まあ、後悔することも大事なことですし、負けからしか学べないこともたくさんあるんですけど、それはそれとしてここでは「子供たちがサッカーの試合を楽しめて、そして育成の面からも効果のある」チームを作るためには、こういう考え方もあるよ、ということをざっくり書いてみます。
毎年たくさんの団員が入ってきて、そこから選抜してチームを作らなくてはならない(これはこれで苦労もストレスも悩みも多いんですけど)ようなチームは想定しておりませんのであしからず。
県サッカー少年団大会の北足立郡北部地区予選が終わって、4種リーグも残すところ1~2試合となりました。
各チームのパパさんコーチの皆さんにも、いろいろと思うところがあるのだろうと想像します。
あそこでああすればよかったとか、ここはこうすべきじゃなかったとか。
サッカーのチーム作りで意外と忘れられがちなのが、「よそのチームをよく見てみる」ということです。
よそのチームをよく見ることは、自然と自分のチームを見ることにもなるんですけど、皆さん結構なおざりにされているみたいです。
「うちのチームは弱いから」「うちの子はヘタだから」
なんて嘆(なげ)く前に、よそのチームをよく見てください。
ほら、よそのチームにだってヘタな子はいくらでもいるじゃないですか。
でも、サッカーのチーム作りって、上手な子をそろえること、じゃあないんです。
チーム作りっていうのは、そのチームの戦力・装備で得られる戦果・効能を最大化するように、選手たちを配置することなんです。
シンプルに言えば「穴(弱点)を隠す」ということです(塞(ふさ)げればいいんですけど、なかなかそうは行きませんので)。
どんなに上手でスピードがあって体力も体格も頭脳もすばらしい子がいたとしても、彼ひとりでは試合に勝つことはできません。
サッカーとはそういうスポーツです。エースで4番のように、ストライカーとキーパーを同時にこなすなんて無理なんですから。サッカーチームには必ずデコボコがある、そう思ってください。必ずどこかに穴があいているんです(レベルが上がると、この穴が出現するには状況や時間帯といった条件がかかわってくるんですけど、それでも穴は必ずあります。サッカーですから)。
よそのチームを見るときは、この「穴」はどこにあるのかを探すことから入ります。
ふつうのチームでは、うまい子、はやい子、を前中央に置いて、大きな子をゴール前に置いて、とこんな感じでポジションを決めてゆきます。
ゴールキーパーをやりたがる子も、やらせたがる親も、日本では少ないです現状をふまえ、それならこのチームではどんな子がゴールキーパーを担っているんだろう? そういうちょっと意地悪な視点から見ることも大事です。
前へのボールへの対応、DFとの関係、高さやコーチング、ギリギリの競りあいで体を張れるかどうか、この辺をチェックすればおおよそのことはわかります。
そしてたいていのチームで「穴」になるのは左サイドのMFとDFの間です。
これは選抜チームではない街チームの悲しさで、まともな左利きの選手を2人持つことはなかなか難しいことにその理由があります。
守備側の左サイドというのは、相手攻撃側から見れば、右利きの選手が最もドリブルもシュートもパスもしやすい位置になります。ここに穴があると、そのチームはどうしても不安定な試合運びになってしまいます。自分たちが押していても、そのエリアへのロングボール一発でたちまち失点、みたいなことが頻発するからです。
ですから、この位置が「穴」になっているのかいないのか、それとGKが嫌々GKをやっているのかいないのか、その2点を見極めようという気構えでよそのチームを見ていると、さきほど言ったように、自然と自分のチームも見えてくるようになります。
これで第一歩目をふみだせました。
では次に、自分のチームには大きな穴があいていることもわかった。そしてGKも、あまりやる気がないことがわかった。らどうするか、です。
まず穴をふさぐことを最優先してチームを再構成しましょう。
船底の穴をふさぐこと、出血をとめること、それがいい結果に続く道へと通じるのです。
ここは思い切って、左サイドには左利きという既成概念を捨て去って、動ける子そこそこうまい子を左へ持ってきてみましょう。
この狙いは、相手の右サイドと真っ向勝負できる左サイドにすることです。ですから左サイドから左足であげる美しいクロスボール、なんてのは夢のまた夢、自分たちには関係ないものだと割り切ります。
ゴールキーパーについては、チームのエースだとか人気者だとかは関係なく、気持ちが強くて反射神経もジャンプ力も判断力もある子を上から順に3人選んで、交代で任せるようにします。普段の練習に加えて、GK練習もプラスです。
エース級がゴールキーパーを務めることで、チーム内におけるGKというポジションのステイタスを向上させることが狙いです。ゴールキーパーを、ヘタで足の遅い使えない奴がやるポジションだという「草野球のキャッチャー」的なイメージから、できるリーダーのやるポジション、「古田敦也クラスじゃないとつとまらないポジション」というイメージへアップさせてしまいます。これに成功すれば、チームの雰囲気もぐっとよくなります。
実際、ゴールキーパーを経験しておくことは、得点感覚を磨くためや、またディフェンスとのコンビネーションを強めるためにも非常に効果のあるものです。
穴がふさがって、質の良いGKも確保できたところから、チームはいよいよスタートします。
各選手の特性、パスを出すタイプなのか、パスを受けるタイプなのか、足下でプレーするのか、スペースでプレーするのか、恐がりなのか、勇気があるのか、いざというとき向かっていくか、逃げるのか、そのあたりを考慮しながらポジションにとりあえずはめ込み、練習と試合を重ねながら徐々に煮詰めていけば、そんなに間違ったチームにはならないと思います。
最終的にできあがったチームが最初のチームとはまったく違う姿になったとしても、むしろそれはそれだけチーム力がアップした証だと考えるべきで、遠回りをしたとかはじめからこうしてればよかったなんて思ってはだめです。名画の下には、何度も書き直された幾重もの下書きがあるものなのです。
チーム作りにはそれこそ指導者の数だけ考え方、やり方があります。
子供たちのサッカー選手としての可能性もひとつではなく、いろいろ。だからいろんなポジションを“真面目に”こなそうとする期間を持つことは、個々の幅を広げます。子供の頃からずっとワンポジションという子よりも、ゲーム(もちろんサッカーの)に対する取り組み方と見方・考え方が多面的になるんです。このことも頭の片隅に入れておきましょう。
来年の初夏、たくさんの個性的なチームが魅惑的なサッカーを展開して、楽しませてくれることを期待しています。
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