知っている人は知っているのだろうが、私はずっと知らなくて今回初めて知った。
驚いたのは、北本の「北」にも「本」にも、それ自体に意味があるわけではなかったことだ。
それはまるで、東京都西部にある西東京市が何十年後かに、西東市となったようなものだったのだ。
北本という名称は、遠く遡(さかのぼ)ればそこが「本宿」という名の宿場村だったことに由来する。
この本宿というのも、鴻巣宿が現在の位置へ移転したことによる「元々の鴻巣宿があった場所」という意味で、移転前の位置を「本鴻巣」と呼ぶようになったことに由来している(らしい)。
(だから、「もと鴻巣宿があった場所」という意味であって、「元(本)鴻巣宿」という宿場が残ったとか存在したとかというわけではない)
したがってこの「本宿」という名称そのものはちっとも珍しいものではなく、何かの理由で何かが移転すると、その元あったとことに「本(元)」という字と、旧い地名やあったものの名称が残存するのだ。
その例のもれず、現在の埼玉県南部にあたる地域にも「本宿」があった(現在は、埼京線南与野駅近くの南元宿)。
ここと区別するために、北の本宿ということで「北本宿」となった。
つまり、北本+宿場で北本宿なのではなく、北+本宿で北本宿だったのだ。
そして宿場に由来した各地の地名から、時代と共に「宿」の字が消えたように、北本宿からも「宿」の字が消え、「北本」となったのだ。
しかしこれは、東の京都であった東京都が、いつしか東京となったようなもので、日本の地名史から見ればごく普通の変遷である。
知ってみれば「なあんだ」という話なのだが、知らなかった私にとっては「おお、なるほどね」という話だった。
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