2010年4月27日火曜日

確証バイアスと少年サッカー

確証バイアスというのは要するに、オレオレ詐欺のことだ。
先入観にそうような情報を無意識に選択してしまい、結果、さらに先入観を強化してしまう。
「オレオレ」で息子と思い込んだ先入観から、人は容易には抜け出せないということだ。
だから、いまだに同様の詐欺にかかる人が絶えない。
彼ら彼女らは、決して「アホ」なのではない。
先入観にとらわれてしまえば、誰もが(当然私も)ひっかかってしまう。

確証バイアスが注目されたのは、それが「無意識下」で行われていることが明らかになったからだ。
つまり人は、頭で考えているようでいて、実はその思考の諸条件となっている情報が、すでに偏ってしまっていることに、まったく気づくことができない、という特性だ。
もともとこの能力は、無限に存在する情報の中から、自分の生死にかかわるような情報だけをすばやく合理的に選択し、記憶できた者だけが生き残り、子孫を残してきたことから獲得できた、すばらしいものだったはずだ。
だが今わたしたち人類は、その能力によって混乱している。

とまあ多少それっぽく書いてみたが、何を言いたいのかというと、

強豪と思われているチームだって、所詮はワールドカップ万年どん尻の、アジアの片隅にある島国の、そのまた特にJリーガーを毎年大量に生み出しているわけでもない地域の、同学年の子供を集めた、素人コーチ率いる、少年サッカーチームなんだ、ということだ。

強豪だ強豪だ、名門だ名門だ、などという知識があると、無意識のうちに、それを補強し強化するようなところにばかり目がいってしまう。
だがよく目をこらして見て欲しい。
そんなチームだって、ミスばかりしてることに気づくはずだ。
当たり前だ。
彼らは決して「スーパー」な選手ではないのだから。
彼らはごく普通の子供たちだ。

こういう確証バイアスもある。
「どこどこは裏でずるいことをしている。だって~じゃないか。他にも~してるって噂も耳にしたぞ。」
レッズは審判にひいきされている、みたいな話なんかは、週末の夜になると港の風にのって聞こえてくる。

こんなのは「左利きには天才が多い説」「AB型は奇人変人説」といっしょで、それに適合する情報ばかりに気が向き、それに適合しない情報には気づかないという「確証バイアス」そのものだ。

大人が妙な説を吹き込めば、子供たちが自力でその確証バイアスから抜け出すのはまず無理だ。
体育会系で、さらに大人と子供という、絶対的な上下関係、主従関係の影響下にあるとなるとなおさらだ。

自分の頭の中にある情報は、すべて、取捨どちらの面からも、確証バイアス様に支配されていることを、少年サッカーの指導者たちは忘れないで欲しい。
日本で天才と騒がれた選手たちがヨーロッパでまったく相手にされないのはなぜなのだろうか、と考えて欲しい。
ヨーロッパの人たちには、「日本の天才選手」に対し、まったく確証バイアスのない目で評価しているからなのかもしれないし、あるいは「アジアの選手」という「負の確証バイアス」に縛られているからなのかもしれない。

どちらにしても、日本のサッカー界にそこそこレベルの天才選手が現れるには、もう100年くらいはかかるんだから、大人たちはそんなにキリキリしないで、子供たちとサッカーを楽しんで欲しいと、切に願う今日この頃なのです。
子供たちが、子供としてサッカーを楽しむことができるのは、一生で今だけなのですから。

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