2011年4月13日水曜日

弱小チームのための8人制戦術

この前の日曜日に、上尾の平塚サッカー場と伊奈の丸山スポーツ広場へ行ってきた。
全日本少年サッカー大会の北足立北部地区予選を観るためだ。

大部分は予想通りのサッカーになっていたが、一部机上の予想と異なる傾向があったのでここにメモる。

【思ったよりも、ドリブルが少なかった】

ドリブルでキープして相手を引き寄せておいてのスルーパス狙い、という意図を見せる選手はいなかった。その理由は簡単で、実際に試合を観てみたら、ゴール前のバイタルエリアが常にスカスカなので、どうしても第一選択はそこへのパスということになってしまうしかなく、だからドリブルをする機会が減ってしまうのだ。機会が減るというよりも、ドリブルを必要としないサッカー、それがこの8人制なのかもしれない。

ボールを奪われたら即、ゴール前に縦パスが入ってくるのだから、ゴールキーパーとセンターディフェンスラインに難のあるチームは大量失点しやすくなる。実際私が観ていた試合でも、前半だけで二桁入ってしまったのではないかと思えるくらいの一方的展開となった試合があった。あの子たちがサッカーを嫌いになってしまわないか、とても心配になった。

では一方的になりそうな試合では、どう対処すればよいのかを考えてみよう。

【選手をコンパクトにして中央を固める】

8人制の特徴はなんといってもゴール前にスペースがあることだ。
次の特徴は、ピッチの縦が短いこと。
第三の特徴は、サイド攻撃の効果が薄いことだろう。

逆順に説明をする。

サイド攻撃の効果が薄くなってしまう理由は簡単で、センターからサイドまでの距離が近いからだ。
従来は、サイドを崩すことによってセンターからDFを引っぱり出すことができて、その結果中央のDF組織をこわすことができた。しかしこの8人制では、サイドを崩してセンターからDFを引っぱり出したとしても、その距離はさほどではなく、中央のDF組織への影響は少なくなってしまう上、狭いために、抜いたDFもすぐ体制を立て直して追いついてくる。これではサイド攻撃は、DF組織を崩すというよりも、DF組織を整える時間的余裕を与えるだけということにもなりかねない(サイドアタックマニアの私としては、非常にゆゆしき事態だ!)。

また、ピッチの縦が短いことが、中途半端にDFラインを上げそこなったような状態をつくりやすくしてしまってもいた。これは目立たないが、注意しないと大火傷(やけど)につながる落とし穴だ。

どうしても11人制のときの感覚が残っているので、ゴールキーパーや他の味方や相手との距離感が狂ってしまいやすい。←これが原因だ。

8人制にしたときは、11人制の時よりも距離をつめてきっちりマークしなければならないのに対し、ゴールキーパーとの距離は逆に意識して空けるようにするのがセオリーだ(実力が同等のチーム同士の対戦ならば)。
なぜかというと、8人制では1歩目の遅れを取り戻す時間的な余裕がないからだ。「あっ」と思ったときにはもうシュートを打たれている。だから、DFは相手の足を踏むくらいピッタリをくっついていなければならない。でも、やっぱりいつもの感覚にどうしてもなってしまって、やられているようなシーンがたくさんあった。
ゴールキーパーとの距離については、8人制ではオフサイドトラップを上手に使わないと守備ができないということを理解していれば説明などいらないはずだ。
縦パス1本通れば即至近距離からシュートされてしまう8人制でのDFは、マンツーマンが基本だが、それだけで守りきるのはどこのチームであっても無理だろうと思う。だからどうしてもオフサイドトラップを使えるようにならないと、いいFWのいるチームには好き勝手にやられてしまうことになる(これができないチームは、レジスタあたりには何もできないだろう。マリノスカップでビュンビュン抜きまくってたちびっ子ドリブラー君なんて、まず止められないと思う)。

【うちのチームにオフサイドトラップは無理】

となると、セカンドチョイスは“ラインを下げる”になるだろう。
下げて下げて、フィールドプレーヤーを基本2-4ー1の形にして、2人はチェイス、4人はマンツー、1人は最終ラインカバー、というように役割分担させる。
チェイス役の2人は消耗が激しいので、選手交代を積極的に行って運動量を維持するようにする。
攻撃はセットプレーと、決定的なカウンター時のみに集中するつもりで割り切る(もちろん攻撃はそれのみしかダメってことじゃない。そうじゃなくて、だらだら何となく攻撃を仕掛けるようなことをしないってこと。8人制で強いチームを相手にした場合のそれは危険きわまりない行為だから。攻撃を仕掛けるときは、ちゃんと全員がそれを共通認識として確信していることってことを大原則に!)。

指示は

・相手ボールになったら、とにかく全速力で自陣深くまでもどれ。
・戻ったら、役割分担通りに、自分の仕事に集中しろ。
・ボールを奪ったら、つなぎは考えるな。チェイス役の前に蹴り込むことだけ頭にあればいい。
・セットプレーの時は、ヘディングで絶対に決めてやるという覚悟で博打に出ろ。得点するチャンスはそこしかない。
・ゴールキーパーは、相手がシュートしようと足を振り上げるまでは絶対に前には出るな。待って待って、相手を焦らせるんだ。

この5つだけ。


子どもにいろんなことを考えろと指示しても、混乱して体が動かなくなることが多いように思うので、私ならポジションごとに最重要な役割をひとつだけ意識するように指示をして、あとはベンチサイドから修正するかな。

「2-4-1」については、それ自体が大事なのではなくて、あくまで「考えかたの象徴」って意味合いの方が強い。
チームの構成や相手の特徴によっては、「1-2-3-1」「1-4-2」「2-3-2」とかいろいろ考えられる。
とにかく共通している哲学は、「実力的に上のチームと対戦するときは、チェイス役、マンマーク役、カバー役、を明確に分担させるってこと。これが逆に自分たちの方が明らかに上なときは、この哲学なんて無視してOK。フォアチェックからの全員攻撃でも、あえてのサイド攻撃でも、なんでも好きにすればいい。リズムをつかんだら、一方的な展開に持って行けるのが、この8人制なのだから。

8人制だと、あびるシュートは多くなるのに、DFの数は少なくなるってことになりがちだから、ゴールキーパーの重要性が11人制のときより倍以上増すね。技量や体格といったハード面もそうだけど、それ以上に展開を読む目とか、的確な指示を送る頭だとか、思い切ってチャレンジする勇気だとか、そういうソフトの面がとても求められるポジションになった。

ゴールキーパーにそういったことを教えられるコーチのいないチームは、正直かなり厳しい試合結果を覚悟する必要があるだろうなあっていうのが、週末観戦しての私の感想。

子供たちがサッカーを楽しめるような8人制となることを願っています。

【参考】
8人制必勝パターン
8人制観戦の楽しみ方。
アルディージャJr.スペイン遠征(8人制)の動画
ゴールキーパーの基本技術


以上で~す。

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