2010年4月25日日曜日

サンクコスト効果と少年サッカー

サンクコストのサンクとは「ありがとう」のthank youのサンク、、、ではなくて「だんだん沈む」っていう意味のsinkの過去・過去分詞のsunkで、その意味するところは「救いようがない」とか「すっかりだめな」というあたりになる。岡田ノータリン監督の率いる、わが日本代表の現状などが、まさにサンクだ。

だからサンクコストというのは、「救いようがないコスト」であり、サンクコスト効果とは、この「救いようがないコスト」が、意思決定の際に影響を及ぼしてしまうことを指している。
アホな男が女に高価なプレゼントをみつぎ、その見返りを期待して店に通い詰めたりするようなこと。
高いスパイクを買ったら、微妙にフィット感が悪いのに、足を靴に合わせるようにしてムリして使い続けること。
あるいはあれは高かったから、と使わない物をいつまでも保管していること。
こんなような、脳みそがバカになってしまうようなことを「サンクコスト効果」というのだ。

すでに支払ったコストはもう帰ってこないのに、いつまでも記憶している。そして未来において、自分の中で、帳尻を合わせようとしてしまう。

これとは逆に見える「サンクコスト効果」もある。
それは、幸運にも手に入った利益のことを、軽々しく見てしまう心理状態だ。
思ってもいなかった女性から告白されると、その女性に対してはなんとなく優越感を持って接してしまったりすること。
誕生日プレゼントにもらったサッカーボールを、アスファルトの上で使ってしまうようなこと。
麻生政権のとき、地域振興券が配られると、さらに自前の資金を加えて、普段なら躊躇してしまうような食事に出かけてしまったこと。
要するに「濡れ手に粟」の「あぶく銭」はパーッと使ってしまいたくなる心理状態だ。
存在しないはずの利益なのだから、消えてなくなってしまっても損じゃない、と心は帳尻を合わせてしまう。

少年サッカーでいうと、ママさんたちが「私がこんなにボランティア・サポートしたんだから、うちの子を試合に出してよね」と明に暗に要求するようなこと。
あるいは、監督が、初期段階で見所があると思った子を、いつまでも使い続けてしまうようなこと。
どちらも、すでに過去となった労や判断に、現在の意思決定が影響されてしまっている。

サンクコスト効果を払拭できていれば、前のママさんは、違うチームに子供を移籍させるか、子供自身に練習させた方がいいことに気づくだろうし、後の監督さんにしてみても、元々自分に子供の可能性を見極める能力があるのかどうかを考えれば、いつまでも使えない子にこだわることは、その子のためにも、チームのためにもよくないことがわかる。

損を取り戻そうとすると、合理的な判断ができなくなって、どんどん深みにはまってしまう。
山で道を間違えたら、来た道を戻ることを恐れてはいけない。
「損したくない」「どうにか元を取りたい」と思うことのほとんどすべては、自分の心の中だけの損得勘定なのだと、常に肝に銘じておく。
昨日のことを今日に持ち越すんじゃなくて、明日のために今日を生きた方が、よっぽど人生は楽しい。
失ったゴール、犯してしまったミス、そんなもんはどーでもいいじゃないか。
新たなゴール、できるようになった新ワザ、そういうことに子供たちが目を向け、サッカーを楽しんでいるような少年団を、わたしはすばらしいととらえている。

0 件のコメント:

コメントを投稿