2011年4月1日金曜日

BSフジLIVE プライムニュース

原子力発電プラントを国家を支える基幹産業にしようと目論んでいるおフランスとアメ~リカが、世界に反原発モードが広まることを阻止しようと福島原発にやたら積極的にお手伝いに参上していることをすかしっ屁しながら「トラブルの原因を巨大津波のせいにしようとしてるけど、データはしっかり、地震の後津波の前に発生したことを記録してるらしいから厳しいねえ。これから原発を新設しようって地域で、地震も津波も心配がないってとこがどれくらいあるかなあ」などとビール片手にザッピングしていたら、津波についてしれっとあんぽんたんなことをほざいている政治家と専門家(防災)がいたので、私はこうだと思うんですけどねえというところをさくっと書いてみる(もちろん私もあんぽんたんです。はい)。

【やっていた番組】
BSフジLIVE プライムニュース
月~金 午後8時~9時55分
一つのテーマを二時間徹底議論!問題の解決策を見つけ出し、提言する。
【キャスター】
月曜~金曜日担当
反町理(フジテレビ政治部長)
月曜~木曜日担当
八木亜希子
金曜日担当
島田彩夏(フジテレビアナウンサー)

3月31日(木)
実際に被災地を訪れ、その実情を目の当たりにしてきた岩手県出身、平野達男内閣府副大臣と、防災システム研究所の山村武彦所長をゲストに迎え「今、本当に求められている支援」を考える。
【ゲスト】
平野達男 内閣府副大臣
山村武彦 防災システム研究所所長

番組すべてを見たわけではないので、私が誤解している部分もあるかもしれないことをはじめにお断りした上で、平野山村両氏の防潮堤についての見解は以下のようなものでした。
(1)防潮堤よりはるかに高い津波であっても、防潮堤があったおかげで、津波の威力は小さくなったはず。
(2)破壊された防潮堤も、第1波には効いたはず。
(3)防潮堤があったことで避難が遅れたという意見は的はずれ。そもそも防潮堤は避難の時間を稼ぐのが目的なのだから。
(4)引き波の際、防潮堤にひっかかったおかげでがれきが湾へ出なかった。もし防潮堤がなければ、捜索は難航していただろう。



う~ん、どうなんですかねえ。私はこんな風にも思うんですけど。

(1)について。
水深15メートル20メートルっていう大きな川の途中に、高さ10メートル弱の壁(岩でもいいです)を沈めたと想像してみてください。想像しにくければ、深さ1メートルの水路に50センチのコンクリートブロックを沈めた、でもいいです。
渓流釣りをしている人なら直感的にわかってもらえると思いますが、確かにその壁なりブロックなりのすぐ後方は、水流が弱まります(そうした水流の弱いところに魚は潜んでいるのです)。
でも、川の流れはすぐ元通りになってしまいます。石に当たった水流が、そのままずうっと減速したままということはありません(当たり前ですよね)。
今回のような巨大津波の場合も同じことです。
確かに防潮堤のすぐ後ろでは、多少水流は弱まったでしょう。
でも、そのことにいかほどの意味があるのでしょう?

(2)について。
「効いたはず」、とはどう「効いた」というのでしょう?
津波というのは、大波とは根本的に異なります。
寄せては返す「ふつうの波」とはまったく違い、相当の時間、ずうっと寄せたっきり状態になるのが津波です。
ましてや今回のような巨大津波は、それまで陸地だったところが瞬時に水深10メートル20メートルの海底に変貌します。
徐々に徐々に水嵩(みずかさ)が増していくのではないんです。
こんな状況で、「第1波には効いた」も何もないでしょう。

(3)について。
防潮堤の位置にまでこの津波が来たら、避難の時間稼ぎなんかできません。

(4)について。
ホースで水を遠くに飛ばすには、ホースの口をすぼめますよね。
バケツの底をすべて取ってしまうのと、小さな穴を一つあけるのとでは、どっちの方が早く空になりますか? また排出される水の勢いが強いのはどちらでしょう?
大勢の人が出口に殺到して大きな事故になったというような事例に聞き覚えはありませんか?
引き波に関して言うなら、もし防潮堤がなかったならば、水の引きはもっと早かっただろうし、がれきが勢いよく集中するなどということもなかったと私は考えます。水の引きが早ければ、もしかしたら息継ぎが間に合った人もいたかもしれないし、引き波の勢いがもう少し弱ければ漂流物につかまって助かった人もいたかもしれません。
防潮堤にがれきが大量にひっかかっているということは、そこに吸い寄せられてパックされている(プレスされている)ともいえるわけです。圧縮されたそこにはすき間、スペースがありません。漂流物につかまって何とか頑張っていたとしても、もしそんな状況になればひとたまりもないでしょう。

【私の結論】
津波に対しては、津波が来る前に、津波が届かないところまで避難できるかが分かれ目であって、そのためには海を隠してしまうような従来タイプの防潮堤はマイナス面が大きいと思います。
それにどんなに立派な防潮堤を築いても、港に船がある限り、それらが激突してくるクラスの津波には耐えられません。

「防災」とは、字のごとく「災いを防ぐ」ことです。
しかし人類は天災を防ぐことはできません。地震も噴火も台風も異常気象も、そして津波も、我々にはどうすることもできません。それくらい自然のスケールは大きいんですから、人間の頭でパーフェクトな想定なんてできるわけがありません。
とするなら、そうした天災のあとに訪れる混乱こそが、私たち人類が防ぐべき災いなのではないでしょうか。
私はそうだと確信しているので、これからの津波防災は、津波を止めるという思考回路から抜け出して、いかに再建するのか先手を打つような発想に転換すべきだと思いますが、いかがでしょうか。



おわり

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