2011年4月5日火曜日

逃げるところがあるのか。

福島民報

福島のニュース


東電が事故後に原発増設計画提出 
 東京電力は、福島第一原子力発電所の7号機、8号機の増設計画を盛り込んだ平成23年度供給計画を、原発事故の長期化が懸念されていた3月31日付で、経済産業省に提出していたことが2日までに分かった。県の野崎洋一企画調整部長は「一刻も早く事故を収束させることが使命のはず。県民感情を考えても許すことができない」と憤っている。 
 電力供給計画は電気事業法に基づき事業者が毎年経産省に提出することが義務付けられている。東電によると、東日本大震災発生前に供給計画の内容を検討。震災後の混乱の中で震災の影響を踏まえた内容に見直すことができず、提出期限となったという。東電福島事務所の小山広太副所長は「震災の影響を考慮する必要があったが、できなかった。申し訳ない」と述べた。 
 県によると、3月26日に東電から計画の提出について相談があったが、県は27日と28日の2回にわたって「原発事故の現状を考えたら認められない」と意見していた。
(2011/04/03)
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感情のみを素直に発露すれば、東京電力は解散して、社員や施設は東北電力と中部電力に分離吸収してもらって、関東圏は両者の相乗り配電地域にしてもらうのがいいと思っている。

しかし、一日も早い復興のことを考えると、第二原発はむろんのこと、ダメージの軽い福島第一原発の5、6号機はすみやかに再稼働させて、関東圏への電力供給を安定させるべきだと思うのだ。そしてできるだけ早く最新鋭の7、8号機も増設して、1~4号機を失った傷を埋める努力をしなければ、後生の日本人に莫大な借金と産業のない貧しい国を残すことになってしまうからだ。

化石燃料発電と原子力発電の代替エネルギーをどうするのかは、時間もコストも膨大に費やす壮大なテーマだ。とてもこの1、2年でどうにかなるというものではない。

福島県にとっても、県内原発全廃炉の先に待っているのは再生ではなく完全なる死だと思う。

世界史に「原発事故によって死滅した都市」として「FUKUSHIMA」という名は永遠に刻まれることにもなる。

確かに、本当に、そこではもう二度と生活できない程に汚染されていて、立ち入ることも呼吸することも危険だというのなら、それも致し方ないが、でも現在まで報道されている情報では、福島はそうじゃない。

県内の大部分は問題ないし、退避勧告の出ている地域だって、汚染原因は初期の建屋爆発によるもので、それは決してその後も継続して排出されているのではないのだから、これから同じような水素爆発や火災の危険さえなくなれば、適切な対処によってまたそこでふつうに生活できるようになるのだ。考えて見てほしいのだが、何がどうなろうと、被爆直後の広島長崎より汚染度が深刻だなどという事態になるわけがないのだから。
土壌に浸透したり、土ぼこりとして舞い上がる放射性物質が心配だというのなら、名古屋や大阪のように、地表のほとんどをコンクリートやタイルやアスファルトで覆ってしまうという方法もある。水については、より厳密な調査をする。それではまだ心配だというのなら、汚染の心配のない地域からパイプラインで導水してもいい。原発政策を推進してきたくせに監督責務を怠ってきた国と管理運営者の東電が、平伏して「よろこんで設置整備させていただきます」と言うだろう。

もっと突っ込んだことを言えば、私は、今回の“欠陥設計”ではないかと疑われてさえいる福島第1原発の1、2号、そしてトラブルのおさまらない3、4号機についても、ちゃんと原因を究明して、それを修繕・改良した上で、再可動させる方が、後々の日本人のためにもよいと考えている。
もし医療であれば、「急変の原因は先天性のものでしたので、すみませんが治せません」と匙(さじ)を投げる医者よりも、「原因は先天性のものと考えられますが、それを見逃していたのは私のミスです。治せるかどうか分かりませんが、再び元気になれるようできる限りのことをさせていただきます」という医者の方が、信頼できると私は思う。
しかし、治せないことがわかっているのに、それを「治せる」というのは“ウソ”であって、そういう姿勢の医者もまた信用できないので、その線引きは難しいのは難しい。

それにしても、政府や経産省や東電の対応はひどい。ひどすぎる。
どんどんトラブルが大きくなって広がっていることの要因を辿ると、それらは全部、事故そのものじゃなくて、その事故への対応の失敗に起因しているんだから、まあホントたいしたものだ(もちろん皮肉です)。
密閉されている箱の中にガンガン水をぶち込んだらあふれてきた……当たり前じゃん。
延長コード持ってきて電源をつないだら、塩水かけまくったせいか動かない……頭が痛い。
いまから思えば、そもそものトラブルの原因は、『外部電源が壊れたために電気が来なくて動かなくなった』ってことだったんだから、その対処としてまずトライすべきだったのは、『延長コードを持ってきて、電源をつないでみる』だよね。
それをしないままにしてて、そしたら建屋が破裂して、でもって煙が出たもんで大慌てて水をかけまくろうとしたらホースもバケツも用意してなくってパニックパニック。

事故当初、テレビ各局に出ていた専門家のみなさんは口をそろえて「最優先されるべきは、燃料を冷やすことです。ですから大量の水を投入しなければならないんです」と解説していたけど、それは核・原子力の専門家としての意見であって、プラントの専門家だったら「まず電源を回復して、制御システムを正常に復旧させること最優先です」と答えたのではないだろうか。なぜなら、電源さえ入ればシステムはちゃんと動いたかもしれないし(その可能性は非常に高かった)、もし水を投入できたとしてもシステムが止まったままなら、トラブルを生んだ状況は継続し続けるからだ。

それに、放射線被曝の健康被害についても、「危ないぞ危ないぞ」ばかりじゃなくて、実際に過去にはどういうことが起きているのかを、ちゃんと報じるべきだと思う。

広島長崎ではどうだったのか。放射線の害が知られていなかったときの研究者や医療従事者は。世界中で行われていた核実験の影響は。実験室で行われている被曝実験の内容、つまりどういう条件下でその実験結果が得られたのか。

なぜこんなことを言うのかというと、実は、拡散した放射性物質による健康被害を人類が受けたという実例は、厳密に言えば皆無。疫学的な条件を弛めてようやく、というのが現時点での事実だからだ(もちろん、だからといって絶対に無害だ、などと言うつもりはない── base on ビビる枝野流保身答弁術)。

「危険だ危険だ。逃げろ逃げろ」と騒ぐ人──特にマスコミで発言できる立場の人や権力を有している人──は、最終的にどういう幕引きを望んでいるのだろうか?

福島県を無人地域にしたいのだろうか?
北関東全域の農産物と福島茨城千葉江戸前の海産物の摂取禁止措置?
太陽光発電プラントと風力発電プラントが関東全域に何百何千何万と設置されるまでの何十年間も、計画停電に耐えろというのだろうか?
それとも歴代東電幹部の資産没収?
あるいは日本中の原発廃炉?

放射性物質に被曝したら、あるいは内部被曝したら、将来必ず「がん」になって死ぬ、みたいな脅かしは卑怯だと私は確信している。

広島長崎の人の果たして何%ががんになられたというのだろうか?
その内、被爆による被曝が原因と考えられるのはどれくらいなのだろうか?
私には、こういう「脅かし」の裏側に「差別を生む心」が潜んでいるように思えてしかたがないのだ。
広島や長崎の方々が、こうした「差別」によってどれだけ、する必要のない苦労、いわれのない重荷を背負わされて来たのかを、多少なりとも知っているつもりの私は、簡単に「危ないぞ危ないぞ。逃げろ逃げろ」という論調には組みすることができない。

無理に近づく必要はないし、発電所の中で生活しろとも言っていない。
でも、とっくに甲状腺の生育段階を終えたティーンエージャー(10歳代)以上にまで、飛散放射性物質による被曝が「即、死」につながるかのような「脅かし」はプロパガンダの疑念さえ持たれかねない危険な誘導だと思う。

もし本当にそんなことが起こりうるなら、現在十機以上が稼働中であり、これからもどんどん増える中国の原発が事故を起こしたときどうするのだろうか。当たり前だが、黄砂の飛んでくる地域なんて目じゃないくらい広範囲で、相当高レベルの放射性物質が検知されることになるのは確実なのだ。そのとき、どこに逃げるのか? 何を飲むのか?

日本が何を言おうと、風上にある隣国に [MADE IN CHINA] の原発が次から次へと増設されていく現実は止まらない

問題は、福島県から原発がなくなったからよしとする、とか、日本から原発がなくなったからよしとする、とかいう話じゃないということを、「脅されて怖がっている」「危険だ危険だ。逃げろ逃げろ」の人たちは、少しでも考えたことがあるのだろうか。

これからも福島県で暮らしていく人のこと、これから生まれてくる人のこと、そうした人のことを考えた上で、「危険だ危険だ。逃げろ逃げろ」と脅すならまだいい。
でも、ただ、今、目の前にあることに脊髄反射しているだけでそう脅しているのなら、あるいはビジネスに、あるいは政治的に、不安を利用しようとしてそう脅しているのなら、それは非常に罪深い行為だ、と私は確信している。






一日も早く、またサッカーのことを考えるだけで、純粋に楽しくなれる時間が戻ることを祈って。

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