2010年6月15日火曜日

イージーミスの原因は難聴

今回の2010年南アフリカワールドカップでは、ゴールキーパーのキャッチミスを象徴とする、ボール軌道の予測誤差調整の失敗が多く見られている。
選手や報道では、その理由を新型のボール『ジャブラニ』の特性に負わせているようだが、私はそうではないと思っている。
そう思わざるをえないのは、別に『ジャブラニ』を使用したのはこのワールドカップが初めてではないからだ。
各国リーグとも、今シーズンに入ってから使用していて、そこでは今回のようなイージーミスが発生していないからだ。練習でも調整できない程の異常軌道を生じるようなボールなど、試合球として認定されるわけないのだから。まして、標高が高いから空気が薄く、だから「ボールが伸びる」はあり得るとしても、それと同時に「変化が大きい」は成り立たない。飛行中のボールに変化をもたらすのは空気抵抗以外にあり得ないからだ。

イージーミスの本当の原因として私が考えているのは、あの民俗楽器『ブブゼラ』による難聴である。

ヘッドホンで大きな音を繰り返し聞いたりしていると、騒音難聴という症状になる。これは眼振をともなうめまいを引き起こし、自分の体のコントロールに異常を生じさせるのだ。

内耳にある三半規管の内部はリンパ液で満たされていて、体が動くとリンパ液の流れが変わる。三半規管には3つの半円形の管があり、互いに90度の角度を持っていて、そこでどの方向へ体が動いているかを容易にとらえることができる。また、その奥になる耳石器には炭酸カルシウムの小さな結晶がたくさんあり、これが感覚器の上に乗っている。体に重力や遠心力が加わると、その炭酸カルシウムの結晶が動き、体の傾きや重力、加速度をキャッチすることができるような仕組みになっているのだ。

それらの器官が常時大音量の低周波にさらされていると、基準となゼロ状態に誤差が発生してしまう。自由に動けるのなら、自分で自分の体を動かすことで、その微妙な誤差を修正することもできるのだが、ゴールキーパーのようにあまり動けないポジションだと、本人も意識しないまま、誤差がそのままになってしまって、ある瞬間動こうとしてその時はじめてその誤差の影響に気付くということもあるのだ。

ロングキックでの飛距離感覚のズレも、この騒音難聴と、もうひとつ「微妙な音が聞こえないこと」に理由があるに違いない。
人は、視覚情報よりも聴覚情報にすばやく反応できるようにできている
自然状態では、一瞬の音に反応できるかどうかが、生死の分かれ目となっていたからだ。視覚情報の認識には、かなり複雑な神経経路を経る必要があることも、瞬間的な反応の鈍さにつながっている。

ゴールキーパーは、シュートした選手が放った一瞬の踏み込み音やキック音、またロングキックを蹴る者は、自分の足が発した一瞬のキック音、もちろん受け手側もキッカーの発した音、それらを無意識のうちに取得して、予測の材料として利用している。
それが一切取得できないのだから、どうしても予測の結果には、普段と違う誤差がでてしまうのだ。

審判も、わずかな擦過音や接触音が聞こえないことで、判定にだいぶ苦労しているようだ。
当たったように見えるが当たっていない、あるいはその逆に、当たっていないようにみえるが実は当たっていた、というような判定は、まずできない。
選手たちも、その辺についてはあまりナーバスにならず、イライラしないようにして欲しいものだ。

結論:ブブゼラうるさい。

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