2010年4月23日金曜日

インテルとバルサ

チャンピオンズリーグで、インテルとバルサが対戦した。
会場はインテルのホーム、サン=シーロ・スタジアム。
結果は3対1でインテルの勝利。
展開は、前半19分にバルサが先制し、やがてインテルが同点。後半開始早々にインテル逆点。16分にさらに追加点と突き放した。
面白かったのは、両チームの心理状態。
インテルは、とにかくこの第一戦が全て、といった感じで、開始早々から入れ込んでいた。
ところがバルサ一発目のチャンスであっさり失点。
がくっときそうなものだが、ここからのインテルがすばらしかった。
ゲームプランを信じ、バルサのサッカーを封じ込めることに集中していた。
そのメインテーマは、おそらく、「バルサのスピードを上げさせないこと」だったと思われる。
DFラインを下げさせるために、攻撃は両サイド裏経由にし、そこで優位に立っていても、安易なクロスは上げずに、ドリブル突破をしかけていく。バルサのDFは、鎖でつながれたようにラインを上げることができなくなっていた。
パスの起点であるシャビも、攻撃の起爆剤であるメッシも、ボールは持てるのに、インテルを崩すことができなくなった。理由は、間延びしたバックアップライン。はげしいピストン運動のようにくり返す、ボールの出し入れ、突っ込んでは引き、引いては突っ込むという、バルサのリズムが、伸びたパンツのゴムのようにたるんでしまったのだ。
こういう相手には、ロングフィードからのポストプレーによって、相手を中央に集中させるのがセオリーだが、バルサはそれをしない。あくまでもバルサのサッカーで戦い続けた。
インテルにしてみれば、しめしめというところだったろう。
バルサがそうすることを見越しての作戦だったともいえる。
バルサの自信、プライドを利用したのだ。
同点になった時点で、すでにこの試合の結果は見えていた。
もちろん実際の得点がどうなるかは誰にもわからないし、予想などできるはずもないが、この試合がインテルのものになることだけは明白だった。
この試合をバルサのものにするためには、バルサがバルサらしさを捨てる必要があったのだが、バルサにそれはできないと思われたからだ。
試合が自分たちのものでないことを、ピッチにいたバルサの選手たち自身も感じていたことが、テレビからも伝わってきた。
互いが無意識に反応するかのような展開が消え、「迷い」という湿ったジーンズのような違和感が、全体にただよっていた。
それでもバルサの選手たちは、自分たちのサッカーを信じ続けた。
それはそれでバルサらしいと思う。
それをやり続けた精神力もすばらしかった。
同点にされようが、逆転されようが、突き放されようが、自分たちは自分たちのしてきたことを信じるのだ、という信念がそこにはあった。
こういうことのできる指導者が、日本の少年サッカー界に、どれほどいるだろうか。
劣勢になると、ベンチから子供たちを罵倒するようなコーチなら、くさるほどいる。
怒鳴りつけることで、切れかかっている子供たちの集中力にカツを入れることを狙っての、あえてのふるまいなのかもしれない。だが、その姿は、子供たちを導き育てる大人として、日本人の先輩として、サッカーにたずさわる者の責任として、はたしてどうなのだろうか?

『子供たちは自分の分身ではない』
インテル・バルサ両チームの精神的な強さに感嘆しながら、子供たちを指導する大人たちがそのことを理解することができれば、日本の、というかこの北足立郡北部の少年サッカーのレベルも、数段上がるような気がしていた。


明日は全日本少年サッカー大会、埼玉県、北足立郡北部予選の決勝リーグの日だ。
会場は、北本市の、北本総合公園グラウンド。
午前9時開始との予定だが、どうにか雨と気温があがって欲しいものだ。
いい試合をたくさん見られることを期待している。

【参照】
バルサの弱点はここ
対バルサ戦略~偽ファーガソン編~
バルサをマネる3つのポイント
昔のバルサはこうだった
バルサの育成投資方針
バルサ5-0レアルの動画
昨年度(09-10シーズン)CLでのFCバルセロナ評
2009-2010CL準決勝インテル×バルサ第1戦
イニエスタの作り方
FCバルセロナの哲学

あしなが育英会 遺児奨学金「あしながさん」 継続寄付

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