2010年7月25日日曜日

昨日のJリーグ

NHKで放送していたマリノス・ガンバ戦を観戦した。
マリノスの最年少先発記録を更新したという小野祐二選手が注目されていた。
確かに悪い選手ではない。
足下のトラップがうまいあたりなんかは木村監督好みなのだろうと想像される選手だ。
木村監督は、足下にピタッと止められることがまず第一というサッカー観の持ち主で、足下はうまくないけどシュートはうまいっていう、例えばフェルナンド・トーレスみたいな選手はリスペクトしない。これは選手だった大昔っからそうだ。

ただテレビでこの1試合を見ただけの感想を言うと、この程度の選手なら、今のユース世代にも、また以前のユース世代にも、何人もいた。この小野選手がデビューできたのは、マリノスユースに所属していたこと、木村監督だったこと、ワールドカップがあったこと、暑い夏で体力の落ちている選手がいたこと、などが重なったからだろう。どうみても(今の)実力だけでは、いかに今のマリノスとはいえ、先発を張れるような選手ではないように見えた。タイプ的にも、髪型からイメージさせるような攻撃的で意外性のあるFW、という部類ではないようだ。どちらかというと、決勝点の場面でのアシストに見せたような、クレバーで技術志向で、だけどいざというときに責任を回避する中盤タイプが本質なのだろう。

ユース世代には人材が豊富だ。ただこの世代でJトップデビューをするには、J下部ユースに所属していなければならない。高校のサッカー部にいては、どんなに優れた選手であってもJを経験することはできないのだ。
こんな仕組みはさっさと改正してしまえばいい。
国籍でさえ二重登録が認められている国だってたくさんあるのだから、国内のユースを2種登録で一括してしまうのをやめて、Jユースを別登録、例えば英検の準1級みたいに準1種とかにしてしまって、一人の選手が2チームに所属できるようにすればいい。
これは各年代にも導入して欲しいシステムだと思う。
Jの下部への登録は別にする。こうすれば、Jクラブの負担もそうとう軽減できると思うし、2重登録となる各チームも、その選手を通じて高いレベルのサッカーに触れることができるし、他の選手たちも刺激を受けることができるし、指導者もネットワークを広げることが出来る。
とにかく現状のままでは、Jクラブの負担が大きすぎるし重すぎる。
その子(とその子のお父さんお母さん)のサッカー人生を背負い込まされてしまうような責任を持てるほど、現状のJクラブ下部組織は強くない。実態は非常に脆く、不安定であるのに、周囲からは「Jはずるい」とか「Jなんだから当たり前」とか「プロになれること決定」みたいなプレッシャーを浴びせられる。スタッフはたまったものではないだろうと思うが、しかしそれでも、サッカー、それもトップレベルのサッカーにたずさわる職業という魅力によってがんばっている。彼らはみんなサッカーが好きで、真摯な姿勢でサッカーと子供たちと向き合い、家族を犠牲にして歯を食いしばってがんばっている。スタッフは少ないし、カレンダー通りに休めないし、お子さんもまだ小さい、新婚、とあってはさぞ苦労も多いだろう。ホント、尊敬する。特に最近は選手たちの家族が妙に入れ込んでるケースが増えているので、さらにその対応も大変だと聞く。昔みたいに、「子供は子供。サッカーよりもちゃんっと勉強しろ」でまったく関心がないという親はもういない。親のバックアップがあるからこそ、子供たちのレベルがここまで向上したのは確かだが、一歩引いて、少年サッカー全体がみんな楽しく感動できるならそれで十分、わが子の将来がプロサッカー選手なのか、公務員なのか、大工の棟梁なのか、そんなことは今考える事じゃない。今このときしかない、息子たちが仲間とサッカーを楽しんでいる時間を、共有できる幸せに浸っていよう。こういう姿勢もいいんじゃないかなあなんて思う。

サッカーパパ&ママのあこがれ、小野祐二選手、宇佐美貴史選手、原口元気選手、山田直樹選手、にしても、中田英寿選手がJデビューしたときのスケール感はまったくありません。小倉隆史選手や上野良治選手たちに抱いた期待感もありません。つまりはこういうことなのです。今のユース世代は決してゴールデンエイジではないということなのです。前の世代とも、これからの世代とも、ほとんど変わらないレベルの選手たちがいる、日本のユース世代、というだけのこと。
これは日本の育成のやり方に問題があるとしか、私には思えない。
改革のひとつとして、J下部組織への登録分離を実現して欲しいと思う今日この頃です。

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