2011年2月15日火曜日

人間の6つの性格

エドゥアルト・シュプランガー(Eduard Spranger 1882~1963 ドイツの哲学者、教育学者、心理学者)

性格診断テスト

人間は、その無意識に持つ“価値のものさし”によって類型化できる生き物である。
その“ものさし”には6つの種類がある。
それは──
理論、政治、経済、宗教、社会、審美である。

これを──
『シュプランガーによる生活領域における価値観類型』と呼ぶ。

【解説】
■理論・論理志向■
「知性」「知識」「知恵」の獲得を最重視するタイプ。
真理の探究に最大の価値を見出し、客観的なデータの収集や論理的な思考の展開を重視する。人間や感情に対する関心が弱く、他者に対する思いやりや共感に乏しい。集団生活が苦手であり実際的な生活や経済的な利害に関する興味も余りないので、社会適応は一般に良くない。

世界の物事を客観的に見つめ、論理的に理解する事で真理を追究→知識を獲得。
合理的、効率的な志向・行動パターンを重んじる。
学者・研究者・科学者


■政治・権力志向■
「支配」「命令」「権力」に価値を置いて最重視するタイプ。
政治的な権力の掌握に最大の価値を置き、世界を弱肉強食的な上下関係で眺めることを好む。
権力型の人間は『支配・服従』や『優位・劣位』の二元論で社会を規定しているので、政治権力を持って他者を支配したり命令することに価値を見出す。
権力型の人間は『己の劣等性』を否認するために『他者との比較による優越欲求』が強くなる(『他者との比較』であることが特徴)。またそれそのものが行動のモチベーションとなってしまうことも多い。
他者への共感性や美的センスの追求といったことには殆ど興味がなく、他者との相対的な優劣(主従)が明らかでない事柄に魅力を感じない。

『自分は権力を持っている。力を手に入れた。』と感じる瞬間に無上の喜びを感じ、満足感を覚える。
政治家


■経済志向■
「お金」「利益」「実利」に価値を置いて最重視するタイプ。
経済的な利益に最大の価値を置き、功利的な損得勘定で物事を判断しようとする。金銭や財産への欲求が強く、絶えず市場における商売や利害を意識しているので、利己主義的な行動が多くなる。
他人の苦しみや悲しみに対する共感は弱く、一般に合理的で効率的な行動を好む。

能率・能率・有用性などの経済的観点から物事を捉え、お金や財産全般の獲得が最大目標となる。
ビジネスマン・会社経営


■宗教志向■
「神」「愛」「慈悲」に価値を置いて最重視するタイプ。
宗教的な崇高性に最大の価値を置き、世俗社会では経験することが不可能な神秘的な超越体験や清浄さを保った禁欲的な生活態度に惹かれる。
金銭・性的快楽・物欲といった世俗的な価値観に左右されることがなく、禁欲・清浄・敬虔といった宗教的な価値観に従って正しく生きることに強い意義を感じる。道徳的な生活態度と敬虔な信仰生活によって、世俗的な快楽を超越した永遠普遍の幸福や安楽がいずれ得られると信じている。

愛他的・博愛的・非利己的な傾向を示し、個々人の物事の捉え方によって、「人生は愛に満ちたもの」「人生は無」などと分かれる。
宗教家


■社会志向■
「奉仕」「貢献」「援助」に価値を置いて最重視するタイプ。
社会的な貢献や仲間との連帯に最大の価値を置き、利己的欲求を抑えて他者への協力や帰属集団への奉仕をすることに喜びを感じる。
社会型の人間の行動理念は『他者への愛』と『社会への奉仕』であり、家族や恋人を愛するように他人を愛することに意味を感じ、自分が所属する集団社会に役立つ貢献をすることに生き甲斐を見出す。
理想的な共同体的人間が社会型であり、社会適応性に非常に優れている。
他人や集団のための苦労や手間を惜しまないので、他人から好意や信頼の念を寄せられることが多い。しかし、他人と関係しない「プライベート(私的時間)」における趣味や娯楽を見出すことが苦手で、社会奉仕(他人への世話)を抜きにして自分個人が「何が好きなのか?何がしたいのか?」が分からなくなることがある。
「自分が楽しい」ということよりも「周りの人が楽しい」ということが絶えず優先されるので、知らず知らずのうちに精神的ストレスを溜め込みやすい。

社会全体への貢献や、困った人を援助する事に喜びを見出し、「人の役にたつ自分」「見返りを求めない自分」を追求。
福祉家



■審美志向■
「美」「美しさ」「美学」に価値を置いて最重視するタイプ。
美の探究に最高の価値を置き、美的な芸術(対象)を鑑賞したり美しい人間と交流することを楽しむ個人主義者である。
繊細な感受性と豊かな感情を持ち、物事を美しいかそうでないかによって感情的に判断するので、経済的な損失や対人的な不利益を受けることも多い。
理論型と同様に現実的な生活や経済的な損得への関心は殆どなく、芸術的な陶酔と身体的な快楽を求めることこそが人生の意義だと考えている。

現実の生活のやり繰りには余り目が向かず、「物体として美しい物」「自分の美しさ(外見・内面)」など、美しいものの獲得に価値を置く。
美しさの追求こそ人生の目標
芸術家・音楽家・画家



このように、その人を特徴づける持続的で一貫性のある行動・感情・認知・人間関係のパターンで幾つかのタイプ(性格類型)に分類した仮説が『類型論(タイプ論)』だが、類型論による性格心理学の起源は、古代ローマの医学者ガレノス(A.D.131-199)が提示した体液理論(体液病理学:humoral pathology)に類型論の原初形態があると言われている。

2世紀の医師ガレノスは四大体液のバランスによって『多血質・粘液質・胆汁質・憂鬱質(黒胆汁質)』という4つの気質類型(四大気質)を分類できると考えた。

【ガレノスの体液理論に基づく四大気質論】

■多血質■
日常生活の動作が美しく洗練されていて、外観的なスタイルにも秀でた人が多い。
テンポの良い話し方をして、社交的で快活なコミュニケーションをするので良好な人間関係を築きやすい。
美的センスや知的能力(理解力・記憶力・弁論術)に恵まれているが、一つの物事に集中して熟慮することが苦手で飽きっぽい部分がある。
他人への共感性や自分の感情表現に優れており、他人の期待や要求に応えるために努力することを厭わないことが多い。

■粘液質■
血色が良く若々しい外貌をしており、慌しい(あわただしい)ところがなく落ち着いた振る舞いをする。
良く言えば、重厚感のある雰囲気を漂わせ威厳のある態度を取っているといえるが、悪く言うと、機敏さ(鋭敏さ)に欠けていて鈍重でのんびりし過ぎている印象がある。
感情が安定しており喜怒哀楽の変化が少なく、何かが原因で急に怒ったり泣いたりするようなことが殆どない。
冷静沈着で深い思考力を持っているが、実際的な行動に移すまでに時間がかかり優柔不断な面がある。
しかし、いったん最後まで物事をやり通すと決断すれば、強い集中力と持続力を発揮する。
善良で温厚な性格と悪徳で冷淡な性格が同居していて、アンビバレンツ(両価的)な特徴を指摘することができる。

■胆汁質■
筋肉が発達していて行動に瞬発力があるが、一つ一つの動作に丁寧な気配りや慎重な配慮が乏しい。
実際的な行動力と決断力に優れており、集団内において強いリーダーシップを発揮することが多い。
熱しやすく冷めやすい性格で感情の変化は激しいが、他人の信頼や期待を裏切らない性格で執念深さのような陰湿な面がない。

■憂鬱質(黒胆汁質)■
体格はがっしりとしているが血色が悪く、物事をやり遂げる覇気が感じられない。
憂鬱感と失望感を抱えてふさぎ込んでおり、非社交的で人間関係は少ない。
意欲や関心が著しく減退しているが、時に個性的な創造性や深い思索力を発揮する。
現在の臨床心理学(精神医学)でいえば、H.テレンバッハの「メランコリー親和型性格」や下田光造の「執着気質」などのうつ病の病前性格と重複する特徴を多く持っている。

このような性格心理学の類型論(タイプ論)は、限定的な臨床経験や行動観察を元にして構築されるため、科学的な客観性や個性記述の厳密性はないが、人間の性格(人格)の本質論を展開して、典型的な性格像(性格パターン)のエッセンスを抽出するという意義はあるように思う。

個人の性格傾向の全体像を直感的につかみやすいので、実際の人間関係へ応用しやすいというメリットもある。

個々の子供をその場その場で的確に指導する際には、科学的に厳密な性格分析よりも、こうしたざっくりとした性格分類の方が応用が効くと私は確信している。

心理ゲームっぽい面も面白いし、と思ってここに紹介するものである。


終わり

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