2010年8月5日木曜日

難しく考えない技術

「難しい」ってのはどういうことかっていうと、要するに「答えが出ない」ってことだ。
「答え」ってのは何かっていうと、「結論・結果」ってことだ。
テストの問題でも、外科手術でも、「難しい」のは、答えや結果がわからないってことを指している。

前にも書いているが、「未来は絶対にわからない」。
なぜかというと、時間は継続しているものではなくて、一瞬一瞬生まれては消えていくものだからだ。
川の流れのように、上流から下流へとつながっていると考えるのは宗教的な考えであって、実際には過去があって未来があって、その中間に現在があるわけではない。
存在するのは現在だけであって、現実には過去も未来も存在しない。
仮に(どういう理屈かは置いておいて)タイムマシンが発明されたとしても、それに乗って移動した「過去」や「未来」というのは、現実には「過去」や「未来」ではなく、「現在」だ。
理解できるだろうか?

難しく考えないで欲しい。
単純に、自分が今いるここは「現在」でしかあり得ない、ということを言っているだけのことなのだから。

だから──自分は現在にしか存在できないんだから──過去や未来のことを思い悩んでも意味がない。
存在しない対象を推測、推理、想像して、答えを導き出そうとしても、答えなんて出るわけがないんだから、そりゃあさぞ難しいだろう。
そんなことに労力を費やして、かえってストレスをため込むくらいなら、存在している唯一の現実である「現在」のことを考えた方がまだましだ。
俺なんか、もはや現在のことさえ考えなくなってきてる。

もし過去に思いを馳せて、何か後悔の念を抱いたとしても、どうすることもできない。
また未来のことを思い悩んで、その未来を恐れたとしても、どうすることもできない。
同窓会の昔話で、共通の思い出が実はまったく共通じゃなかったという経験は誰もがしている。
天気予報だって、明日の自分の体重だって、正確な予測なんて出来ない。
なら考えたって仕方ないじゃん。

頭の中から、考えたって仕方のないことを追い出して、考えても意味のあることだけを考える。
他人のことを考えたってしかたない。他人を自分の思い通りにすることなんてできないんだから。
ガンになるかどうかなんて考えたって仕方ない。ガンは何十種類もあるんだから。
事故も病気もみんな同じ。

あいつに悪いことしたなあ、ひどいことしたなあ、なんて考えても仕方ない。
もうどうすることもできないし、相手がどう思ってるかわからないし、さらに言えば、自分が忘れてるだけで、もっと誰かから恨まれてるようなことがあるかもしれない。そっちのことはどうすんの? どうにもできないんだから、考えたって仕方ないじゃん。

将来が不安?
そりゃあさあ、「不安」って考えるから「不安」になって来てるだけのことであって、実際の将来がどうなるのかなんてこととはまったく関係がない。そのことをちゃんとわかった上で、勝手に「将来が不安だ」って悩むのは良いけど、そうじゃないなら、そんなこと考えるのはやめなってこと。言い換えれば「損なこと考えるのはやめな」。

どんなに頭が良い人であっても、基本的に人間はそんなに頭が良くない生き物だ。
脳の構造というか、機能が、頭良くできてないんだから仕方ない。
データを忘れてみたり、一部しか記憶できなかったり、並列処理ができなかったり、衝撃や熱に弱かったり、再生できなかったり、リンクできなかったり、データの移動やコピーができなかったりする。
こんな情報処理装置なんて、ふつうなら使い物にならないとこだけど、他のに交換できないから仕方なく使ってる。

性能の低いこのバカな脳みそを快適に使おうと思ったら、一度に処理する作業の分量を、できるだけ小さく、そして単純化した方がいい。
そのためには、答えのわからないこと、自分にはどうすることもできないこと、この手の「考えても意味のないこと」ははなっから考えないようにすること。これが世の中を難しく考えないですむコツだ。

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