーニャ地方は、地中海に面したスペインの北部で、とても自治独立の気風が強い土地柄である。
さらにスペイン! 日本からは、どう見たって、才能の宝庫のような環境に見える。
そんな条件下にあるバルセロナFCでさえ、才能を発掘するために、アルゼンチンにジュニア養成のためのスクールを設けるのだという。
いったい、このレベルが要求している「才能」とは、どんなものなのだろうか?
想像しようと試みるだけで眩暈(めまい)がしてくる。

そしてそのバルサのスクールレベルにおいてさえ、「選手としての夢を果たせない」可能性を前提にした育成対策を立てているのだ。
日本のレベルで、子供たちの人生をサッカーにのみ注力させることの愚かさを思い知らされる思いがした。

日本で、いやアジア地域で、ジュニアユースがどうだとか、トレセンがどうだとか、J下部がどうだとか、そんなのは大した問題ではない。
日本サッカーも、日本サッカーに携わる人間たちも、そしてこれからの選手たちも、まだまだよちよち歩きのレベルなのだから。

くり返し引用するが、バルサのレベルで、
「選手としての夢を果たせなかった場合でもそれを恥ずかしいことと思わせないために、価値観の指導を大切にしている」
という理念で育成プランを立てているのだ。
日本の、それも万年降格争いチームの下部組織だとか、J2の下部組織だとか、ACLで毎回敗退してるチームあたりの下部組織レベルで、「才能」を語ることの無力さ、空虚感、を私は感じずにはいられない。

それよりも、もっと、サッカーの楽しさを理解させるようなことを第一に掲げる育成方針を持つことはできないものだろうか。

「建築家や弁護士、会計士になることも、人間としての戦いだ」と述べていることにも注目したい。
彼は「大企業のサラリーマンや、公務員」とは言っていない。
この感覚こそがバルセロナ@スペインのサッカー界の、社会人感覚であり、“働く”ということのイメージなのだと私は理解した。

ジュニア、ジュニアユース、そしてユースの指導者やご父兄たちには、こういう意識を持って、子供たちと接して欲しいと私は思う。

「人間としての戦いだ」とまで言い切っていることの重さ、覚悟、意識を、読み取って欲しい。

「戦うこと」それを伝えることのできる指導者がいるチームに入った子供は幸運だ。
どこそこのジュニアユースに入れば、どこそこ高校にツテができるとか、そんなのはちっぽけなことだ。
今の小6が就職活動をする時は、今よりも企業が要求する条件は確実に厳しくなってくる。
求人は増えるだろうが、誰でもいいということにはならないだろうからだ。
「戦略的」に「闘う」ことのできるような経験を積むには、囲碁・将棋、またはサッカー、あるいは本気の受験研究が最も適していると私は確信している。

バルセロナでさえ、才能を見出すのにこれだけの投資をしているのだ。
そして、それでも才能は、なかなか見つからない。

わが子のサッカーに対して、はたして伊藤リオンよりも上なのか下なのか、そのくらいのことは冷静に見る目を、親としては持っても損はないだろう。

そんなことを辛の卯年(かのとのうどし)にあたり、ちょっと思って見たりしたのであった。


おわり

【参照】
バルサの弱点はここ
対バルサ戦略~偽ファーガソン編~
バルサをマネる3つのポイント
昔のバルサはこうだった
バルサの育成投資方針
バルサ5-0レアルの動画
昨年度(09-10シーズン)CLでのFCバルセロナ評
2009-2010CL準決勝インテル×バルサ第1戦
イニエスタの作り方
FCバルセロナの哲学

あしなが育英会 遺児奨学金「あしながさん」 継続寄付

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