2010年11月21日日曜日

クラブユース選手権U12─観戦メモ─

クラブユース選手権U12─観戦メモ─

朝日新聞『埼玉少年少女スポーツ』杯
第9回 埼玉県クラブユースサッカー選手権 U-12大会

決勝トーナメント 準決勝、3位決定、決勝 観戦メモ

2010年 平成22年 11月20日(土)

鴻巣市上谷総合公園サッカー場
(南北に細長い公園で、サッカー場はその南端にある。公園の正面入口の駐車場を利用すると、延々歩くことになるので注意。サッカー場横の駐車場が吉)

天候 日ざしの暖かな快晴 時折冷たい北風が少々。

ピッチ まだまだ新しい人工芝。若干すべるかも。

試合形式 フルサイズピッチ&フルサイズゴール&4号球 20分ハーフ




準決勝戦
第1試合 0900
プログレッソ(エンジ) × NEOS(青)
前半の途中から観戦。後半の得点は、0-3でNEOS優勢。
NEOSは10番のワタル君が、小柄ながらよくがんばってた。
プログレッソは、パスをもらおうという動きも、味方をフォローしようという動きもなかった。前半からもうすでに足が止まっていた。
1対1で劣勢なマッチアップがいくつかあったのに、いつまでも個でしか応対させないのはどうなのよ。抜かれてから穴をふさぎに修正するんじゃなくて、抜かれる前に動いていれば、それは修正じゃなくて「罠(わな)」になるんだけどなあ。運動量は同じでも、効果はまるで違ってくるのに。後追いばかりじゃあ、疲れるし、面白くもないだろうと思うんだけど。
あと、プログレッソは、GKとDFがバラバラになっているように見えた。サッカーはチーム競技なんだから、連携・効率をよくして、確率・精度を高めれば、もっと面白くなると思うのだがなあ。

第2試合 0950
レジスタ(青) × プレジール(緑白)
4-0でレジスタの勝利(前半3-0、後半1-0。前半2点目はPK)。
レジスタの選手は、サッカーの基本をちゃんと身につけているように見えて、楽しそうだった。

【レジスタの選手たちに見たサッカーの基本例】
「パスとはボールを味方に渡すこと(意味)」「邪魔がきたらパス。パスしたらフォロー(判断)」「横の次は縦。縦の次は横(組立)」「つぶれ役とごっつあん役(連携)」

フルサイズピッチの両サイドライン際ギリギリまで開いた、左9番(サウスポー)と右8番(スピードスター)を使った展開は、見ていて非常に楽しかった(個人的には、サッカーの最もドラマチックな攻撃形だろうと確信している)。
二人からは「俺は中へは逃げない。絶対に縦へ突破してやる」っていうハートが伝わってきて、サイドへボールが渡るとこっちも期待でワクワクした。右サイドの8番からビシビシ発せられていた負けん気オーラなんて、日本代表の長友みたいですごくよかった。まさに静かな闘志。サムライ参上って感じでGOODっす。

ところでレジスタのユニフォームデザインはフランス代表風だけど、チーム名のレジスタってのも、フランスのレジスタンス運動から来てるのだろうか? まさか電気抵抗のレジスタンスからってことなないと思うが……。

3位決定戦
1100
プログレッソ(エンジ) × プレジール(緑白)
2-2でPK戦(前半1-1、後半1-1。ともにプレジが先制し、プログレが追いつく展開)。
PK戦はプレジが先攻。3-4でプレジールが3位。
プレジ ○○×○×○
プログ ○○××○×

特になし。
決勝戦
1200
レジスタ(青) × NEOS(白)
5-0でレジスタの優勝。おめでとう(前半1-0、後半4-0)。
NEOSは攻撃面でほとんど何もできなかった。
レジスタの方も、9番をサイドに張らせることをやめ、長身20番との2トップのような布陣にした(サイド突破が消えた。つまらん)。
NEOSも全体的に引き気味に守ったため、レジスタの攻撃は渋滞し、あまりおとりの動きが得意ではない上に、責任感の強い20番がボールを受けようと“純朴に”右サイドへ流れると、マークしているDFも一緒に連れ行くこととなって、結果、右サイドの快足8番が使いたいスペースをつぶしてしまったようなことが数回あった。
レジスタも消化不良。前半、19分の相手GKのキャッチミスしか得点がなかった理由の典型的な事例だ。
両サイドの選手に足を使わせないようにした、NEOSの作戦が功を奏したということだろう。それだけに、GKの技術的な問題は、見ていて頭をかかえたくなるくらいのものだった。

レジスタの長身CF20番君のリーダーシップはすばらしい。彼の元にチームがひとつになっている。他の選手も、彼がしっかりまとめてくれていることで、自信と自由を手にできているように見えた。ただ悲しいかな、20番君にはボール扱い、スピード、背後を見る感覚、そういった方面への特性が乏しい。これは「背中に目がある」必要のあるセンターフォワードとしては致命的な欠陥だ。でもがっかりすることはない。彼は前方への視野の広さと、ちょっとやそっとのチャージではぐらつかない、びしっと背骨に芯が通ったような、プレー時の姿勢のすばらしさ、「絵になる立ち姿」がある。体幹がしっかりしているのだろうと思う。リーダーシップや身長とともに、これらはセンターバックに求められるとても重要な要素たちだ。20番君は、センターフォワードとしては凡庸な選手にしかなれないと思われるが、センターバックとしてなら中澤佑二に優らずとも劣らない可能性を秘めていると私には思えた。今後彼がどんな道を歩んでいくのかが楽しみだ。



【総評】
ゴールキーパーのレベルが総じて疑問符だった。GKのレベルは、明らかに先日観戦した少年団大会中央大会に出場していたほとんどのチームの方が高いだろう。今日の試合でも、得点シーンでは必ずといっていいほどGKの初歩的なミスがきっかけとなっていた。うかつにゴールから離れてみたり、ゴール前へはじいてみたり、混戦の中でぽろぽろ落としてみたり、ゴールラインすぐそばでハンブルしてみたり……頭が頭痛で痛くなるようなミスばかりだった。クラブチームの指導者たちは、フィールドプレーヤーだけがサッカー選手だとでも思っているのだろうか?
もし子供たちにゴールキーパーの重要さ、またその楽しさやワクワク感を伝えられていないとしたら、サッカーの指導、サッカー選手の育成という面では明らかに失敗している。
ゴールキーパーは特別な存在なのだ。ゴールキーパーはフィールドプレーヤー10人よりも重要なポジションなのだということ、それこそがサッカーという競技の特徴を示している。
単純明快に言えば、フィールドプレーヤーはGKを補佐するために存在している。間違っても、得点を奪うために存在しているなどと思っては行けない。現代サッカー試験があったら、それはゼロ点の解答だ。
いや違う、サッカーは得点を奪い合う競技であって、選手は得点を奪うために存在しているのだ、と思っている人は、もしそうであるならGKもDFもMFもいらないはずだということに気づいて欲しい。つまり、得点を奪い合う競技であるなら、自陣ゴールを“守る”必要などないのだから。つまりそれは、ダーツみたいなもので、互いにゴールの数を競い合う競技ということになる。ダーツで、ボードを守ったりしたら滑稽(こっけい)ではないか。だから、もしサッカーがそんな競技だったら、GKもDFもMFもおかないで、全員FWで攻撃だけしれいればいいことになる。でも、それはサッカーだろうか?
サッカーとは守攻一体の競技である。ちょっとした合間の遊びサッカーの時でも、守りが適当だと、攻撃してても面白くない理由は、楽しい攻撃のためには楽しい守備が必要なのだということにつきる。
そして守備とは、攻撃の起点を作ることでもある。いやサッカーにおいては、すべてが守備であり、それはすなわち攻撃そのものであり、その要(かなめ)がゴールキーパーなのだ。

これは想像だが、クラブチームの収入源はサッカースクールが主であって、わざわざ有料のスクールに通うような子、あるいはそのお父さんお母さんには、ゴールキーパーなんて眼中に入っていないと言うことなのかも知れない。「うちの子はゴールキーパーをやらせるために通わせているんじゃありません」と言われたら、スクールとしてはどうにもできないのではないだろうか。

そもそも遊びであるサッカーに「スクール(学校・塾)」が存在し、ビジネスとして成立していることが、ある意味で奇怪なのだ(ピアノやバレーと違って、サッカーのできない子供なんていないのだから)。その一方で、ろくな指導を受けられない環境にいた子が、スクールで適切な指導を受けたとたんにグングン伸びて、サッカーをより深く楽しめるようになって行くのを見ると、スクールが担っている役割、意義は非常に重要であるということも間違いない。実際、スクール育ちの子はサッカーをずっと続けてくれるケースが多いし。

放課後立ち入り禁止の校庭、ボール遊び禁止の公園、子供を狙った犯罪、子供同士のいじめ、裏道マップのせいで住宅地でも飛ばす車、ちょっとした空き地があればすぐアパートや建て売りにしてしまう大東建託やアイダ設計、こんな日本じゃあ、やっぱりスクールにがんばってもらうしかないのが現実なのかなあ。


準決勝でのレジスタのサイド攻撃はものすごく楽しかった!
あれを見られただけで、ものすごくお得な日になりました。
ありがとう!


おわり

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