2007年10月1日
西日本新聞『医療健康』
特集記事
最近ひどい鼻水 … 風邪? アレルギー? 「秋の花粉症」を疑え
[キーワード]耳鼻咽喉科
[更新日時]2007年10月01日
■身近な雑草注意 室内塵で悪化も
今や日本人の約6人に1人といわれる花粉症。春先のスギ、ヒノキのイメージが強いが、秋にも花粉症はある。空き地などに繁殖する雑草が引き起こし、春の花粉症に比べれば症状は軽いが、風邪と思い込んで長引かせている人も多いという。秋はダニなどハウスダスト(室内塵(じん))によるアレルギーも増える季節で、この時期の鼻水やくしゃみは原因を正しく見極めることが大切なようだ。 (東憲昭)
■やぶに近寄ると
「仕事に差し障るほどではないが、鼻水が出続ける」
福岡県前原市の田中耳鼻咽喉(いんこう)科クリニックでは8月下旬から、こんな症状を訴える患者が1日に1人、2人と訪れている。検査するとヨモギによる花粉症と分かった。「田んぼのあぜ道に生えているので、犬の散歩でそばを通るだけでもかかる人はかかる」と田中資介(もとすけ)院長(49)は話す。
秋の花粉症を起こすのは、ほかにもブタクサやセイタカアワダチソウといったキク科の植物、クワ科のカナムグラ、イラクサ科などが代表的。
道端や空き地にも普通に生えている植物で、九州全域で見られるが、国立病院機構福岡病院アレルギー科の岸川禮子医長によると「イラクサ科のカラムシは長崎、宮崎県の丘陵地に多い」などの特徴もある。
これらの草は九州では9-11月に開花期を迎える。この時期に花粉を吸い込むと「くしゃみ、水っぽい鼻水、鼻づまり、目のかゆみ」などの症状が起きる。九州各県は毎春、地元医師会などと連携して花粉飛散情報を住民に提供しているが、秋に同様の情報提供をしている県はない。
幸いなのは、秋の花粉症の原因植物は高さがせいぜい2メートルしかなく、上空の強い風に乗って数キロ先まで花粉を飛ばすスギやヒノキとは異なり、花粉は数十メートルしか飛散しないこと。「原因となる植物に近寄らないだけでも十分予防できる」(岸川医長)というのも特徴の1つだ。
■見分け方は簡単
季節の変わり目と重なることもあり、秋の花粉症を鼻風邪と勘違いしている人も多い。だが「鼻水の特徴や症状の表れ方に注意すれば、風邪と見分けることは難しくない」と、鹿児島大学病院の黒野祐一教授(耳鼻咽喉科)は指摘する=イラスト参照。
花粉症と分かったら、専門医の診断を受け、原因植物を特定することが撃退の早道だ。中規模以上の病院では、アレルギー反応の元となる花粉エキスを使った皮膚テストや血液検査を1万円程度で受けられる。検査自体も簡単で30分ほどで終わる。
飛散花粉が少ない秋は、春の花粉症と比べて症状は軽いとされるが、放置すれば副鼻腔(びくう)炎を併発するなど、慢性化を招く危険性もある。
黒野教授も「ブタクサなどでは花粉の粒子が小さく、気管に入ってぜんそくを引き起こすケースもあるので油断は禁物」と念を押す。
■子どもでも発症
ほかにも、秋の花粉症には注意点がある。
第一に、春の花粉症は30-40代が多く発症するが、秋の花粉症は草原や土手で遊んでいるうちに子どもでも発症する。岸川医長は「子どもの外出を過剰に制限する必要はないが、家に引きこもる子どもが秋の花粉症が原因だったというケースもある」と話す。
また、秋は夏に繁殖したダニの死骸(しがい)や排せつ物が家の中にたまる時期とも重なる。花粉症の人の多くは、ハウスダストにもアレルギー反応を起こすと言われており、症状が悪化し、長期化する場合がある。
さらに、1970年代から九州各地のスギ花粉を調べている福岡病院によると、スギは10月から11月にかけて雄花の花芽内に花粉を作るが、今年のように直前の夏が「高温・乾燥・十分な日照」の条件を満たすと花芽の生育が促進され、通常は年明けから飛び始めるスギ花粉の一部が11月下旬ごろにも舞い始める恐れがあるという。
岸川医長は「今夏はスギ花粉の生育に好条件がそろっていた。敏感な人は秋のうちから花粉症を警戒した方がいい」と、呼び掛けている。
特集記事
最近ひどい鼻水 … 風邪? アレルギー? 「秋の花粉症」を疑え
[キーワード]耳鼻咽喉科
[更新日時]2007年10月01日
■身近な雑草注意 室内塵で悪化も
今や日本人の約6人に1人といわれる花粉症。春先のスギ、ヒノキのイメージが強いが、秋にも花粉症はある。空き地などに繁殖する雑草が引き起こし、春の花粉症に比べれば症状は軽いが、風邪と思い込んで長引かせている人も多いという。秋はダニなどハウスダスト(室内塵(じん))によるアレルギーも増える季節で、この時期の鼻水やくしゃみは原因を正しく見極めることが大切なようだ。 (東憲昭)
■やぶに近寄ると
「仕事に差し障るほどではないが、鼻水が出続ける」
福岡県前原市の田中耳鼻咽喉(いんこう)科クリニックでは8月下旬から、こんな症状を訴える患者が1日に1人、2人と訪れている。検査するとヨモギによる花粉症と分かった。「田んぼのあぜ道に生えているので、犬の散歩でそばを通るだけでもかかる人はかかる」と田中資介(もとすけ)院長(49)は話す。
秋の花粉症を起こすのは、ほかにもブタクサやセイタカアワダチソウといったキク科の植物、クワ科のカナムグラ、イラクサ科などが代表的。
道端や空き地にも普通に生えている植物で、九州全域で見られるが、国立病院機構福岡病院アレルギー科の岸川禮子医長によると「イラクサ科のカラムシは長崎、宮崎県の丘陵地に多い」などの特徴もある。
これらの草は九州では9-11月に開花期を迎える。この時期に花粉を吸い込むと「くしゃみ、水っぽい鼻水、鼻づまり、目のかゆみ」などの症状が起きる。九州各県は毎春、地元医師会などと連携して花粉飛散情報を住民に提供しているが、秋に同様の情報提供をしている県はない。
幸いなのは、秋の花粉症の原因植物は高さがせいぜい2メートルしかなく、上空の強い風に乗って数キロ先まで花粉を飛ばすスギやヒノキとは異なり、花粉は数十メートルしか飛散しないこと。「原因となる植物に近寄らないだけでも十分予防できる」(岸川医長)というのも特徴の1つだ。
■見分け方は簡単
季節の変わり目と重なることもあり、秋の花粉症を鼻風邪と勘違いしている人も多い。だが「鼻水の特徴や症状の表れ方に注意すれば、風邪と見分けることは難しくない」と、鹿児島大学病院の黒野祐一教授(耳鼻咽喉科)は指摘する=イラスト参照。
花粉症と分かったら、専門医の診断を受け、原因植物を特定することが撃退の早道だ。中規模以上の病院では、アレルギー反応の元となる花粉エキスを使った皮膚テストや血液検査を1万円程度で受けられる。検査自体も簡単で30分ほどで終わる。
飛散花粉が少ない秋は、春の花粉症と比べて症状は軽いとされるが、放置すれば副鼻腔(びくう)炎を併発するなど、慢性化を招く危険性もある。
黒野教授も「ブタクサなどでは花粉の粒子が小さく、気管に入ってぜんそくを引き起こすケースもあるので油断は禁物」と念を押す。
■子どもでも発症
ほかにも、秋の花粉症には注意点がある。
第一に、春の花粉症は30-40代が多く発症するが、秋の花粉症は草原や土手で遊んでいるうちに子どもでも発症する。岸川医長は「子どもの外出を過剰に制限する必要はないが、家に引きこもる子どもが秋の花粉症が原因だったというケースもある」と話す。
また、秋は夏に繁殖したダニの死骸(しがい)や排せつ物が家の中にたまる時期とも重なる。花粉症の人の多くは、ハウスダストにもアレルギー反応を起こすと言われており、症状が悪化し、長期化する場合がある。
さらに、1970年代から九州各地のスギ花粉を調べている福岡病院によると、スギは10月から11月にかけて雄花の花芽内に花粉を作るが、今年のように直前の夏が「高温・乾燥・十分な日照」の条件を満たすと花芽の生育が促進され、通常は年明けから飛び始めるスギ花粉の一部が11月下旬ごろにも舞い始める恐れがあるという。
岸川医長は「今夏はスギ花粉の生育に好条件がそろっていた。敏感な人は秋のうちから花粉症を警戒した方がいい」と、呼び掛けている。
【写真説明1】主な花粉症の「花粉カレンダー」
【写真説明2】花粉症と風邪の違い
やばい。花粉症のような気がする。
特に「食欲あり」ってとこが。
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