2011年4月5日火曜日

高台移転構想の愚

仕事場、学校、車や自転車での移動、買い物、足腰の弱った高齢者、……。

みんなが自宅にいるときにばかり津波が来るわけじゃないし、災害は津波だけでもない。
斜面を造成した場所が、地崩れを起こしやすいのは常識だし、クマなどの大型野生動物との無用な接触機会も増えるだろう。

それにこの地域は、今回の甚大災害に襲われるまで、医療機関へのアクセスが非常に悪いことが問題になっていたと記憶している。産科にかかるまで、車で片道1時間だとか、高齢者が病院へ行こうにも手段がないだとか、病院へ行っても医者がいないだとか、そういう話をNHKの「クローズアップ現代」や「NHKスペシャル」でもやっていたはずだ。
そんな地域が平地から急勾配地へ移転したら、医療機関へのアクセスはさらに悪化するのではないだろうか。

私は、巨大な堤防を築いたり、山林を造成して高台に広大な居住地を造るよりも、家屋の構造を変えて対処する方がよほど低コストだし、効果も高いと思う。

今被災でも、木造住宅の2階部分は残ったというケースがいくつもあったようだ。
この事例を参考にして、木造3階建て構造で、最上階部分は下層階部と一体構造にしないで、今回のような津波の時には分離して水に浮く「浮揚シェルター」のような働きを持たせてはどうだろうか。




もちろん高台にまで逃げるのか一番安全だが、外へ出て逃げ遅れるよりは自宅の最上階に上がって耐える方が、サバイブする可能性は高いはずだ。3週間後に漂流する屋根の上にいるところを発見されて救出された犬が良い例だ(※)。

巨大地震や巨大津波に襲われたら、どのみち無傷ではいられないという現実を受け入れるところから、進歩は生まれると俺は確信してる。

それに──被災されたご高齢の方々に、高台への移転地ができるまで避難所や仮設住宅で生活してくださいというのは余りにも酷だ。


以上



(※)
2011年 平成23年 4月2日 産経新聞

 1日午後4時ごろ、宮城県気仙沼市本吉町の沖合約1・8キロの海上で、漂流していた屋根の上に
犬がいるのを、第3管区海上保安本部(横浜)所属の特殊救難隊が見つけ、約1時間後に救出した。

 地元の第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)によると、同救難隊は東日本大震災の行方不明者を
捜索するため海上をヘリコプターで飛行中に犬を発見。ヘリコプターから助けようとしたが、犬は
海上にあった木材などに飛び移って逃げた。

 隊員3人が救助艇で再度近寄り、最後は救助用の担架に乗ったところを助け出した。

 犬は黒っぽい首輪をつけていたが、飼い主の住所などは書かれていない。海保の巡視船の中でビス
ケットやソーセージを食べ、おとなしくしているという。
この屋根の上にいるところを発見された。写真は隊員が救出にいったらビックリして屋根の裏に逃げこんでしまった場面。
無事救出された犬。

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