気象庁のデータを見ると、11月の前半までは、そう寒くないみたいだ。
晴れていれば、最高気温20℃前後、最低気温13℃前後。
曇っていれば、最高気温13℃前後、最低気温8℃前後。
(註)日本気象協会「tenki.jp」を参考にした私見です。
しかし忘れてはならないことがある。それは──風。
赤城おろしとも呼ばれる、強い強い北風だ。
風のせいで実力が発揮できないなんてことになったら、選手たちはもちろんのこと、観戦に行くであろう俺もがっかりしょぼーんになる。
関係者各位には、防寒と風対策だけは、後悔のない準備をしておいて欲しい。
防寒については、当日の服装とホッカイロでいいと思うのだが、問題は風の方だ。こればっかりは、当日に対策というわけにもいかない。前もっての練習がカギになる。
要するに風への対策とはなんぞやと聞かれれば、それは「空中でのイレギュラー」対策だと俺は答える。
コンディションの悪いグラウンドで、転がるボールがイレギュラーするように、コンディションの悪い空中でもボールはイレギュラーするのだ。
対応策は、どちらも同じ考え方でいい。
ではどうするかといえば、
ボールを受ける時は、
(1)ボールのコース上に体の正面を入れること。
(2)いつもよりひざを曲げて、とっさの可動範囲を広げること。
(3)ボールへも、仲間へも、相手へも、「いつ突然変化するかもしれない」と用心しておくこと。
ボールを蹴る時は、
(4)グラウンダーを蹴るときは、ボールに順回転をかけること。
(5)浮かすボールには、意図的にカーブをかけるつもりで。
(6)シュートは風に乗せるように。
(1)(2)(3)のための良い練習方法として俺が紹介したいのは、4人一組になっての胸トラップ練習だ。
・2人ずつ組んで、10~20メートル程度離れて向かい合う。
こんな感じで(iは人、矢印は向き)
i→i→_______。←i←i
・一方が、向かい合っている相手に向かって、手を使ってロビングボールを蹴る。
・蹴られた瞬間に、ボールを受ける側の前に並んでいる方が、後ろにいる奴のまわりをぐるりと一周する。
・回ってから、飛んできたロビングボールを胸トラップ。
・トラップしたボールを、後ろの奴、つまり今ぐるりと回ったポスト役の奴、にパスする。ソールを使った転がしパスじゃなくて、ちゃんとゴロを蹴ること。
・ボールを受けた奴が今度は前に出て、さっきロビングボールを蹴った側、つまり向かい側の連中、に蹴る。
これを繰り返す。
距離を伸ばしたり、ボールの質を変えたりして、状況に変化をつけるも良し。
胸トラは、コースの正面に入る練習。
ぐるりと回るのは、擬似的なとっさの動きの練習。
後ろの奴へ渡すパスをちゃんと蹴らせるのは、胸トラからのターンの練習。
ロビングボールを蹴るときは(6)の練習も意識して、ボールの軌道が描く「弧(こ)」をイメージさせる。
(4)については、その理由を説明してあげること。
グラウンダーでふつうに蹴ると、無回転か逆回転でボールは進み始めて、ある地点で地面の抵抗の影響に負け、回転の向きが変わって順回転となる。この順回転になる直前の一瞬回転が変化するときに、風の影響を受けやすい。強風のときに、パスしたボールの勢いが急になくなったりするのはこういう理由から。また、逆回転や無回転というのは、もともと風の影響を受けやすいということもある。
風の影響を受けないで、仲間までピシッとパスを届かせるためには、蹴った瞬間から順回転(ボールの進む方向へ、上から下へグルグルする回転。でんぐり返り回転。下り坂を転がるような回転)のボールじゃなきゃだめ。
ボールのどこを、どういう風に蹴ればいいのかを、各自に練習させる。これはひとりでも壁相手にできる。
(5)については、風の強い日に浮き球はどうせまっすぐには飛ばないんだっていう前提でパスイメージを組み立てるんだ、という意識付けをしてあげる。
風の強い日に、風下から風上に向かって、「いつも通りに」浮き球で縦にクリアしたら、ピンチがピンチを生んでしまう。これって、わかっているようで、実際試合になると、子供たちはやってしまいがち。どうしてかというと、そうじゃないクリアの練習をしてないから。
風の強い日用に、横に出すクリアの練習もしておく方がいい。
ゴールキックも、確実にサイドラインへ出す蹴り方(もちろん真横とかはナシ。確実にサイドに出せる最大限の飛距離を蹴る練習ということ)を、自信が持てるくらいに復習練習しておくべきだ。
クリアミス、トラップミス、飛距離予測ミス、ゴールキックミス、そういうミスで試合が決定してしまうようなことにはなって欲しくないが、往々にしてサッカーとはそういう類(たぐい)のことで勝敗の決まってしまうことが多いスポーツである(こういう競技は、他にはあまりない。1点の重要さに対して、ゴールが大きいということの影響だろう)。
では、試合当日がおだやかな天候であることを心より祈って。
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