2010年10月23日土曜日

スポーツとモラル─正義とは何か─

横浜F・マリノスの金井貢史選手(20)が無免許運転で検挙された。

横浜は21日、DF金井貢史(かない・たかし=20)が、無免許運転による道路交通法違反で、神奈川県警の取り調べを受けたと発表した。18日夜、横浜市内で実施された交通検問で運転免許が失効していたことが発覚した。

昨年8月に免許が失効したまま約1年2カ月間、運転を続けていた。
金井は、08年8月に免許を取得したが、09年4月に人身事故を起こした。事故当時はクラブに「軽い追突事故」と報告したが、実際は人身事故だった。この事故によって免許停止となったが、義務づけられている講習を受けず、同年8月に免許が失効していた。

クラブを通して「社会人として、してはならないことをおかしてしまいました。自分の自覚の甘さを痛感しております。これから、生まれ変わったつもりで頑張り、2度と同じ過ちは繰り返しません」と謝罪のコメントを発表した。

金井は今季、おもにボランチでリーグ戦8試合に出場。安定した守備力を評価され、11月のアジア大会に出場するU-21の日本代表にも選出されていた。

県警によりますと金井選手は今月18日の午後8時ごろ横浜市中区海岸通でチームの選手3人を乗せ、
車を運転中にAPECで厳重警戒中の検問でとめられた。

愛車は日産・デュアリス。

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ニュース情報をピックアップすると、どういう事件だったのかのあらましがわかってきた。

おおかたの感想とすれば、バカだ、アホだ、自覚がない、管理不行き届きだ、連帯責任だ、自動車メーカーが親会社なのに、死刑にしろ、マリノスは解散だ、とかこんな感じだろうと思う。

しかし私は、こんなことはJリーグや“サッカー好き”が問題にするようなことじゃないと思う。
理由は、

この犯罪に『正義』は関係ないからだ。

この件が犯罪である唯一の理由は、法律でそう決まっているから、ただそれだけだ。
この金井という若者は法律に違反したのだから、法律に則って処罰すればいい。
しかしそれ以上の罰則を、所属チームやJリーグが科すべきではない。

彼は決められたルールを破ったのだから、決められたペナルティを負う。それだけのことだ。

逆にルールを破っていないからといって、正義に反するような行為をした場合は、たとえ法律上ルール上は罰せられなくても、周囲の人間や社会は彼を罰するべきである、というのが私の考えだ。

道交法に関しても、首都高や峠の走り屋や、千葉や茨城や大黒の“族”や、高速道での速度違反といった違反行為について、私は相当に寛大である。もっとも、夜中に近所でバリバリ、バババンバババンやられて「うるせーぞ! タンクに砂糖ぶちこまれてーか!」とエンジンのメンテナンスについてやさしく諭(さと)してあげたことはあるが、それでも警察に通報したりはしなかった。

交通事故や自動車事故というのは、何かが道を移動している限り起こるし、車が存在する限りなくならない。人と人がぶつかって死亡することもあるし、駐車場内で轢死(れきし。ひかれて死ぬこと)する人もいるのだから。

「ルールは守るべきである」これは正しい。
しかし「ルールを破ったら悪である」は正しくない。
将棋に「二歩(にふ)」というルールがある。これは、同一列に歩を二枚置いてはならない、というルールだ。
二歩をすれば即負けである。
では、二歩をしたら「悪」なのかというとそうではない。負けではあるが悪ではないのだ。
ルール、決まり事、法には、こういう面もあることを理解した上で、他人の処罰について受けとめることが必要だろうと私は確信している。

無免許運転が悪なのかどうかについては、それぞれに意見があるだろう。
だが私には、無免許運転も、不法就労も、密入国も、法律違反であるのだから厳格に処罰すべきだとは思うが、それほど「悪」だとは思えないのだ。これに比べたら、役人の天下りの方がよっぽど「悪」であると私は思う。法律には違反していないのかもしれないが──

金井選手には、自動車メーカーを親会社に持つ横浜F・マリノスというチームの所属選手としての罰は与えられるかもしれないが、それ以外は法律の範囲での罰則を一個人として受けるだけで十分だろうと思う。これによって彼からサッカーが奪われてしまうようなことにはなって欲しくない。

と、かように、わたくしは、個人的に、思っているわけで、あります。

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