2010年8月25日水曜日

足下トラップの上手下手は、体幹重心により決まる。

トラップの苦手な子がいる。
みんなと同じ練習をしているのに、なかなかうまくできるようにならない。
なぜそうなるのかというと答えは簡単で、それは、自分に合った練習をしていないから、ただこれだけのことなのだ。
でも、それを知っている大人も、子供も多くはない。

がんばりが足りない。がんばればできるようになる。他の子はできているじゃないか。もっとがんばれ。もっとがんばろう。

これじゃあいつまでたってもうまくはならない。いや、いつかはそれなりに上達するだろうが、そうとうに効率が悪い。その子にあった練習をすること、自分にあった練習をすること、これが効率よく上達するもっとも効率の良い方法である。

その一例が、冒頭にあげた

トラップの苦手な子

の場合だ。

トラップの苦手な子というのは十中八九、というかほぼ100パーセント、スピード(走力)のある子である。
どうしてそんなことがわかるのかというと、それは体幹重心の分類上、そうなるからだ。

爪先(つまさき)重心とか踵(かかと)重心とかいう話を聞いたことはないだろうか(ゴルフをやる人なら耳にしたことがあるかもしれない)。


簡単に言えば、直立二足歩行をする人類には、体の重心が中央よりも爪先側(つまり前方)に寄っているタイプと、踵側(つまり後方)に寄っているタイプがあるということだ。


もっと細かくいうと、これに内側寄り(親指側)と外側寄り(小指側)が加わって、計4タイプになるのだが、とりあえずトラップ限定ってことで、つま先とかかとに絞って話を進める。



自分がどっちのタイプなのか調べるのはものすごく簡単だ。

階段でも玄関でも歩道の縁でもどこでもいいので、段差のある場所を見つけて欲しい。そこで、つま先だけで(つまりかかとを浮かせて)直立できるか、あるいは逆に踵だけで(つまり爪先を浮かせて)直立できるか、試して欲しい。必ず、どちらかがバランスを取りやすく、もう一方はバランスを取りにくいはずだ。そしてそのやりやすい方が、自分のタイプなのだ。


話を元に戻せば、瞬発力があってスピードのある子は、当たり前だが爪先側で地面を蹴る感覚に優れている。つまり爪先重心だ。

ところがこの特性は、「受けの技術」「待ちの技術」であるトラップという技術に関しては不利に働くのだ。

実際、トラップの名手とされる選手の多くは、小野伸二にしても中村俊輔にしても、レベルは違うがシャビやイニエスタにしても、踵重心タイプである。

こうしたトラップの名手たちは、ビュンと飛んできたボールを、スペースのない状況であっても、足下にピタリと止めてしまう。

ちなみにリフティングが上手な人も、踵重心である。動かないでバランスをとることが心地よいからだ。

一方で爪先重心タイプはリフティングが大の苦手である。どうしても重心を前へ前へと移動させるように体が反応してしまう。
同じ理由で、トラップも苦手なのだ。特に、止まった状態でのトラップが楽しくない。心地よくないのだ。どうにもバランスがピタリとせず、不安定なトラップになってしまう。


だがそれも仕方ないことなのだ。そういうタイプなのだから。


では爪先重心タイプの有名選手はトラップをどうしていたのだろうか?

レジェンドクラスとしては、クライフやロマーリオ、ロナウド、あたりがこのタイプの代表格だ。現役では、ロッベン、ドログバ、スアレス、フォルラン、トーレス、などが頭にうかぶ。


彼らのトラップの特徴は、「止まって止めない」ということにつきる。


「止まるとバランスが崩れるんなら止まらなきゃいいじゃん」まるでこう考えているかのように、彼らはトラップという技術を変化させ、「受けの技術」ではなく「攻めの技術」にしてしまった。彼らにとってトラップは弱点ではなく、自分を優位にするための武器になったのだ。

これはまったくの想像だが、彼らはリフティングがそれほど得意ではないような気もする。彼らがリフティングのトリックを披露している映像なんて見たことないし。


マラドーナみたいなスーパー・レジェンドになればこんな「タイプ分け」なんて超越した世界に存在してるから、こんな話はあてはまらないんだけど、一般的な人類の世界では、人間工学的にこういう話になっている。

だからもし、トラップやリフティングが上手にならないなあなんて悩んでいる子が、もし爪先重心タイプだったとしたら、それを自分の特性だと捉(とら)えて、自分の特徴・長所にできるような練習を工夫する方がはるかに効率的にスキルアップできるってことを、頭の片隅に置いておいてあげて欲しい。


踵重心タイプが速く走れるようにならないのと同じように、爪先重心タイプは足下にピタッと決まるトラップなんてのはできるようにならないんだっていう前提で、自分のプレースタイルを築(きず)き上げていって欲しい。









参考までに、トラップの練習に応用できそうな、他の競技での技術について紹介する。








【野球のバント】

●ボールの力に負けないようにバットは強く握る。
●ボールが当たる瞬間にバットを押したり引いたりしない。
●ボールの高低に対して腕でコントロールしない。やわらかく保った膝で調節する。腕や手を使うとフライにになりやすい。

「バントをする前に考えること」

まずは状況判断。

「守備力と守備位置を判断すること」がポイント。
ピッチャーのフィールディング、三塁手の前進具合などなど、よく見ておく。そして、走者、そして自分が一番セーフになりやすいのはどこにバントする時か、というのを打席に入る前に考えておくこと。

次に、転がすポイントをイメージする。

同じバントでも「走者を送るだけのバント」と「自分も生きるバント」では転がすポイントが変わってくる。
きわどい所に転がさなくてはならないのか、それとも、三塁手が捕ればそれだけでよいのか。状況判断と合わせて、転がすポイントを考えなければならない。






【テニスのボレー】

ボレーを失敗するのは、目がボールから離れているためである。とくに、サーブ・アンド・ボレーやバック・ボレーは、目がボールから離れてしまいがち。

打ち遅れてしまう原因は、ラケットをストロークのように引いてしまう事にある。

ボレーにバックスイングはいらない。

ボールが来たら腕を前に出して面を作ってしまい、ラケットを振るのではなく体ごとボールを打ち込む。
スイング癖がついてしまった人は、繰り返しシャドースイングを繰り返すことで矯正する。

●ラケットは引かない。

ボレーで陥(おちい)りやすいミスは、ストロークと同じ感覚でラケットを引いてしまうということにあります。ボレーのときのラケットをセットする位置は顔よりも前(相手方向。顔の横という意味ではない)にすること。極端なことをいえば、ボールが飛んでくるのをラケットのガット越しに見るようなイメ-ジで。ラケットを引きすぎると、速いボールに対してラケットのセットが間に合わなくなります。そして、ラケットを引くということは、ラケットを振ってボールを打つことになります。そうすると、コントロールをしにくくなりますのでラケットは前と覚えておきましょう。

●体の前に壁を作ろう。

ボレーを上達させるための意識は、相手に壁打ちをさせてる気分を味わせるということにあります。壁が相手なら絶対に勝てるわけないですよね。体の前に素早くセットして、そこにラケットの壁を作ってあげます。あとは、ボールの勢いに負けないように当たる瞬間にグリップをぎゅっと握ってあげればOKです。壁は自分よりも前方に作ってくださいね。後ろだと力が入れにくいので。

●ボールの高さにセット。

ラケットセットの位置は、ボールと同じ高さ(実際にはボールの高さのホンの少し上ですが…。)になります。毎回同じ高さにラケットをセットする人を見かけますが、高い球だと下から上に振り上げる打ち方に、低い球だと上から下に振り下ろす打ち方になってしまいます。そうすると、結局相手の力を回転に変えてしまうことになり、コントロール性が落ちたり、切れの悪いボレーしか打てないことになります。高い球ならその高い位置のほんの少し上にラケットをセットし、逆に低い球ならひざを落としてラケット全体を低い位置にセットし、ボールをキャッチしてあげます。

●決めるときは踏み込みで。

特にチャンスボールがあがったときには、どうしても緊張して腕に力が入るものです。ボレーは、腕を振ってボールのスピードを上げようとするとミスが増えてしまいます。浮いたチャンスボールには自分がしっかりと前に詰めていく力と、ボールがラケットに当たる瞬間の握力と踏み込みの力で威力をつけます。握力をいれるタイミングと、踏み込みのタイミングは同時がいいでしょう。ラケットは決して後ろにひいてはいけません。ラケットは前から前が基本です。

●ボールをラケットで迎えにいって、できるだけ前の打点でとる。

インパクトと同時に出す左足がポイントですが、踏み込んだ際左足を沈めるのです。左足だけしゃがみ込むようにです! するとラケットも一緒沈むのでそこでボールの勢いが減少するのです。ボールの勢いは左足とともに下に落ちていくのです。まさに「ドロップボレー」ですね!なのでボレーは手で打つのではなく、体全体を使って打つものなのでこの事を是非試合なので実践してみてください!


【参考 別の判別方法】

◆爪先重心か踵重心か

(A)両手をチンコの横に置き、体の前側を、太もも→ひざ→すね、の順になぞりながら前屈していく。
(B)両手を尻の上に置き、体の後ろ側を、もも裏→ひざ裏→ふくらはぎ、の順になぞりながら前屈していく(ちなみに、もしここでエビぞってしまったなら、あなたはダマされやすい人なので、別の意味で注意が必要です)。 

(A)の方が楽でよく曲がったよ。→そんなあなたは爪先重心タイプ。
(B)の方が楽でよく曲がったよ。→そんなあなたは踵重心タイプ。


◆内側重心か外側重心か

(a)両肩を後ろから前へ(つまりバタフライ泳法みたいに)回す。
(b)両肩を前から後ろへ(つまり深呼吸するときみたいに)回す。

鏡や誰かの協力を得て、どちらの方が、左右の形も、回転速度も、バランスよくなめらかに回せているかを見る。
(a)の方がきれいに回転しているね。→そんなあなたは内側重心タイプ。
(b)の方がきれいに回転しているね。→そんなあなたは外側重心タイプ。









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