2010年6月4日金曜日

もしプロの漁師だったら、得点力不足じゃあすまない

東京ミッドタウンにある、虫に食われたでかい空豆みたいな彫刻とか。巨神兵の一部が埋もれてるみたいな彫刻とかを置いて、ちょこまかかせいでるちょこまかしたおっさんがいる。いつもおしゃれで、靴なんかものすごく高いお金を払って作らせたイタリア製の特注品なのに、七五三みたいに見えてしまうおっちゃんだ。
このおっちゃんがよく言うのが、アフリカのアルジェリアで出逢った、老いたつり名人から聞かされたという話だ。
「あなたは、わたしが小舟に乗ってのんびりしてるだけなのに、なぜこんなに釣れるのか、と聞く。
あなたには、わたしが、のんびり気長に釣り糸をたれているように見えたのかもしれない。
だがわたしは、漁に出ている間は一瞬たりとも気をゆるめたことなどない。
いまか、いまか、とずっと準備を整え身構えているから釣れるのだ」
この話を引き合いに出してからおっちゃんは、自分も未発見の才能や作品を見逃さないように、二十四時間絶えず、いまか、いまか、と「眼」をこらすようにしている、とまとめるのが常だ。
(その結果が虫食い空豆と巨神兵のパーツなのであ~る!)

これはサッカーでのフォワードにも、必要な姿勢だと思う。
シュート練習を繰り返すことも大事かもしれないが、この「いまか、いまか」という気持ちを切らさない資質の方が、それよりもはるかにフォワードにとって重要に思える。
昔、ワールドカップに出場していたある国の代表チームの、得点源と期待されたフォワードが、決定的なチャンスボールをゴール上空にふかし、こう言い訳した。
「急にボールが来たので…」
そう、チャンスはいつだって突然訪れるものだのだ。

足の速い子、ドリブルの上手な子、トラップの正確な子、強いボールの蹴れる子、体の大きな子、気の強い子、そういう子を前に置いて、さあこれで得点が増えるぞ、と期待するから、いつまでたっても得点力は不足したままなのだ。
得点を期待されるフォワードに適しているのは、油断しない、集中を切らさない、抜け目のない、そういう資質を持った子供である。
スラム街で育ったラテン系の選手に、優れたストライカーが多いのはこういう理由からなのだ。
何を言いたいかというと、埼玉県内でいうときっと西川口あたりとか、熊谷北東部あたり、全国的には圧倒的に大阪周辺、そういった地域で育った子供の中にこそ、優れたストライカー気質・資質を備えた逸材がいるに違いないということなのだ。
そのあたりの少年サッカーチームで指導をされている方々には、違う意味で緊張を切らさず、目をこらして、そういう逸材をサッカーの世界へと導いて欲しい。
サッカーに出会えるかどうかは、そうした資質を備えた子供にとっても、一生を決定するような分岐点になる出来事になると思う。
虎穴に入らずんば虎児を得ず、です。はい。

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