2011年2月18日金曜日

8-11=-5

8-11=-5


なんだこの計算は? と思われた方へ
これは、平成23年の少年サッカーにおいては正解となるのです。
といったら、少し興味を持っていただけるだろうか。

今年の少年サッカー界では、

11-8=3
8-11=-3

とはならない。

11人制でのフィールドプレーヤーはGKをのぞいた10人。
基本的には、その10人を攻撃と守備に4人ずつ、余った2人を攻守をつなぐジョイントにしてチームが一体として機能するように構成する。
では8人制なら、どうなるか。
11人制の時と同じやり方で、フィールドプレーヤーの7人を攻撃と守備3人3人に分け、ジョイントに1人おけばいいのだろうか?

サッカー協会が少年年代を11人制から8人制へと変更させた理由は、この年代でポジションを固定させない育成にあると聞いている。初期の段階でさまざまなポジションを経験することにより、将来、自分の身体的特徴やセンスを最も有利に使えるポジションでプレーできるように──したいのだろう。また、プレーするチーム人数が減れば、一人一人のプレーヤーのボールタッチ機会も増すはずだ──という考えもあるに違いない。なんでも作れる料理人になろうとしたらどの料理も中途半端になって美味しい料理をひとつも作れないシェフや、ライバル店が減ればうちにくる客が増えるだろうと目論んでたらシャッター通りになってしまった──みたいなことにならないことを祈りたい。

さて、では協会の考える8人制チームができあがった、としよう。
おそらくそれは、どのポジションでもこなせる7人によって構成されたチームだろうと思われる。
どのポジションでもこなせるユーティリティプレーヤー7人……。

ここで最初に戻ってもらいたい。
11人制のチームに、どのポジションでもこなせるようなユーティリティプレーヤーは何人いただろうか?
各チーム事情によって差はあるだろうが、ここは思考実験の場だということで納得してもらうことにして答えを出せば、それは2人ということになる。
ユーティリティプレーヤーは2人しかいない。
ここで「-5」という数字の意味がおわかり頂けただろう。
この「-5」という数字は、足りないユーティリティプレーヤーの数を指していたのだ。

FWの子がディフェンスに回ったときは往々にして1対1で不安定になりやすいし、ディフェンスの子が攻撃の決定的場面でボールを受けた場合、敵に囲まれた中での判断に難が現れてしまうことが、ややもするとある。
そして8人制での、FWが自陣ゴール前にいる状況、またはDFが敵陣ゴール前にいる状況でのボールロストは、一気にカウンターを受けるピンチとなる。カバーリングや時間を稼ぐだけの人的余裕がないからだ。

欠点を、というかその子が持っているものを伸ばす方向ではなく、持っていないものを繕(つくろ)う方向において、練習で補える部分は限られている。
昨年一年間、全国的にも知られたようなチームをいくつか拝見する機会を得たが、いいサッカーをしていたチームは、特徴や長所を伸ばす、可能性を引き出す、そういう指導をされているのだろうなと思われるチームばかりだった。
この傾向は変わらないだろう。それが少年サッカー年代での指導として正しいからだ。欠点や弱点をつぶそうとするあまり、その子の個性や特徴・長所まで消してしまっては、そこでその選手は終わってしまうことをよい指導をされているコーチの皆さんは知っているからだ。

つまりこれを逆から読めば、全国的に有名なチームであっても、ユーティリティな選手を数多くそろえることはまず不可能だろうということになる。

しかし!
8人制では、ユーティリティプレーヤーを7人揃えられたチームがよい戦績をあげる。これは確実だ(ボールロスト即カウンターのリスクが減るから)。
したがって全日本少年サッカー大会を目指すチームの見る方向は、大人も子供も含めて、11人制も併存する現状では、10人のほぼすべてがユーティリティプレーヤーとなる方向へと、自然と進むことになる。8人制の試合ではそういう子が使われるようになるために、11人制のときであっても8人制でのレギュラーを中心にチームを組むしか道はないからだ。

攻めでしか生きない、守りでしか生きない、サイドでしか生きない、そういう選手の出場機会は激減し、彼らも自分に自信を持てなくなる。

ったく、困ったものだ、などと考えていてもつまらないので、ユーティリティプレーヤーを2人しか揃えられない条件で11人制から8人制へチーム編成を移行する場合、どうするのが最も戦力的に高くなるかを考えてみた。
結論から言うと、1-3-2-1の1トップ1リベロ(リベロ!!! 懐かしい響き。フランコ・バレージが思い出されます)しかないというのが、私の答えだ。
8人制の特徴は、なんといってもピッチが狭くなることと攻守の切り替えが早くなることだろう。
このことは(上でも書いたように)カウンターのチャンスが増えると同時に、ロストボール即失点へ結びつくリスクが高くなることを意味している。
お偉方は「全員攻撃全員守備」と簡単に言うが、小学生レベルで攻撃と守備を戦術的に両立できる選手は少ない。「うちの選手たちは大丈夫」とコーチが太鼓判を押しているような選手であっても、客観的に見れば、体力や体格や反応センスでどちらかを“ごまかし”ていることがほとんどだ。
だったらそこは現実を直に見つめ、開き直って、バスケットボールやバレーボールやアイスホッケーのように、各ポジションでの専門性を高めてしまっても面白いように思う。まさにサッカー協会のお偉方の「机上の空論」の真逆をつくのだ。
攻撃の軸は1トップの個人技個人能力に、守備は1リベロの戦術眼とセンスに、それぞれ重きをおく。
こうしたサッカーの中から、将来の日本のスターが誕生するかもしれない。個性と自信を持った、イタリアのバロテッリみたいなキャラになるかもしれないけど、でも面白い選手は絶対に出てくると私は確信している。

ということで、懐かしのバレージの動画を紹介しながら、この辺で──

Franco Baresi

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